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第十四話 Dランクの異名

「これで来ていないのはあの男女だけになりますですね!」

「こーら! 要ちゃん」

「う……これで来ていないのは、栖原だけになりますね」


 澄田さんの一声で守矢が従うとは……流石は元Aランク?


「ところで榊は何か注文しないんですか?」


 守矢は到着するや否や勝手にメニュー表を手に取って早速飲み物の注文を始める。


「詩乃さんはどれにしますか? うちはいつも通り、大人の味ブラックコーヒーです!」

「うーん、私はカプチーノでいいかな。マコちゃんは何にする?」

「え? ど、どれにしようかなー……」


 とはいっても、コーヒーとかそういう苦い飲み物は苦手……かといってこの場の雰囲気でオレンジジュースなんて言えないし……。


「皆遅れてごめん! また道端でDランクの不良に絡まれている女の子がいたからぶっ飛ばしてきたので遅れたんだ!」

「栖原も、ダストを相手に飽きませんね!」

「ダスト……? 何それ?」

「要ちゃん、こんなところでそんな言葉は使っちゃダメだよ」


 澄田さんの言っている意味は、俺と栖原には通じなかった。ってかダストって何? ゴミの事?

 俺が不思議に思って首を傾げる中、守矢は即座に澄田さんの言っている意味を理解した様子で、ハッとした表情で慌てた様子で取り消しを行う。


「あっ……ごめんなさいっ! 今のは無しで!」

「気をつけないと、ここに裏の人間がいたらどうするつもり? マコちゃんや茜ちゃんを撒き込んじゃう可能性だってあるんだよ?」


 そんなに物騒なものなのか? しかし聞いてしまった以上知識として持っておかないと後々ヤバい気がしなくもない。


「澄田さん」

「ん? どうしたの?」

「そのダストって……何ですか?」

「あぁー……あんまり大きな声じゃ言えないかな……要ちゃん、周りにそれっぽい人とかいないよね?」

「いないと思います。まあどっちにしろうち一人で片づけられますし」


 そういうと守矢は自分と澄田さんの注文が決まった時点で呼び鈴を押し始める。


「ちょ!? ボクまだ決まっていないんだけど!?」

「あ、あたしオレンジジュースにしよっと!」

「ふっふーん、榊は意外とお子ちゃまですねー」


 幼児体型に言われてもなー……。


「あっ! 今物凄く失礼なこと考えましたね!?」

「いや、別に……」

「ボクは取りあえずカフェラテで――」

「カフェラテもいいが、オレはやっぱりココアの方が好きだぜ?」

「わっ!? 魔人さん!」

「ヨゥ、澄田詩乃。相変わらず緋山励二とヨロシクやってんのかぁ?」


 げっ!? なんであんたがこんなところに!? って堂々と土足で机の上に立つの辞めてもらえますかね。今からそこでお茶会するんですけど。


「テメェ等今、丁度いい話をしていたところだぜ」


 そう言って息をするかのように異空間を片手でこじ開けて板チョコ頬張るのもやめましょう。特に栖原はCランクなのにこんな異常事態を前に思考停止しているんですけど。


「ダスト……文字通り、Dランクの中でもゴミクズ共の集いの総称のことを言う。分かりやすく言えば昨日の榊マコとそこにいる栖原茜が叩き潰したようなヤツらだ。文字通り本人にはなんの力もないから、アホみたいな金属バットを持ち出す輩やどこから手に入れたのか拳銃を持ち歩くヤツもいる。ヤツらの大半は己の欲望に従ってつき動いている。場合によっちゃ罪も犯すだろうよ」


 ってことは、俺を穂村との戦いにむりやり連れ出した面子もある意味ダストってことか。

 そう考えていると、守矢は焦った様子で魔人への言い訳を連ねる。


「で、でもうちら守矢四姉妹は旧居住区にいるダストは管理していますですよ!」

「でも所詮はゴミクズだろ? 現にそこにいCランクにすら伸されるザマだ。まあそんな事はどうでもいい」


 どうでもいいって……結構大事だと思いますけど。


「そんなことより、だ。テメェ等に一応忠告に来た」


 忠告って、なんでしょうか……。


「そのダストが、後一分後にここを襲撃しにかかる。三人は刃渡り十センチ程度の刃物。一人は鉄パイプ。そして最後の一人が拳銃を持ってここにくるぞ」

「来るって、そんなー!」

「どうせお前は逃げられるだろうが澄田詩乃。問題はテメェだ」


 そう言って俺の方をチラッと見ているけど……一分で何ができるの!?


「じゃあそろそろオレは帰る。まだ影を緋山励二と戦わせたままだからな」


 そう言って一人異空間に消えて行ったけど、この状況どうするの!?


「一分しかないけど!?」

「まあ落ち着いてくださいよ榊。うちがいれば何とかなりますから」

「でも拳銃持っているって――」

「オラァ!! 金出せよ!!」

「キャアアアアアッ!!」


 あれ? 一分たつの早くない?


「……もしかして、喋り始めてから一分ってオチ!?」

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