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番外編 ぶれいく・おぶ・わーるど ~物申す!編 その1 市長に物申す!!~

 前半榊視点、後半三人称視点の文章となっています。

「ハイハイ皆さんおはこんばんにちわっす! 本日もおなじみ区画丸ごと物申す!! のコーナー! 今回は第六区画でランクを問わずバシバシと聞いて回りたいと思いまーす!」


 といった様子で始まる番組内での人気コーナー。なんでも力帝都市に住まう住民の忌憚きたんのない生の声が聞けるとか何とかで何かと人気だそうだ。

 ――で、そんな番組の解説を何で俺がしているのかというとだ。


「……何ですかこれ」

「俺に聞くなよ」

「もう、緋山君も榊君もそんな仏頂面だとテレビ映り悪いよ! もっと笑顔じゃないと!ほら、スマイルスマイル!」


 この日に限ってテレビ受けしそうな澄田さんは先に帰っていて、それでもって之喜原先輩はバイトでどこかに行っている状況で、たまたま俺と緋山さんが校門前で見事にテレビ中継に捕まっている状況だ。


「では始めたいと思います! 今回の物申すテーマは……ずばり! 市長に物申す!!」


 うわぁ……一番突っ込みづらいような気がするぞ。というより力帝都市の市長にズバッということなんて早々――


「ん? 物申すっつぅか聞きたいことならあるぞ」


 ――ってあるんですか緋山さん!?


「ぶっちゃけこれだけ力帝都市に人いるなら市長より強い奴いるんじゃねえのって話だ」「えぇー……」

「おぉー! ある意味宣戦布告とも取れるこの発言はいかに!?」


 絶対下のテロップででかでかと提示される感じだよこれ。


「これはある意味近々『粉化イラプション』対『全能メガロマニア』の試合が組まれることも予想されるのでは!?」

「いや、別に俺は勝つも何もそういうつもりは無いが」

「しかしこれは中々に切り込んだ質問ですねぇ! 表舞台に中々立って出てこない市長が本当に『全知』であり『全能』なのか!」


 なんか色々と敵に回しそうな気がしなくもないぞ、と俺が苦い表情をしていると今度は同じテーマでリポーターは話題を振ってくる。


「さてさて! 貴方が思う力帝都市市長への物申す! は!?」

「えっ? えぇーと……うーん……とりあえず今のところは何も――」

「何でもいいです! どうせあまりにもヤバそうなのは編集でどうにかするので!」


 うわーぶっちゃけちゃったよこの人。テレビの黒い所を見てしまった感じ。


「だったら……俺も同じっていう訳じゃないけど市長の戦うところが見てみたいなー、なんて――」

「面白いですねそれ! 『全知』が『全知』たるのか『全能』が『全能』たるのか見てみたいところですね!」

「あははー……」

「貴重なご意見ありがとうございました! 力帝都市の生の声、市長さん聞き入れてくださるでしょうか!?」


 いやこれ本当にお蔵入りしそうな気がする企画だぞ。

 そう心の中で思いながらも、取材を切り上げて次へと移ろうとするレポーターの後姿を見送る俺と緋山さん。


「……マジで大丈夫なんすかね」

「知るかよ」


 今日はこのまま家に帰ることになるが、あの取材班レポーターたちの取材はまだまだ続きそうだ。



          ◆◆◆



「――力帝都市の市長に物申す?」

「ハァ、アレよね? 夕方生放送のやつよね?」

「その通りです!」


 榊達二人の次に取材班に捕まったのは、カッターシャツのボタンを開けて気怠そうに帰るAランクの関門と、夏服のブレザーを少しばかり汗で湿らせているSランクの関門だった。


「はい! いやー、まさかAランクとSランクの関門のお二人にこうして取材ができるとは思いもしませんでした! しかも一緒とは意外と仲がいい感じですか!?」

「だってよ時田。だから今日は特訓バトル無しでばらけて帰ろうぜって言ったのによ」

「ハ、ハァ!? アタシが悪いっていうの!?」


 学校の帰り際に一勝負して来た穂村と時田であったが、そのまま適当な喫茶店で休憩しようとした矢先の出来事である。


「お二人の関係も気になるところですが、それよりも市長に何か一言!」

「あぁん? とりあえずBランクにも割引なりなんなり優待制度寄越せ」

「家計が火の車だもんね」

「うっせぇ!」


 表だって公言はしていないものの、穂村の家には二人の居候がいて片方がとてつもなくエンゲル係数に負担をかけている。そのことから出た穂村の心の底からの要望である。


「Aランクの関門の意外な悩みが聞けたところで、今度はそちらの方!」

「アタシ? アタシは特に興味ないし」

「興味なし!? 関門を担っていながらも!?」

「無いわよ」


 自分の興味のある者にはとことん付き合うが、それ以外にはドライなのが時田マキナという少女。そして今回戦った後もあってか余計に興味を示さない様子。


「い、意外と貪欲じゃないんですね」


 リポーターの調子を狂わせたところで、関門二人はサッサとその場を去っていく。


「さーて、帰りにモックでもよって帰るか」

「あれ? 今日は二人はどうするの?」

「イノ達なら牧野のじいさんとこに預けてるからいいんだよ」

「そうなの、じゃアタシも一緒にいこっと」

「なんでついて来るんだよ」

「あら? 割引はいらないってこと?」

「ぐっ……」

「おやおやー、随分と仲がいいみたいで、今度はあの関門二人について密着取材でもしてみたいところですねー! ではでは今回はこの辺で! 次回は力帝都市で問題児といえば!? で物申していきたいと思います! ではまた御機嫌よう!」


 という訳で市長って本当に強いの? という疑問ですが、この後の編でどれほど強いのかが明らかになると思います。今のところ単なる高飛車な女性と無感情なロボット娘が『全能』と『全知』のイメージでしかないので、その辺も解消できたらと思います。それともう少しだけこちらの方が進むのが遅れてしまいますので、その間世界観を共有していてこの番外編などでも顔を出しています穂村正太郎が主人公のパワー・オブ・ワールドの方も読んでいただいて、できればこの作品も含めて評価やブクマ等もしていただければ幸いです。(作者冥利に尽きます。やる気注入と思っていただければ(笑)。)

それはさておき、後番外編をいくつか挟むか、もしくは次回のためのプロローグ的なものを書こうか考え中です。次もまた別の意味で長編となりそうですので、期待に添えられるように頑張ります。

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