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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

約1000字短編

聖域

作者: 真

 とある青年が異世界に召喚された。

 この世界では人類は魔物と対峙し、自分たちの居場所を確保するために奮闘している。

 魔物の侵攻を防ぐためには人類は日夜戦わなければならない。しかし人の数には限りがあり、人類にとってそれは非常に問題のあることでもあった。それでも人類は魔物と互角に渡り合っていた。


「俺が行きます」


 青年は彼らの真の希望だった。

 彼には聖域(サンクチュアリ)という能力があった。彼の生み出す松明(トーチ)によって囲まれた場所は、魔物が一切踏み入れられなくなるという優れものだ。安全な場所を確保したい人類にとってそれはこの上ない能力だった。


 彼はまず、自分の召喚された王国を囲うことにした。

 それによって魔物はこの王国に一切入ることがなくなった。そして一切攻撃を受けることのなくなった王国の国力は回復の兆しを見せ始めた。

 彼は名声を手に入れたが、しかし、当然ながら彼の役目はそれで終わりではない。

 次に彼が向かったのは付近の町や村だ。無論、そこにたどり着くまでには長い道のりがある。

 国王は兵を持たせることを提案したが、彼は断った。その必要はまったくないもので、むしろ今のうちに国を発展させることを優先してほしいとまで言った。

 心配する国王に彼はこう説明した。


「道沿いに新たなトーチを立てて面積を少しずつ広げるのです」


 それを聞いて国王は納得した。確かにそうすることで結果的に何の邪魔が入ることもなく町や村に到達することができるのだ。彼が取った対策はシンプルなものだが効果は素晴らしいものだ。

 一人で行くという彼の言葉に並々ならぬ決意を感じた国王は彼の提案を快諾し、国は発展することに注力した。

 彼は王に説明したような方法でそれぞれの集落に到着すると、それらをすぐさま囲い込んだ。そうすると魔物は一切入れなくなる。彼の能力はこの世界の人々にとってまさに天からの恵みに相違なかったのだ。

 彼の噂は隣国にもおよび、ひいては世界中にまで広まった。


 そして長い時間が経ち、今やこの世界で人類の領地に魔物が攻め入ることはなくなった。

 彼は喜んだ。世界中で人々が心から安心して暮らしていることに。とても長い時間がかかってしまったが、このような世界が出来上がったことに彼は満足した。


 そして彼は満足感とともに、最後の役目を果たそうとしている。

 彼は再びトーチを置いた。

 すると今まで聖域に入れなかったはずの魔物が瞬時に聖域と思われていた場所に入り込んだのだ。

 面積を広げすぎた聖域は囲む場所を再認識し、反転した。

 これによって人々は無残にも殺戮され、この世界で魔物がその天下を統一したことは言うまでもない。

 彼は自分の能力に笑みをこぼした。

もしよろしければ一番上まで戻り、青年がどういった存在だったかを知った上でもう一度お読みください。

二度楽しめるように書いたつもりです。


発想自体はありきたりなので、似たような内容の短編がもしかしたらあるかもしれません。もし二番煎じだったらすみません。

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