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ぶれいく・おぶ・わーるど ~イメチェン編 前編~

 今回は前後編に分かれた番外編です。これが終わって次の編に移ろうかどうか考えています。性転換編その2もやりたいのですが、もう少しキャラが出てからにしようか考え中です。

「髪を伸ばしたいんだけど……」

「はぁ……?」

「いいんじゃない! マコちゃんの方でってことだよね?」


 その通りですよ澄田さん。何で男の時に伸ばすんですか、それこそ本当に女装するみたいになってしまうじゃないですか。といってもその髪を伸ばすことこそがまさにデメリットになるワケで。今のところ女の子の時にもそれなりに髪の長さがあるんだけど、ロングヘアーとは呼べないのは確定であるからして。


「でも今の瞬間に読者の想像力を否定したな」

「ええ。中にはロングヘアーの少女を想像していた人もいるでしょうし」


 なんであんた等は番外編になると躊躇なくメタ発言をかますんですか。ていうかメタ発言は確かあの魔人だけの特権のはずでは?

 といった感じで始まる屋上での無駄話。今日の朝アクセラが家で髪の毛を結んでいたところからこの話は持ちあがった。


「そういえば澄田さんは髪伸ばしたりとかしないんですか?」


 肩まで伸ばしたところを見てみたいとは思っているが、今までそこまで髪を伸ばした姿を見た事が無い。


「あー……私自身あまり伸ばすのは好みじゃないから」

「どうしてです?」

「どうしてもこうしてもだ。察しろ」


 何を察すればいいんですかね……とはいえ緋山さんから話を中断させられたということは、あまり良い理由ではないようだ。


「髪伸ばしてみたいんですけどね……」

「つーか普通に短髪を反転させればいいんじゃねぇの?」

「…………」


 ……それだ!!



          ◆◆◆



「――とはいったものの、ある程度反転した先の髪形を想像できていないとまずい気がする」


 ひとまず女の子に反転してから適当なファッション誌を買ってみたはいいものの、普通の髪形ではなく謎のマックスメガ盛り昇天ヘアーだったりと奇抜な髪形しか載ってない。


「というかこの有名ファッションデザイナー兼スタイリストのTOHRU(トオル)って人の感性があたしには理解できない……」


 結局はVPで普通に検索してでたロングヘアーを――っていうかアクセラの髪形を散々見てきたんだからあれに似た感じでイメージすればいいじゃん!


「あたしってほんとバカ……まあいいや」


 気を取り直して反転リバース! そしてすぐに鏡へと向かう。するとそこにはロングヘアーにイメチェンした俺の姿が……ま、まあそこそこにあってるんじゃない?


「い、意外と可愛い……?」


 髪型が代わっただけで人ってこんなにイメージが変わるものなのか? いつもの頭のゆるそうな○ッチ風から少しだけ清楚系に? いや髪の色がピンクのままの時点でまだほんのりと残っているんだけど。でもピンク色を反転したところで黒髪にはならないからここは妥協せざるを得ない。しかしそれにしても我ながら可愛くないか?


「ねぇねぇラウラお姉ちゃん、マコお姉ちゃんが鏡の前で踊っているけど大丈夫なの?」

「恐らくは……ポーズをとっているのかと」


 ひとまずこのまま外に出てみよう。うん、主に緋山さんに絡みに行こう。それとなく浮気相手っぽくちょろまかしに行こう。


「じゃ、あたしこのまま出掛けてくるから」

「いってらっしゃーい!」

「お気をつけて。お夕飯はどうしましょうか?」

「家で食べるからよろしくー」


 そんな感じで第八区画を一人でふらついていると、やはりというべきか色んな視線を感じる。服装はいつもより露出が少ない――というか普段もそんな痴女すぎるワケじゃないけど、普通の服装にしているだけでも振り返る男が多いおおい。あんたよこの彼女から殺意向けられてるの気づいている? ってレベルで多い。ていうかあたしに殺意を向けないでください死んでしまいます。


「ま、流石に中身が男だって分かる人なんてそうそういないでしょうし」


 そんな感じで街を歩いていると、前方から同じく人目を引く人物が現れる。


「見てみて! TOHRU様よ!」

「何時見てもカッコいい……でも残念なことに……」


 黄色い声に促されるかのように前の方を見やると、そこには男の俺ですらカッコいいと思えるようなモデル体型の男が道を歩いていた――何故か女性っぽいモデル歩きだけど。


「って、今TOHRUって言われてなかった? あの人」


 もしかしてあの雑誌のマックステンションメガ盛りヘアーとか考えてるファッションデザイナーの人じゃないよね……違うよね!? だって本人の服装別に奇抜じゃなく普通のオシャレだし、髪型も普通の短髪だし!


「んフフフフ……やっぱり第八区画はいつ来てもアイデアを刺激されるわね……あらやだ!」


 こっちもヤダ。何かターゲットにされた感じで視線を思いっきり合わせられてるんだけど。


「貴方もしかして、『反転リバース』で有名な榊マコちゃんじゃない!?」

「ギクッ! ……ひ、人違いですよ人違い」


 だって冷静に考えたら一日で髪の毛がここまで伸びるはずないでしょ!? それにいつもとイメージを変えた服装だから街行く人からも誰? って感じだったし!


「あらやだイメチェンじゃないのー! 貴方そんな格好もできるのねぇ!」

「だから人違いですって! 榊マコはもう少し髪が短い筈じゃ――」


 するとTOHRUと呼ばれる人物はハッとした表情で手のひらで口を覆い、そして周りに配慮するかのように小声でこう問いかけてきた。


「あら、貴方の能力は事象の反転でしょ? だから短髪も長髪にできるはずよ?」

「ッ! ……どこまで知ってるんですか?」

「あらヤダ、アタシの能力Sランクだから、貴方のことも知ってて当然じゃない」


 ……犬も歩けば棒にあたるが、俺の場合Sランクにぶち当たり過ぎじゃないか?

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