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ミカミ艦長の航行日誌  作者: 双子亭
第1章
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『ゴルテア運送商会』第2話

長い間、投稿できずすみませんでした。

    アイガイオン、特別救護室ーーーー









 アイガイオンは無人島での戦闘後、船体修理の完了してからすぐに航行を開始した。行き先はゴルテアの言う『ダラム』という惑星だ。その間、ゴルテアにダラム星系の特徴を聞くと、どうやらこの星系で人が住んでいるのはダラムの星にしか住んでいないらしい。そして太陽とダラム、12の無人の惑星でこの星系は構成されているようだ。



 ダラムを実質統治しているのは『通商連合』に所属する豪商『ベルガン』と呼ばれている者で金儲けのためならば手段を選ばない、金の亡者で有名らしい。そしてこのゴルテアはベルガンの商会に借金をしているため、しかたなく傘下に入っているようだがあまり関係が良くないようだ。先の盗賊団もベルガンの差し金だとゴルテアは思っているようだ。



「借金しているのに食料を用意できるのか」

「ハン、それについては俺の家についたら分かるぜ」



 あまり信用できない笑みを浮かべるゴルテアに俺は溜息をつくと目の前の星系の地図に視線を戻した。



《艦長、まもなく目的地に到着します》

「わかった。ゴルテア、このまま惑星に向かえばいいのか?」

「いや、家はダラムの衛生軌道上にある廃棄ステーションだ」



 ゴルテアがそう言うと部屋の壁にダラムの星とその衛生軌道上にあるオンボロなステーションが映し出された。



「ーーーこれか?」

「ああ、それだ。よかった、ぶち壊されて無くて………」



 ゴルテアが体を震わせながら喜んでいる中、俺はただ静かにダラムとステーションを映しだした映像を見つめた。









    ダラム星系惑星ダラム、衛生軌道上廃棄ステーションーーーー









 廃棄ステーションに着いたはいいが、ステーションが小さいので艦を繋げることができず、俺はゴルテアとミコト、数名の護衛とともに輸送機に乗り込みステーションに向かった。ステーションのドックに降り立つと、ゴルテアは輸送機から飛び降りてそのままドックの出口へと駆けて行った。



「いかが致しますか、艦長」

「もちろん追いかけるぞ」



 俺は護衛を1人、輸送機に残し、残りの護衛とともにゴルテアを追いかけた。





 俺達はドックから出ると、いくつものドアが連なる通路に出たが、その1つからゴルテアが出てきた。



「お、おう。お前ら、そこの入り口がオフィスだ。入ってくれ」

「………あぁ」



 慌てるゴルテアが指差す入り口に俺達は入った。オフィスには4つのデスクが向かい合うように置かれており、それとは別に1つの大きめのデスクが窓際に置かれておりその窓からはダラムの星が一望できた。しかしなにより気になったのが………



「………汚っ」



 床一面、食料や飲み物の入っていた容器やらが散乱しており異臭が放たれていた。天井や壁の板が所々剥がれ、配線やメーターなどが丸出しになったりしていた。俺達が呆然としている脇をゴルテアは通り過ぎ、大きめのデスクに腰掛けた。



「へへっ、ここが俺の商会、ゴルテア運送商会の本部だ」

「それにしては………」



 俺は周りを見回した。



「なんだ?」

「ここで働いているのはゴルテアだけか?」

「………ああ、そうだよ。俺だけだ」



 俺は真ん中の4つのデスクを見た。



「あぁ、そのデスクは昔ここで働いていた奴のだ」

「? 今は働いていないのか?」

「あ、その、だな………」

「………」

「し、仕事中に、死んだんだ」



 ゴルテアは偉そうな態度を取っていたが、俺の言葉から一変して冷や汗を滝のように流し始めた。この男、隠し事ができないなと心の中で呟きながら俺は話しを進めた。



「つまり、ここでは命を賭けた仕事もするというわけか」

「だ、大丈夫だ! 昔と違って今は危ない依頼は受けないようにしている!」

「………」

「ほ、本当だ! 信じてくれ!」



 ぴょんと飛び上がってゴルテアは慌てたように訴えた。



「………多少の危険は構わない。武装もしているから大丈夫だろう」

「そ、そうか。じゃあ商会にーーー」

「商会にも通商連合にも我々は所属しないが、ゴルテアからの依頼は受けよう」

「む……… まぁ、それでもいい。じゃ、仕事の説明をしよう」



 ゴルテアからの仕事の説明はこうだった。商会は依頼主から依頼を受け、契約した運送人に指示をだす。荷物を目的地まで運送する、あるいは依頼主まで荷物を運送するのが主な仕事内容となっており、仕事が完了すると報酬金がもらえる仕組みになっている。



「つまり、ここで食料が貰えないのか?」

「せ、星系共通通貨が報酬金だ。ダラムで使えるからそこでーーー」



 俺は思いっきりゴルテアの机を叩き、睨みつけた。



「ヒッ!」

「ーーーー仕事内容は」

「す、ステーションの2番ドックにある貨物をダラムの武器商人、ユナの所に運んでくれ」

「分かった」



 俺はゴルテアから依頼の情報の入ったタブレット型情報端末を受け取ると、護衛達を連れてデスクに突っ伏すアリクイを置いて部屋から出て行った。









    アイガイオン、ブリーフィングルームーーーー









 2番ドックに行き、赤茶色のコンテナを3つ、輸送機でアイガイオンに運び込み、今はアイやアレスとともにブリーフィングルームでさっきのゴルテアとの出来事を話した。



「艦長、先程のコンテナをスキャンした所、殆どが武器弾薬などでした」

「そうか」

「それで先程話してくださった件ですが、艦長は今後どのように動こうと思っていますか」



 アイに聞かれて俺は腕を組んで答えた。



「最初に話していた事とかなり違っているし、ゴルテアの性格にも不安がある。だが現時点でこの星系においての唯一の協力者であることに変わりはない。しばらくの間はゴルテアの依頼を受けていこうと思う。ただし、警戒を怠らない」

「不安ではありますが、自分も賛成です」

「そうね、私もそれでいいと思います」



 2人の賛同を得ることで俺は安心し、コンテナを輸送機に載せ、ゴルテアに指示された座標に向けてアイガイオンを飛び立った。









    惑星ダラム、ハッダードーーーー









 ダラムは地表の殆どを荒地に覆われており、湧き水の出る場所に人々が都市を作って生活している。ゴルテアに指定された座標はダラムの『ハッダード』と呼ばれるダラムで最も人口が多い都市の中であった。



 ハッダードとはダラムの古い言葉で鍛冶を意味する言葉であり、宇宙に開けるより以前より星から産出される鉱石を用いた鍛冶産業の盛んな都市であり、現在では鉄鋼業、造船業、武器製造が盛んな都市となった。またハッダードは宇宙船の往来が激しい都市でもあり、都市を囲むように大小様々な宇宙船のポートやドックが設けられている。



 輸送機はその中でもあまり使われていないポートへと降り立った。



「……ふぅ」



 俺は輸送機から降りると目の前に広がる都市を見渡した。都市全体はアラビア風の建物が多く、エキゾチックな雰囲気を醸し出していた。俺は手に持っているこげ茶色のローブのようなものを上から羽織り、フードを冠った。ここに住まう者は外を歩く時はこのようなローブを着て出歩く慣習があるらしく、このローブはステーションのドックに山積みにされているものをいくつか拝借してきたものだ。



「よし、ゆっくり下ろせ」

「3、2、1で持ち上げるぞ」

「3、2、1、よっと!」

「足元注意しろ!」

「誰かこっちも手伝ってくれ!」



 アルファ中隊隊長のグレイの指揮のもと、隊員がコンテナを1つずつ輸送機から下ろす。彼らも皆、装備の上からローブを羽織っている。



「艦長、先行していた隊員から目標の武器商人の商店を確認したのですが………」



 輸送機から降りて俺に先行部隊の報告をしてきたミコトだが、なにやら表情が優れない。



「何かあったのか?」

「はっ、商店の前に人集りができており、隊員も近づくことができなかったとのことです」

「ふむ………」



 俺は腕を組んで座標のある方向を眺めながらしばらく考えた。



「………危険はあるのか?」

「いえ。報告を聞く限り、それはないかと」

「分かった。運搬作業を中断して、まずは武器商人ユナに会いに行こう」

「了解しました」



 グレイたちに輸送機を守らせて、俺はミコトや護衛たちと一緒にユナのもとへと歩いて行った。

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