ROG:EX1-1/流星群と突然の大食い
ROG:2の終わった後のお話である。ちなみにこれを投稿した時点ではまだ終わってない。
青白い星の煌めきが、いくつもラインをひいては消えていく。
遠くに立ち並ぶ屋台の灯りのおかげで、儚い冬の夜空はいつもより輝いて見えた。段々大きく広がっている気がして、今にも飲み込まれそうだ。
……人気のない高台の上で、ボク達はそんな空と祭の灯りを眺めていた。
一般区域の人間達(昔のトーホクの人達はお祭り騒ぎが好きと聞いたけど、今はどうなんだろうか)は、きっと『こんな冬に祭なんて頭がおかしい』と思うだろう。
だけど、今日は100年に一度のお祭り『流星祭』。100年周期で特大の流星群が観測される特別な日!これを見ずしてあの世には逝けないと思えるぐらい、素敵なイベントなのだ!
……ふぅ、ついつい興奮してしまった。とにかく星が大好きなボクの目には、今の光景が夏の花火大会よりずっと綺麗なモノに映ってしまう。それぐらい楽しみにしていた行事だ。
「むー……」
カスタード入りのたい焼きをくわえながら、ひっそり感動していた。
「……クロがあんなに興奮してるとこ見たの初めてだなー」
「そ、そうなのか……?俺は2回目だが」
「まぁどちらにせよ、ああなったクロトはいつもより可愛く見えるよねぇ」
「むーむがーっ!!」
寝無の仮面を剥ぎ取り、たい焼き(麻婆豆腐味・激辛)を口の中にシュウゥゥゥ!!
「んあぁぁぁぁ!!?」
「エキサイティングっスねドン!!」
言おうとしていた事を言われてしまい、悔しく思いながらたい焼きを平らげた。
「ぷは。……まぁね。これを逃したら100年も待たなきゃダメだからさ」
「むちゃくちゃ楽しみにしてたんスねー……どっちかは分からないっスけど」
どうやら、澪には今のボクが『どう考えても食べ切れるハズがない量の食べ物に埋もれている』様に見えているらしい。
残念ながら不正解。正しくは『本来食べるべき量の食べ物を抱えている』、だ。バケモノの様な出力の身体を維持するには、それ相応のカロリーと量がいるのである。
……それは、トランと淋が当番な時の三食を足しても足りないほど、なのであまり動かないと言う訳。決してひきこもりではない。
ボク自身完全に把握出来てないけど、10日間飲まず食わずで過ごすためには約10000キロカロリーぐらいが必要と思われる。全世界のお姉様方が涙するレベルの量である事に違いはない。
「おいクロ……どんだけ食べるんだよ、太るぞー……」
「やめろ時紅!!きっとストレスを食事にぶつけているだけだ……俺にはそれ以外考えられない……」
「違うって、これぐらい食べないと動けないからだって!!それでボクが太った事なんてないよ!!」
「食べないと動けない……ああ、もうそんな時期か……可哀想に」
「うっわ何これ辛ぁ……本当笑えない量だよねぇ、丸々太る様が目に見えるよ……けほっ」
「千絋はまだ可愛らしいから免除しておくけど……寝無は死にたいのかな?」
「おい絶望野郎……ちょっとツラ貸せ」
ボクが武器を構える前に、澪は寝無を引きずりながら森の奥へ消えていった。
トランと淋は別行動で、屋台を回っている。テトに保護者役を頼んであるから、事故の心配はない。あるとすれば、淋が咲に襲われるかもしれない……ぐらいだ。でもテトが止めてくれるだろうし、危険は実質ない様なモノである。
……そうだ、良い事を考えた。
「どうかしたか?姉貴……悪い顔をしているぞ」
2人っきりにしてしまえば、関係が進展するに違いない。
「そう見えるかな。……ちょっと食料補充しに行くよ、何かあったら連絡する。後時紅、耳貸して」
ぼけーっとしていて貸す気もないらしい。わざわざ近づいて、耳元で囁く。
「せっかく2人っきりにしてあげたんだから、熱くなってよね?」
「?……ここら辺全部焼けば良いのか……?」
「……いや、違うから……もう今のは忘れて」
ため息をつくと、芝生を派手に抉って高台から飛び降りた。
__最近、飛び降りる事に快感を見出だした様な気がするのは……どうやら間違いじゃないみたいだ。
クロトは大食いさんです。隠れて大量にお菓子とかカロリーメイト的なのを食べてます。結局こいつが組織で一番金を使っているのであった。