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第二十二話 何であいつがここに!?

「これどうするんだよ。マジで」

「事情はあの後緋山君から聞かせてもらいましたが、流石の僕でもこれだけの物的証拠が残った状態でこの少女がいなかったと騙すのは無理があるかと存じますけど」

「緋山さんに、之喜原先輩……まで」


 で、ですよねーって之喜原先輩まで俺をお咎めにでも来たんですか?

 今回の俺の件については周りに話しを聞かれたらまずいということで、緋山先輩はわざわざ屋上にまで俺を呼び寄せたらしい。


「之喜原、言った通りに屋上の入口に見張りつけているよな?」

「まあ、先輩に対する言い草とは思えませんね。それはさておき、きちんと配置しておきましたよ、簡単な武装をさせた状態で」


 そうか、だから屋上に上がる時に小さな槍を持ったウサギの人形が通せんぼしていたのね。


「それに、屋上にある監視カメラには既にもぬけの殻の同じ風景の動画を再生させてありますのでご安心を」


 そう言って之喜原先輩が指差す先には、確かに監視カメラに括り付けられた小型のビデオカメラがそこにある。


「で、実際どうするつもりだ? 今のお前は地味で目立たないが、女となったお前は一躍時の人になろうとしているんだが」

「どうしろって言われましても…………」

「僕の聞く限りですとあの子をさらって都市のそういうところに売り飛ばせば、それなりのお金になるって話も流れていますよ」


 そんなニッコリ顔で言わないでくださいよ之喜原先輩!? 俺まだ清らかな体でいたいんですけど!?


「とにかく今のところは『謎』ので済んでいるかもしれないが、これが特定でもされてみろ、お前のところにいろんな奴らがいろんな目的でもって突撃しに来るぞ」


 俺は緋山さんのその言葉に寒気を感じた。最初に言われていたとは少し違うが、面倒事に巻き込まれることはまっぴらごめんだ。


「一体どうすればいいんですか」

「しばらくは反転するのを控えるか、いっそ公開して楽になるかのどっちかだな。それかもしくは自分がSランクだという公表をして、周りを黙らせる方法もある」

「最後は緋山君が取った手法ですね。ですが確か、公表した初期はとんでもない位にバトルに巻き込まれていたいましたよね」

「ああ。つまり挑んでくるやつ全てを捻じ伏せて黙らせるってことだ」

「挑んでくるやつ全員を相手にって……それこそ面倒事に巻き込まれていくじゃないですか……」

「だがそれら全てを叩き潰して、刃向かう奴全部黙らせれば終わるだろうが。言っておくが、今のお前の力ならそれくらいできるはずだ」

「おっと珍しい。緋山君が他人の能力を褒めるとはねぇ」

「うっせぇ」


 確かに反転させる能力は、この前みたいな使い方をすれば敵はほぼ俺に触れることはできないし、それに反撃するにしてもとんでもない力を発揮できる。

 しかしそれでも、なんとなく目立つのはいやだ。女の子の時でも男の時でも、俺はできる限り自分の好きなように動き回りたい。いちいち接敵のことを考えて動くのは面倒だし何より気分が悪くなりそうな気がする。


「で、どうする?」

「問題の動画を消すという方法もありますが、盛り上がっている現状はそれも悪手になりかねないですし、どうしましょうか。榊君の目的としては今まで通り穏便に過ごしたいのでしょうが、はっきり言って無理だと思われます」


 うわ之喜原先輩そんなに直球を投げつけなくても……。


「とにかく、だ。打つ手が思いつかない今、反転することは控えておけ。いいな?」

「は、はぁ」


 結構気に入ってきた力なんだけどなぁ。今更使うなって言われても難しいんだよね。


「それと、できれば今日中にグレゴリオの所に行って能力認定してもらっておけ。いざという時にSランクであるというだけで手を出さないビビり共の相手をしないだけでも楽だろ?」

「分かり、ました……」


 この日の放課後すぐに、俺はグレゴリオがいる研究施設へと向かわなければならないだろう。

 ――何も問題がおこらないと良いけど。



          ◆◆◆



「――という事で能力の認定を貰いに来たんですけど」

「はぁぁぁぁ……あがりたまえ」


 えっ、分かりやすいように女の子の姿で榊真琴の学生証を持ってきたのはいいけど、物凄い落胆をしているんだがこのおっさん。


「全く、どうしてよりにもよって女などになる能力が……まさか本当だったとは……」


 どうやらがっかりの原因は俺が女の子になってしまったことにあるらしい――ってことは、緋山さんが言っていたあの噂って本当だったのか……。


「とにかく認定を受けたいんですけど」

「はぁ、まあいいだろう。丁度他にも認定を受けようとしている奴もいるしな」

「他にも……?」

「ああ。あいつだ」


 そうやってグレゴリオが指差した先にいたのは――


「嘘でしょ……」

「ちっ……おお、これはこれは素敵なお嬢さんではないですか」


 ニッコリとした面の、最低最悪の存在がそこに立っていた。

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