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鮫は鼻先をチョンとして

「Why!?」


何回自分で動かそうとしても足は固定されているようで動かない。

何故だ!俺は逃げたいのだ!あの彼方へ!じゃなくて逃げたい!

そうこうしている間に同じ様に逃げている男達と魔物……だろう!うん、その距離は縮まって結局戦闘っぽい状況となった。


何が起こっているのか自分でもさっぱりだが、とりあえず男達は逃げるのを諦め戦う事にしたらしい。大丈夫なのか?ここは天国だぞ、悪い事しちゃお尻叩かれるんじゃないのか!いや、生きる為なら戦う事も必要で……天国だから死んでるし!意味が分かんなくてイパーイ!


しかし明らかに魔物と男達の力に差があり、魔物の攻撃に死していく……んんぅもう分かんないけど倒れていく男達。その隙に1人だけ逃げていく小さな人影があった。もしかして自分だけでも……とか言う卑しい奴の魂か!と忠告しようにも足が動かない。そう俺は動けない。

ならば声をかけるだけでも……と思い切って大声で叫んだ!


「君!仲間を見捨てるつもりか!」

「……!?」


あれ、何か一瞬驚かれたみたいだけど。

変な事を言ったのかな。

まさか日本語が適応しないとか……そうだよ!よく考えたまえ、天国と言うのは外国の観点から想像されるものであり、日本人ならば極楽と称し……という事はここは天国で俺は天国であれ?日本人だから極楽に行かないと……ん?


「そっか……俺は疲れているんだな」


ここが天国だろうと地獄だろうと構わないじゃないか。

もう死んでるんだし。

とりあえず生前は悪い事してないはず。でもこのまま動けないのもどうかと思う。気づけばあのちっさい子は遠くに走り去ってしまい反対側を見ると戦った男達の動かぬ死骸が……


「もしかしたらあの子だけでも逃がそうとしたのかもしれないな」


そう言う友情があってもおかしくない。

ところで魔物はなぜ俺を見るんだろう。

うーん……やっぱり巻き添えと言うのだろうか。

のっしのっしと魔物は俺に近づいてきて、もう眼前にまで迫っていた。


やべ……痛いのは嫌。


思えば一つ悪い事をした事がある。

友達と握手しようとして手に画びょうを仕込ませて思いっきり握手して痛がらせた暗黒歴史が。

その時から俺駄目だったんだろうな。子供心に恐ろしさを感じる。あ、そう言えば鮫を撃退するときは鼻先を触るんだっけ……思い起こした暗黒歴史を早々に忘れ、ふーとため息をつきながら「ちょん」と魔物の鼻先に触れてみた。



―カッ!


「ん?」


ドゴオオオオオオオオオオオオォオン!



「……」


Why?


鼻先に触れてみただけなのに、こんなに効果てきめんなのか

魔物は一瞬にして俺に突き飛ばされ、何か倒してしまったのか動かない。

鮫の撃退方法がこんな所で生かされるとは……スゲーな俺。ああでもここは天国だし、何が起こってもおかしくない。

でもそう思えば足が動いていれば、彼らを救う事が出来たのに……動かぬ屍は何処か寂しくぽつんと野ざらし状態だった。


ある意味俺も野ざらしだけどな!

足動かねぇもん!


立ったままと言うのも疲れるのでとりあえず座ってみた。

動けないならとりあえずこれからどうするか考えなきゃいけない。

ん、疲れる。そう言えば……と思ってもう一回立ってみた。


「……」


う、ん?

疲れてない?

足が棒になるーとか言う疲労感が無い。

これも死んだから感覚が無いという事なのだろうか。でも生前の感覚も知ってるしとりあえず座ってみる事にした。


やっぱりこの場から動けないのねー

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