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第十九話 鍋パーティ?

遅れてしまい申し訳ないです。また土日で挽回できたらいいなと考えています。

 全く、とんでもないことになってきた。折角の女子会がまさかの一大事件に片足を突っ込む羽目になるとは……まあ本当ならDランクだった時には耳にもしなかったであろう話だけど、力を持った今、俺の身には既にあらゆるトラブルが降りかかろうとしている。


「これが力を持つものに降り注ぐ困難ってことか……」


 バウンサー支部の前で、俺は自分のか弱い手のひらを無言で見つめる。いや、元がごつい手だったかと言われたらそうじゃないんだけど。


「……俺は、どうして――」

「――あっ! マコちゃん、大丈夫だった?」

「チッ、この程度でたそがれていたら先が持たねぇぞ」


 夕暮れの最中、俺を待ってくれていたのは緋山さんと澄田さんだった。


「二人ともあの後待っててくれたんですね」

「うん! 茜ちゃんと要ちゃんは先に帰っちゃったから、私と励二で待つことにしたの!」

「どっちにしろ、少し紹介したいところがあるからな」


 紹介したいところって……どこですか?


「俺と詩乃が住んでいるアパートが今日鍋パーティでな。どうせなら人も多い方がいいだろ」

「な、鍋パーティですか……」

「ああ。一人一つ食材を持ってくるのがルールだから俺達も今から買い物に向かう。お前もついてこい」

「え、でも……」

「遠慮するなって」


 遠慮とかそういう問題じゃなくって、俺の能力検査はいつ終わるんですか!?



          ◆◆◆



「――とりあえず、俺と詩乃、そして榊で肉を買ってくるから後のやつよろしくな。ハァ? どうせならって、なんでてめぇのまで買わなくちゃいけねぇんだよ自分で買って来い……ったく」


 澄田さん達が住んでいるというアパートに向かう道中、緋山さんはVP越しの相手に罵声を浴びせていた。


「ハァ!? てめぇ何勝手なバイト始めていやがる! 言っておくが俺らに迷惑かけてみろ、出先ごと灰にしてやるからな! クソッ!」


 乱雑に電話を切り終えた緋山さんの額には、明らかな青筋が立っている。


之喜原のきはらの野郎、また勝手に変な組織に名前登録しやがった!」

「之喜原先輩なら大丈夫なんじゃない? 嘘つくの得意だし」

「Bランクのくせに面倒事にだけは首を突っ込みたがりやがる。いつか口先が通用しない相手が出てきて、ぶっ飛ばされても俺は知らねぇぞ……ったく」


 ため息交じりにポケットにVPをしまい込むと、緋山さんは俺に対して見せるはずのものでは無かったとでも言いたげな視線を送っている。


「……今の電話の相手も、一応同じアパートの住人だ。仲良くしてやってくれ」

「え、あ、はい……」


 そんな訳で、今俺達は第九区画の一般居住区画を歩いている。周りを見る限りだと、電柱から何から都心部の最新のものとは違う、少し古びたような、ここだけ少しだけ昔に戻っているような雰囲気が漂っている。

 日も徐々に落ちて行き、街灯も点滅を繰り返してからつき始める。


「……確認ですが、緋山さんってSランクですよね?」

「ああ、そうだが?」

「じゃあなんで明らかにボロいアパートの前で立ち止まっているんですか?」


 今時木製のアパートなんて見ないと思うんですけど。


「まあ、なんだ。とりあえずよってけよ」


 この時俺はほんの一寸たりとも考えていなかった。

 見た目に反してこの場所が、高位ランクのいこいの場だという事に。


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