闇か光か!?
『蒼斗くん!向こうから凄い勢いで何者かが接近してくるっ!!』
「なにっ!??」
マップで確認すると赤いマークがこちらに凄い勢いで接近してくる。
「なんだこの赤いマークは!?」
『それは他のプレイヤーを示すマークだよ。でも安心しないで、この接近の仕方は…』
なんだ味方か。と先ほど蒼斗が歩い来た道から急接近してくる人影に向かって大きく手を振る。
「おーーーい!!」
しかし、接近してくる人影はある程度の距離で止まり今度は___
大きな火炎弾を放ちその火炎弾は先程の接近してくる速度を遥かに凌駕した速度で蒼斗めがけて一直線に向かってくる。
「なんでだよーー!!??」
まさかの奇襲に慌てて光創を構えた蒼斗だが、直撃は免れたものの、凄まじい爆風に吹き飛ばされ辺りに薄黒い黒煙が立ち込める。
『蒼斗くん!!接近してるよ!構えてっ!!』
黒煙で視界が悪い為マップで確認するともうすぐそこまで接近してくる奇襲者。
「おい!てめぇーいきなり火炎弾とはどーゆー事だアホ!死ぬとこだったじゃねぇかっ!」
吹き飛ばされ転げたまま、奇襲者へと訴える。
その瞬間、充満していた黒煙がサッと晴れ奇襲者の姿が露わとなった。
そしてその女は蒼斗を見下ろして告げる。
「あら?これでも加減したのだけど?それにあなたなら死なないと思ったわ。」
随分な事言ってくれるじゃねぇかと思い奇襲者の女を見上げた。
その女は__とても綺麗だった。
魔導師と思わせるとんがり帽子に長く煌やかな金髪ロングのスタイル抜群。
世の男が一目見れば惚れ込んでしまいそうになるほどのルックスだ。
だが、今は見とれている場合ではない。
蒼斗は勢いよく立ち上がり光創を構えたまま、彼女を睨む。
「綺麗な顔してるくせに随分と過激なプレイしてきやがるじゃねぇか。おまえプレイヤーなんだろ?」
彼女は杖を構えたまま、無表情で蒼斗を見つめているだけだ。
美女に見つめられ少し恥ずかしくなった蒼斗は少し視線を逸らした。
「だ、黙ってねぇで、質問に答えろよ。」
「あなたに質問があるわ。あなたは闇?それとも光?」
美しい声音だが、どこか敵意も感じ取れる美女。
流石の蒼斗も少し警戒していた。
「なっ…お、俺が先にし、質問してんだろ?」
蒼斗が一歩前へ踏み出そうとしたその瞬間、
「動かないでっ!!動かないで質問に答えなさい。あなたは闇?それとも光?」
杖を強く構えた彼女は少し声を荒げた。
蒼斗も反射的に動きを止めたが、まず彼女の質問の意味を理解してない。
蒼斗は黙ったままメニューに尋ねる。
『どうゆう事だ?光?闇?そもそもこいつは仲間なんじゃないのか?』
しかしメニューは、
『ごめん蒼斗くん。僕は君以外のプレイヤーの音声を認識する事は出来ないんだ。』
『まぢかよ!?つかえねーなおまえ』
頭の中でのやりとりに夢中で、目の前の女の事を放置気味の蒼斗。
彼女もまた自分が放置されてる事に少し苛ついていた。
「あら?無視とは随分な事ね。質問に答えないならあなたを敵とみなすわ。それでいいかしら?」
口調は穏やかなものの、敵意丸出しの発言。
蒼斗も下手に動いたりはせず、光創を構えたままだが、先程の火炎弾をもう一度放たれては困る。
ここで、蒼斗は敢えて光創を地面に落とした。
「いやーそのー…僕はあなたと戦うつもりはありませんよ?なんつーか、あなたもプレイヤーなんですよね?」
両手を挙げて戦意が無い事をアピールする。しかし彼女は杖を構えたまま無表情で蒼斗を見つめている。
「ええ。私はプレイヤーよ。だからあなたに確認したいの。闇なのか光なのかをね。」
「よくわかんないけど、プレイヤーなら仲良く___」
初めて聞く単語に少し困惑するが、彼女がプレイヤーだと認識し、少しホッとしたのか手を差し伸べ握手しようと一歩前へと踏み込んだが、彼女は杖を蒼斗の顔に突き付けた。
「動かないでって言ったでしょ?」
「なっ!?」
杖を突きつけられ固まるが、彼女がプレイヤーだと言うのなら蒼斗に戦う理由は無い。とりあえず落ち着いて話そうぜと杖を除けようとしたその瞬間背後から何かが放たれ蒼斗の背中に凄まじい衝撃が走り、全身が痺れて地面に崩れ落ちた。
「いってぇぇ!?なんだこりゃーーー!!?」
全身が痺れて身体を一切動かす事も出来なくなった蒼斗。
すると急に背後から気配を感じた。
そしてその__
二人目の奇襲者は背後から彼女の隣へと歩いて来て蒼斗を覗き込む。
「バカだなぁ。ねぇさんが忠告したのに無視するからだよー」
二人目の奇襲者___
それは金髪のくせっ毛頭が特徴的で、白いローブを羽織っている少年。見たところ14歳ぐらいだ、
そして小柄な身体に見合わぬゴツい弓を持って、無邪気に笑っている。
蒼斗は地面に倒れたまま、二人を睨みつける。
「おめぇら何が目的だ?」
少年は無邪気に微笑み人差し指を立てて告げた。
「俺たちはこれ以上余計な敵を作りたくないからね。おまえみたいな新入りに挨拶しに来たって訳だ。」
「ルー・C、説明になってないわよ。秋沢蒼斗くんあなたはなんの願いでこの世界に来たの?」
ルー・Cと呼ばれる少年の意味不明な説明を彼女が今度は少し優しく説明してくれた。
「何の願いって?どーゆー事だ?それに何故俺の名前を知っているんだ?」
「あなたの名前の事はさておき、あなたは現実世界からこの世界に召喚される時メニューって言う奴と契約したはずだわ。その時にあなたはなにか、一つの願いを伝えたはずよ。それはなに?と尋ねているのよ。」
痺れながら、少し前に召喚された時の事を思い返す。
「姫を守りながら冒険したいって言った事か?」
彼の発言にプッハハと吹き出すルー・C。
「お前正気か?そんな願いの奴初めてみたぜ」
余程面白かったのか無邪気に爆笑してるルー・Cを後目に彼女は表情を崩さず構えていた杖を下ろす。
「つまり、あなたは姫と冒険したいが為にこの世界へと来たわけなのかしら?」
少し自分の発言に恥ずかしくなったのか蒼斗は視線を逸らし照れ気味で答えた。
「わりーのかよ。それが俺の憧れなんだから仕方ねぇじゃねぇか。」
それを確認すると彼女は少し微笑み手を差し伸べた。
「そう。なら私たちもあなたと戦う理由はないわ。これからは同じプレイヤー同士仲良くしましょう。私の名前はシャオフウ。よろしくね蒼斗くん!」
「俺はルー・Cだ!よろしくな変態さんっ!」
「よ、よろしく。って誰が変態だくそ餓鬼ぃ!!」
握手しようと手を出そうとしたが、やはり痺れていて動かす事が出来ない。
「なぁそれより、この痺れてなんとかしてくれないのか?」
あっ忘れてたと苦笑いする二人。
「あーそれ背中に刺さってる矢を抜けば解除されるぜ!」
あっそうなの?と思い背中に手を向けようとしたが、
「だから動かせねーって言ってんだろうがアホっ!!」
からかって楽しんでるルー・Cにムキになる蒼斗
そんな二人のやり取りを呆れながら見ていたシャオフウは蒼斗の背中に刺さってる矢を抜き、ため息をついた。
「それより蒼斗くん。そのだらしない格好なんとかした方がいいわ。」
彼女の冷静なツッコミにかなり恥ずかしくなり顔を真っ赤にしながら抗議する蒼斗。
そして3人はとりあえず蒼斗の身だしなみを整える為、一度商業エリアへと戻る事にした。




