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第二十九話 守矢四姉妹 ~長女編~

 本当に之喜原先輩にまかせっきりで大丈夫なのかと思ったが、この場は信じるよりほかはない。


「ッ! グールだ!」

「ったく、面倒なんだよね。土踏まず(フォールダウン)!!」


 俺は地面に手を当てて踏みしめられる地面を反転させ、グールの群れを一気に奈落の底へと落としていく。


「フン、さっきのセバスの時も、最初から家語と落とせばよかったんじゃないか?」

「うるさいなぁ、今思いついたんだからしょうがないじゃん」


 本当に、ちょっと早く思いついてさえいればラウラを魔改造する必要はなかったのかもしれないのにね。

 そう思いながら、俺とロザリオはグールが出てくる場所を追っている。それはあの家ではない、別の発生場所。さっきから向かってくるグールだけど、燃える家とは比べ物にならないほど大規模な頭数でもって向かってきている。


「ほんと、ラウラがいたら卒倒するくらい喜んでいたかもね」

「あのメイドにセバスを追わせて正解だったかもな。どうでもいいうんちくを聞かされずに済む」


 それは言えてるかもね。

 そうして俺とロザリオがグールをたどっている内に、とある区画へと到着する。


「ふーん……旧居住区画ね……」


 ――第九区画。通称旧居住区画。確か守矢要もここに住んでいるはずなんだろうけど、今は単にグールの彷徨うゴーストタウンって感じ。

 そんな中、ダストと思わしき一人の男が複数のグールに追い立てられている光景を目にする。


「くるな、来るんじゃねぇ!」

「うぅううぅ……」


 明らかにゾンビ映画的にはこのままだと追い詰められて複数に食い散らかされるのがオチなんだけど、どうやらそんな雰囲気ではなさそう。


「だ、誰か!!」

「今は奴に構っている暇はない。先を急ぐぞ」

「そんな事より、ちょっと待った方がいいかも」


 俺の直感――というより、身体能力向上によって聴力も強化された俺には金属の回転するような音が聞こえている。

 何か、大型の兵器を起動させるために試運転しているかのような――


「伏せてください!」

「も、守矢の姐さん!?」

「急いで!!」


 聞きなれぬ声から紡がれるその言葉を聞いた俺達もまた、即座にその場に伏せて様子をうかがう。

 そしてその数秒後――


「ぐがぁうっ!?」

「ぎっ!?」


 耳をつんざくような連続する音と共に、グールの群れが一瞬にして肉塊へと化していく。


「なっ、ガトリングだと!?」

「もしかしてまた『血戦ブラッドライン』の力!?」


 俺達は新しく『血戦』の能力者が現れたのかと警戒心を高めていったが、全てを殲滅させたその場に現れる、一人の少女の姿に目を丸くする。


「――あれ? どうして榊がいるんですか? しかも変な男を連れて」

「変なとは何だ! これでも執事の正装だぞ!」


 執事ならそんなワイルド系な着崩しをやめてきちんとしたらどうですか? ロザリオさん。それにしてもこんな深夜の時間帯に要と会う事になるとは思わなかった。だが逆に都合がいい。


「要、もしかしてあんたも?」

「えっ? えぇ、まぁゾンビ退治してますね」


 通りでさっきから道端にブロックで地面や壁に押しつぶされたグールがいた訳だ。しかしそれにしても、要の能力にガトリングを扱う力なんて無かったはずだが。


「だったら手を組まない? あたし達、実はそのグールを生成している犯人を追っているんだけど」

「でしたら! うちよりも小晴こはる姉さんと一緒の方がいいかもしれません!」

「小晴姉さん……?」


 確かに以前守矢は四姉妹だって聞いていたけど、そこまで詳しく聞いていなかったんだよね。


「小晴姉さん! この人がこの前話した榊ですよ!」


 そうやって振り向く要の視線の先にいるのは、おっとりとした雰囲気を醸し出すツインテールの少女。バストサイズが半端ねぇことを除くと至って平穏とした雰囲気だが――

「Sランク二人なら、どんな敵でもぶっ飛ばせますぜ!」

「あらあら、そんな事はないでしょう?」


 おしとやかに微笑むこの少女もまた、俺と同じSランクなのだというのであった。

はい、という事でパワーオブワールドで先に登場していた守矢小晴がこっちにも登場しました。時系列的には榊の方が先に出会って、その後穂村と出会う形となります。

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