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第四話 めでたく犯罪者の仲間入り?

 さてこの勘違いヒーローをどうやってわからせてやろうか――


「ハァッ!」

「うぇっ!?」


 げっ、思わず女の子らしくない声を出しちゃった――ってそんなこと言ってる場合じゃない!


「こいつ、あたしの動きより若干早い……!」


 やってる事は至極単純な、殴りと蹴りの入り混じったラッシュ。特に何か格闘技の型らしいものも見当たらず、流石はヒーローとでもいうべきだろうか、ただひたすらに実戦で培ってきた殆ど本能に近い攻撃の組み立て方に思える。


「こっ、このあたしが防戦一方なんてね……!」

「おや? さっきまでの威勢はどこに置いてきたの?」

「元々持ってないから、残念!」


 それにしてもこいつと戦って一番厄介だと思える点はたった一つ。たった一つだが致命的。

 それはこいつの単なる攻撃を、向きの反転の対象として取れる気がしないこと。俺の想像力が足りないワケじゃない。いや、ある意味足りないんだろうけど、こいつの攻撃一発一発に対して俺が反転できる像が思い浮かばないというのが現状だ。


「くっ、一体どうやったら――」


 ――ふにゅん。


「ふにゅん?」

「あ……」


 ひ、ひ――


「人のおっぱいを何勝手に触っとんじゃぁああああああ!!」

「ぐっはぁっ!?」


 なんだよ今の感覚はぁ!? 他人に触られるってこんなに変な感じなのかぁ!? 別に今ので発情した訳じゃないが変にドキドキしちまっただろうが!


「とりあえず死にさらせぇ!」

「おっと! 何か地雷踏んじゃった感じ? でも一般人を殴り飛ばした罪をこれでおあいこって訳にもいかないよね!」


 俺もひとまず小石を反転させたりといつものパターンで攻撃しているけど、相手の様子からして能力を使っている様子は無し。かといってあの身体能力は常人とは思えない。


「となったら科学側で何かしているか、あるいは魔法……?」

「残念だけど、僕の力は科学でも魔法でもないよ!」

「だったら何って話なんだけど!」


 俺はとっさにレッドキャップから距離を取り、地面に接着しているアスファルトを反転させる。


「全部引き剥がして足場を奪ってやる!」


 ベキベキベキィッ! と激しく割れる(CRACK)音を鳴らしながら、アスファルトは一斉に宙を舞う。


「おっと! これは困ったなぁ!」


 滞空時間が異様に長いジャンプで軽くかわされつつ言われたら全然困っている様には見えないんだけどね! 


「更に足場の悪いアスファルトの動きを反転! 空中で留める!」


 これでだいぶ動きを制限――


「面白いね! 以前闘った悪い魔法使いを思い出すよ!」


 ――どうやら俺の見通しが甘かったようだ。相手は宙を舞う破片をものともせずに砕き掻き分け、着実に俺との距離を高速で詰めていく。


「だったら!」

「ぐっ!?」


 その拳で容易く砕けないほどにアスファルトの硬度を反転して強化するだけ!


「やるね! だけどッ!!」

「……はぁっ!?」


 やばい、俺としたことが女の子として出してはいけない言葉パート2を漏らしてしまった。というより漏らしても仕方ないと言い訳だけはさせてもらおう。何故なら俺は自分で反転させたはずの強化アスファルトの舞う空間を、さっきよりも速いスピードで砕き進むヒーローの姿をそこに見たからである。


「くっ、やっぱりあたしが直々にやる必要ありってワケ?」

「悪党って直接手を下す系のセリフが好きだよね!」


 今のはそういうの意識した言葉選びじゃなかったんだけどなー!


「身体能力反転で一撃に耐える――ってそれはさっき無効化されたから意味は無し」


 だったら逆にこっちから仕掛ける!


「反射神経を尋常じゃないレベルまで反転に!」


 相手が一撃を加えいれようとした瞬間、カウンターを取るしかない。俺はまるで諦めたかのように見せかけるために、あえて両手をだらりと下げる。


「とうとう観念したかい! だったら!!」


 身体を大きくひねらせ、右のストレートを繰り出す。レッドキャップの一撃を見極めようとしたが俺の動体視力ですらそれを完全に追い切れていない。


「後は、頼みの綱に……!」


 カウンタ―で一撃を入れる――


「――ッ! ……って、あれ?」

「ふぅ、流石にこの距離でも何もしてこないとなったら、殴る必要も無いよね」


 レッドキャップはほんの数ミリ目の前のところで、拳を音速から速度ゼロへと急停止させる。暴風のような拳圧が身体を通り過ぎ、俺は思わず冷や汗をかいてしまった。


「……そもそも女の子を殴る趣味は無いんだよね、僕には」

「それはいい趣味をしていますね」


 俺はそれとなく後ずさりをしながらその場をそれとなく立ち去ろうとしたが、その前に――


「……何これ?」

「お前達は完全に包囲されている! 大人しくしなさい! 均衡警備隊バランサーだ!!」

 な、なんかサイレンを鳴らした車がいくつも周囲に泊まっている上、俺に向かっていくつも重厚が付きつけられている気がするのは気のせいですかね……。


「残念だけど、僕の相棒パートナーが応援を呼んじゃっていたみたいだね」


 えっ、それって俺前科者フラグってこと!?


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