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第三十五話 品行方正? いえいえ品行補正です

「マコちゃん! 私達も加勢した方が――」

「ここはあたし一人で十分だから、澄田さん達は先を急いで」

「おいおい随分と舐めたマネしてんじゃねえか、緋山の腰巾着の癖によお」

「腰巾着は否定しないけど、その腰巾着にあんたは今からぶっ倒される」


 この一言により、敵の狙いは完全に俺一人に絞られる。

 そして澄田さんを別の道から逃がし終えると同時に、俺と科方との間で火蓋が切って落とされた。


「それじゃいくぜえ!!」


 前回同様、ただのパンチに蹴りのラッシュ。だが以前より鋭さが増している気がする。


「ははははっ!! 避けてばかりじゃ何もできねえぞ!?」


 確かに今は鈍い運動神経を反転させているおかげで何とか回避できているけど、科方の方も反応速度に追いついてきている。


「なんで戦っている途中でさらに強くなってんの……!」

「ははははっ! そりゃ当たり前だろ! だって俺様は、世界に愛されている存在だからなッ!!」

「言っている意味がよく分かんないんだけど!!」


 さっきから反転もうまく決まらないし、どうなってんのこれ!?


「俺様の能力、その名も『品行補正ひんこうほせい』」

「『品行補正』? 何それ」

「くくくっ、言われただけじゃ分からねえよなあ、俺様の能力はよお」


 流石に内容までは把握しきれないし教えてくれない、か。そうなったら名前から予測するしかないよね。

 緋山さんの能力名からして、名前に意味が含まれている筈なんだけど……。


「分からないとなると、しばらく逃げの一手をとるしかない、か」

「あぁん? 逃げんじゃねえよ!」


 逃げ足は反転させていないから相変わらず速いまま。しかし相手もどんどん追いついていく。


「仕方ない、本人に能力が効かないなら、周りに効かせるまで!!」


 俺は立ち並ぶ新しいビル街を一瞬で老朽化建造物へと反転させ、一斉に取り壊して道を塞いでいく。


「うおっ!?」

「これでしばらく時間を稼げるか、もしくはこのままダウンしてくれれば――ってえっ!?」


 あれだけの崩壊の中、土煙の中を無傷で走ってくる男がいる。


「随分と面白いことをしてくれますね!!」


 瓦礫の中をパルクールでもするかのように、礼儀正しい科方はまっすぐと走ってくる。


「こんな下らねえことで時間稼ぎしてないで、さっさと戦いませんか?」

「世界に愛されている存在なら、崩壊しようが無傷でいられるってことね!」


 いくら世界を変えようが、世界は彼を庇おうとするらしい。


「どうした!? かかって来いよ!!」

「次はどうやるべきか……」


 品行補正というからには、科方の態度と何らかの関係があるんだろうけど……妙に行儀がいい時と、今みたいに乱雑な口調で飛びかかってくる時とで何か関係があるのだろう。


「だからといってまだ答えまでたどり着けていないけどね!」

「何をブツブツと言っていやがる! 今度はこっちからいくぞ!!」


 そう言って科方は更に素早い動きで俺に接近し、渾身の回し蹴りをかまそうとしている。


「やばっ!」


 とっさに自分に接近する拳を反転させ、打撃を弾き飛ばそうとした。これまでの通例通りなら、意味がないと思われていたが――


「いってえ!?」

「……ん?」

「てめえ、何しやがった!?」


 気づけば科方の右の手首が骨折しているみたいで、プラプラとしている。ということは力は無事反転されている……?


「……これがヒント?」

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