表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

プロローグ

初めまして、『双子亭』です。

初のSF作品ですが、楽しく書いていこうと思います。

    ????ーーーー









「ん、んん? 今何時だ………」



 俺は目が覚めると枕元の目覚まし時計を探そうと手を伸ばしたが、不意に違和感を覚えた。



(あれ、俺の部屋ってこんなに片付いてたか?)



 そう、本当なら寝る前に読んでいた漫画や小説が乱雑に置いてあって、時計を探しながら意識が覚醒していくのがいつもの習慣なのだが、今日はそれらに手が当たらない。



(それに布団の感触がいつもとちがうような………)



 俺は徐々に意識を覚醒しつつ、今自分が自分の部屋ではなく、見知らぬ部屋にいることを理解し始めた。



(どこだ、ここ)



 ベッドから抜け出した俺は周りを確認した。部屋は照明が落ちているせいでよく分からないが、手探りで辺りを探っていると机らしきものを見つけた。



(何かここを知る手がかりはないか)



 机を探っていると俺は何かのボタンらしきものを押したような気がした、と同時に目の前にオレンジ色に輝くディスプレイが表れた。ディスプレイには様々な図や表、それの説明を補うと思う、見たことのない文字が映し出されていた。



(何でだろう…… 見たことのない文字はずなのに、何が書いてあるのかが分かる………)



 ディスプレイに映されているのは『航行記録』で現在の航行ポイント及び今までの航行路を表しているのだということが分かった。



(『航行記録』? 航行って、船や飛行機とかに使う言葉だよな。じゃあここは船の中ってことか?)



 そう思って、机上のキーボードを使って他の情報を探そうとした時だった。



「うっ!」

「失礼します。艦長、お目覚めですか?」



 突然、部屋の明かりが付いた。突然の明かりで目を閉じてしまったが、徐々に慣れて周りを確認すると、扉の前に一人の女性が敬礼した状態で起立していた。



 年は10代後半から20代前半位で身長は平均的な女性の高さだろう。後ろで束ねた黒髪は腰まで届きそうな長さであり、しなやかな体躯を黒い衣装に身を包んだ女性で一番目を引いたのが、明かりの付いたこの部屋でも輝きを見せない瞳だった。



「艦長、どうかなさいましたか」

「いや、その艦長って俺のことか?」

「はい、網膜認証、声帯認証、ともに艦長のものと判断。艦長が艦長であると認識します」

「? 君はいったい何者だ」

「はい、私は戦闘課要人護衛部所属のタイプΣのガイノイドです」

「ガイノイド?」

「一般的に女型機械人のことを定義する言葉ですが、艦長」



 彼女、ガイノイドは扉から跳躍して俺の前に立った。突然のことに俺は思わず、後ろにあった椅子に座ってしまった。


「先程の会話パターンから、艦長がある種の記憶障害を患っているのではと判断いたしますが、ちがいますか?」

「え、あぁ、うん、そうだな。少し記憶が曖昧な感じがするな(こう言っておけば何かしらの情報が手に入るだろう)」

「やはり。では今から記憶障害用治療を行います」



 そう言うと、いつの間にかガイノイドの手にスタンガンのようなものが握られており、先の方からバチバチと光りながら弾けるような音が、って本当にスタンガン!!



「少々ビリビリしますが、我慢していた………」

「ま、待って! それ以外にち、治療法ってないの!」

「いえ、ありません。ですから、少しビリビリしますから………」

「わ、わかった! 君が俺に関する情報を喋ってくれたら、何だか思い出しそうな気がする!」

「………それは命令ですか?」

「え、あぁ、命令だ」

「分かりました。それではこれより艦長のプロフィールを開示します」



 ガイノイドは空中を指で円を描くように動かすと、さっきの机上のディスプレイと同様のものが空中に表れた。





     Name:クウヤ・ミカミ

     sex :male

     age :20




 俺が見た限り、自分のプロフィールが合っているのはそこまでで、あとはもう、聞いたことのないような大学や軍隊などの名前が列記してある経歴が書いてあるだけ。



「あ〜 本当にこれが俺のプロフィール?」

「はい、出航時にインストールされた情報はこれですので……… もしやまだ思い出せないのでは」



 そう言うとまたスタンガンを俺に近づけてきた。無表情でバチバチいうスタンガンを近づけてくる様子は軽いホラーを感じる。



「いや、思い出した! うん、もう完璧に!」

「左様ですか」



 どこか残念そうな様子でスタンガンをしまったガイノイドはそのまま俺に向き直って姿勢を正した。



「それでは艦長、ご命令を」

「はっ?」

「ですから、ご命令を」

(命令って、何言えばいいんだよ。変なこと言ってまた記憶障害だなんだって騒がれてスタンガン突き付けられるのは勘弁したいし………)



 そう考えていると不意に喉の乾きを感じた。起きてからしゃべり続けて口が乾いたのだろう。



「ん、すまないけど、水かなにかもらえないか」

「水、ですか………」

「何か、問題でもあるのか?」

「いえ、艦の飲料水が底をつきかけているので定期食事時間以外での飲料は控えていただいた方が良いと私は具申します」

「はっ? じゃあ食料は?」

「非常食がありますが、それでも3ヶ月分しかありません」

「…………」



 水が尽きかけて、食料も残り少ないって問題じゃないかと思った俺はガイノイドに尋ねた。



「近く(の島)で補給とかできないのか?」

「はい、現在艦は無人星の衛星軌道上に待機している状態なので食料及び飲料水の補給も可能です」

「そうか、じゃあまずはそこに行こうか」

「了解しました」



 ……………………ん、今何か聞き捨てならないことが聞こえたような



(………無人星? 衛星軌道上?)

「ちょっといいか」

「はい、何でしょう?」

「俺が今乗ってるのは”(ふね)”だよな」

「はい”宇宙船(ふね)”です」

「あぁ、その、正式名は?」

「? この宇宙船(ふね)の正式名称は多用途戦術戦闘兼作戦指揮司令艦船、ウラヌス級宇宙航行戦艦『アイガイオン』です」



 人間はあまりに驚きすぎると開いた口が戻らなくなるというが俺はまさにそれを体現していた。









 ーーーー宇宙船………その言葉を正しく理解するために、ガイノイドがまたどこからともなくスタンガンをだし、バチバチ鳴らしながら近寄ってくるまで、開いた口は戻らなかった。

感想をお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ