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第四十一話 ボッシュートの刑に処す!

 なーんか俺のいないところで大変な会話が交わされた気がするが気のせいだろう、多分。


「ってそんな事より!」

「逃がすな! 追え!」

「逃げてないっての!」


 さっきから向かってくる相手に対して軽く触れるだけで吹っ飛ぶくらいの力に反転させて追いやっているが、普通なら打撲するような鈍い音がするはずのものも、まるで金属が叩きつけられたかのような音がしている。そして近未来的なデザインの銃火器から飛んでくるレーザーの向きを直前で反転させれば、機械人形アンドロイドの身体に風穴が開けられ、中のコードがだらりとはみ出てくる。


「要はここの奴等は殆どロボットってことでいいんだよねっ!」


 こんな感じならラウラからショットガン借りてくれば良かったと少しばかり後悔――って、そうだ!


「この場に無い物を有ると反転!」


 その場にある筈の無いラウラのショットガンをこの場に呼び出し、即座に周囲のロボットに向けて弾丸の雨を降らせる。


「やっぱり装填数無限はやり過ぎた感じあるよねー」


 俺は今更ながらにこの散弾銃ショットガンのチートぶりに気づくも、反転を解除することなく残りのロボットも全て再起不能に仕立て上げる。


「流石に人がいるみたいだったら自重するけど、今のところいないみたいだし遠慮なくぶっ放せるってやつだね!」


 ゲームでいうところの完全なチートである。こちらは一切の攻撃を跳ね返し、かつこっちの銃の装填数は無限、リロード要らずとなれば戦いというよりも一方的な蹂躙になることは目に見えて明らかだ。


「とはいえ、人体実験している時点で一切の同情の余地は無いんだけどね!!」


 最初は使えたエレベーターも、遠隔で止められたのか使うことが出来ない。そうなると階段を一階一階昇って行かなければならない訳なのだが、朧木のいるとされる八階まですんなりと昇れるといった感じではないのが現状なのだが。


「とかなんとかいっている内に八階に到着――って」


 なんか二体ほど明らかに大きなロボットがいると思いきや――


「人間、なの……?」

「我等改造人間四号二人!!」

「合わせて八号お相手いたす!!」


 つまり、人体実験の犠牲者ってことか。


「だったら手加減する必要ありだね」


 ショットガンを再び反転させてその場から無くすと、俺は元々の実力でもって目の前に立ちふさがる二人の大男の相手をすることに。


「さーて、どう料理しましょうかね」

「ほざけ!」

「我等が貴様に負けるはずがない!」


 流石は悪役、やられる側の決め台詞をよく心得ている様子で。

 俺は敢えて相手と同じ土俵に立つために、自身の身体能力を反転させて極限まで強化した。


「さて、どこからでもどうぞ」

「ならばッ!!」


 真正面から二人掛かりの拳のラッシュ。しかしどれもこれも遅すぎるが故に俺は最小限の動きで全てを回避し、そして相手の攻撃の切れ目が来るたびに一撃一撃を的確に撃ち込んでいく。


「がはぁっ!?」

「ぐはぁっ!?」

「ジズルとゼズゥだっけ? あっちの方が息が合ってるぶん厄介だったけどこっちは逆に簡単すぎるんだよね」


 気分は完全に中ボス二人をいなす拳法の達人といったところか、腕を組んで偉そうに二人の前に逆に立ちふさがるっていうのは中々に気分がいいものだ。


「まさかもうギブ?」

「なんの!」

「この程度!!」


 そういうと大男二人は再び立ち上がるが、その立ち上がり方には不自然さを覚えた。何事も無かったかのようにすっと立ち上がりファイティングポーズをとる様子は、まるで俺が今まで与えたダメージが無かったかのように思わされる。


「何それ? 超回復?」

「人間が元より持っている回復力を増加させたまで!」

「そしてこの鍛えられた肉体も、短期間で成長させたもの!


 となると身体強化フィジカルチューン型の更に純粋な身体強化が能力だという線が有力だと考えられる。しかしそうだとしても俺の足元にも及ばないことは明らか。いくら回復するとしても限度があるはず。


「……というより、貰った能力ならば反転させて取り上げればいいんじゃない?」


 これって結構ヤバい反転のような気がするけど、やってみるしかない。


「てことで、あんた達せっかくの能力だけど没収させてもらうからね!」

「ッ!? そんな事は絶対にさせぬ!!」


 流石に元Dランクなだけあって折角の能力に執着している感じみたいだけど、ラグナロクだと後で碌な目に合わないだろうから今の内に取り上げておこう。


「てことで、没収(テイクアウト)!!」


 両手に緑色のオーラを纏わせ、男達の頭を掴む。するとついさっきまで筋肉ダルマといっても過言じゃなかった肉体が、まるで空気が抜けていく風船のようにしぼんでいく。


「なんだ、元々普通だったんだ」

「クソッ!!」

「俺の力を返せ!!」

「やーだよっ、どうせカプセルか何かで得た仮初めの力でしょ? ……あっ、もしかして結構自信があったりする感じ? だったらドンマイ、あたしにとってそんなのオマケ程度でしかないから」

「くっ……ガクッ」


 さーて完全に心がへし折れたところで先に進ませてもらいますか――


「マコさん!? どうしてあなたがここに!?」


 ……あー、まさか向こうから会いに来てくれた感じ?


「……そうだよ、あたしが榊マコだけど」

「うわぁー! こんなところで本人とまたお会いすることが出来るなんて! 今日は能力開発もして僕も能力に目覚めることができたし、なんてすばらしい日なんだ!」


 朧木は喜びながらもまるで俺に見せつけるかのように両手の間から火花スパークを散らし、電流を発生させている。

 ……ちょっと待て。能力に目覚めたってことは、手遅れってこと?


「……ちょっと痛い目に合ってから、その能力を没収させてもらおうかな」


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