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ミカミ艦長の航行日誌  作者: 双子亭
第1章
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『ゴルテア運送商会』第1話

    戦艦『アイガイオン』、メインブリッジーーーー









 俺はゴルテアから情報を得るとすぐにミコトとメインブリッジに戻った。メインブリッジに戻ると、中では慌ただしく人が行き交っており、緊張がブリッジ全体を覆っている感じがした。俺は艦長用のデスクに着くと、早速、レーダー・センサー担当官のネルが現状報告をしてくれた。



「現在、我が艦の5時方向より4隻の船影を確認。3隻はコルベット級、1隻はフリゲート級で、距離は2万5千。我が艦に向かって速度変わらず接近中」

「艦は今クローキング・システム起動中ですが、シールド・システム起動の際は同時作動はできないので攻撃時は解除しなくてはいけません」

「クローキング・システム、シールド・システムは一度停止するとエネルギー充填のためすぐに起動することはできませんので、ご注意ください」

「まぁ、今回は艦の武装で対処できるから問題ないけど、艦長、一応シールド・システムの展開を勧めるわ」

「分かった、そうしてくれ」

「…………艦長、大丈夫?」

「ん、あ、あぁ、大丈夫だ」

「そう? 手が震えてるみたいだけど」

「……やっぱり、あの宇宙船(ふね)には人が乗ってるんだよな」

「はい」

「そうか…………………… いや、分かった。シールド・システム起動、接近する艦をすべて撃ち落せ」

「了解!」



 そう言うと操縦要員は各々作業に移っていった。俺はホログラムに映された地図を見つめた。アイガイオンは青い印で表示され、5つの赤い印がこちらに向かって来ている様子が映されている。



「右舷全砲門開門確認。有効射程距離に入り次第、攻撃を開始します」

「クローキング・システム停止、シールド・システム起動」

「敵艦、速度変わらず接近中。有効射程距離到達予測時間は3分後」



 手の震えは収まったものの、鼓動はまだ早鐘を打っていたが、俺の初陣は着々と近づいていた。









    ドルク盗賊団旗艦『ディ=アゴ』、メインブリッジーーーー









 戦艦アイガイオンから5時方向に行った所にドルク盗賊団旗艦『ディ=アゴ』が3隻の護衛艦に囲まれながら前進していた。一般に『ギルド』の支援を受けている盗賊団はフリーの盗賊団と比較しても情報量だけでなく武装面でも充実した装備を持っている。だが、この『ディ=アゴ』はそれ以上の武装を施していることから、どれだけ強力な集団かが窺える。そんな旗艦『ディ=アゴ』には大柄なクマのような、というかほぼクマな毛深い人間が曲刀を肩に担ぎながら眼前に広がる雲を眺めていた。この男こそ、『ディ=アゴ』の艦長であり、盗賊団の長でもある男、ドルクである。



「おい、この先にあいつの船があるんだろうな!」

「へい、間違いねぇッスよ! 発信機はあの雲の先から反応があるッス」

「ったく手こずらせやがって。大人しく積荷を渡しゃいいものを………」

「本当ッスよ。一度出会ったら最後、このドルク盗賊団から逃げられないことは赤子でも知ってることッスよ」

「まぁ、それももうすぐ終わるこった。全艦、攻撃用意! 射程に入り次第集中砲火だ!」

「「おう!」」



 ドルクの号令で艦首から次々と砲門が出され、開門された砲塔からはエネルギー充填のため、淡く赤く輝きだした頃、レーダーを見張っていた船員が不審な声を上げた。



「頭! 何か可怪しいですぜ!」

「ぁあ? 何がだ」

「そ、それが…… 発信機の周りがどんどん反応を示し始めていて………」

「おい! なにかあるならはっきりと………」



 その時だった、ドルクが言い切る前に『ディ=アゴ』全体に衝撃が走った。右舷方向から何かが爆発したような衝撃を受け、艦が左右に揺れた。



「ど、どうした!? 何があった!」

「は、はい! それが発信機の方向から突然高エネルギー体が打ち出され、右舷を航行していた『ドルティア』、『レーガン』に接触! 両艦との交信途絶えました!!」

「なっ!!」



 ドルクは開いた口が戻らなかった。長年、幾多の荒事をくぐり抜けてきたこの4隻は傷つくことはあっても大破することはなかった。それが今、眼前で起こっていることに思考が追い付かなかった。



「頭! 『カルロ』、エネルギー充填完了、攻撃を始めました!」

「お、おい待て」



 ドルクの制止も聞かず、攻撃を開始した『カルロ』は数撃の攻撃を放ったが先程と同様の衝撃とともに『カルロ』の砲撃音は止んだ。



「か、『カルロ』との交信途絶えました!!」

「…………」



 ドルクは思わず、曲刀を手落としてしまった。屈強な艦が3隻も、しかも短時間で落とされてしまったことに思考は完全に止まっていた。





 そしてこのことが後になって仇となる。





「目標、目視で確認できる距離に入ります!!」

「………………何だよ」





 ドルクの眼前には、





「…………何だよ、おい」





 見たことのない、巨大な





「……何なんだよ! これは!!」




 楔形の艦船の砲門がすべてこちらに向いてた。









    戦艦『アイガイオン』、メインブリッジーーーー









「ターゲットα、撃沈を確認」

「全艦の撃沈を確認しました。作戦成功です」

「アイガイオン、攻撃態勢解除。通常警戒態勢に移行します」

「アイガイオン、今作戦での損傷は軽度、現在修復作業を開始しました。修復時間は20分」

「アイガイオン、シールド・システム解除。クローキング・システム起動」



 ブリッジのオペレーター達が淡々と報告をしていく中、俺はメインモニターに映された、炎上して落ちていく宇宙船(ふね)を眺めていた。



「ふぅ、終わったか」

「えぇ、この星系の盗賊団というものの戦力が計れて良かったわ」

「まぁ、そうだな……… アイ、俺はゴルテアの所に行ってくるよ」

「…………えぇ」



 俺はそのまま立ち上がると、ミコトと供にメインブリッジを後にした。









「副艦長、艦長の様子が何やらおかしいようでしたが何かあったのでしょうか?」

「えぇ、でも問題ないわ。アレス、墜落機の発信機の捜索を開始して」

「イェス、マム!」









    戦艦『アイガイオン』、特別救護室ーーーー









 俺はミコトと供に特別救護室の前まで来ていた。中を覗くとゴルテアはベッドを抜けて部屋の中をウロウロ歩き回っていて、アリクイの顔はよく分からないが、焦っている様子だった。



「艦長、あの者、何やら焦っているようです」

「ミコト、さっきの戦闘の音は内部には聞こえてないのか?」

「いえ、この特別救護室は収容室と同様の造りをしています。なので外の音は聞こえないと思います」

「そうか、じゃあさっきの戦闘を聞いてなかったのか」



 そう答えると俺は部屋の中に入った。部屋に入るとゴルテアは俺の方に近づいてきた。



「お、おい! あいつら追い返したか!?」

「あぁ、全滅した」

「おぉ、そうか。全滅したか………… ん、全滅?」

「そうだ、4隻の宇宙船(ふね)はすべて撃墜した」

「なっ!!」

「なんだ、まずかったか?」

「い、いやなんでもない!」

「それで話があるのだが………」

(あいつらを皆殺しだと! 何なんだよこいつらは!!)

「…………おい、聞いてるか?」

「ん、あ、あぁ、悪い。もう一回言ってくれ」

「ドルク盗賊団を追い返したら、こちらの要求を聞いてくれるということだが、忘れてないか?」

「あぁ、そうだったな。それで、俺にできることに限るが何かあるのか」

「食料を頂きたい」

「どれくらいだ?」

「8,000人分の食料だ」

「なっ!! 無茶言うんじゃねよ! そんなに用意できるか! せいぜい300〜500人分だ!」

「4,000人分だ」

「600人分! これ以上はまけられねぇ」

「4,000人分」

「うっ」

「………」

「わ、分かった。もし俺の条件を飲んでくれるなら、何人分でも食料を用意することが出来る」

「条件?」

「そうだ、俺の考えだとお前さん方の不利益にはならないと思うぜ」

「その条件というのは何だ?」

「あぁ、それはな……………」



 ゴルテアはそう言うと、ゴーグル状の義眼を妖しく光らせて、













「『ゴルテア運送商会』に入らないか、あんたら」













    ーーーー俺はこの誘いが新たな問題を引き起こすだろうということを、薄々感じていたが、選択肢は1つしか残っていなかった。

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