第8話 ゴブリン討伐! 地下二階完全制覇!
(こいつ、あの時扉の向こうで唸り声を上げてたやつだ……!)
膝がガクガクと震える。
でも、逃げるわけにはいかない。
『ガウウウゥゥッ!』
狼の魔物が、床を蹴って猛スピードで飛びかかってきた。
「うわぁぁっ!」
ぼくは無我夢中で剣を振り上げる。
ガキィンッ!という重い衝撃が両腕を突き抜けた。
「フェル! えいっ!」
エマの放った炎の魔法が、狼の顔面を直撃する。
ジュウウッという音とともに、狼が怯んで体勢を崩した。
「いっけえぇぇ!」
シュパンッ!
強化された剣が、狼の胴体を深く切り裂いた。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
なんとか狼の魔物を倒し、ぼくたちは荒い息を吐きながらその場にへたり込んだ。
「ねえ、フェル。これ……食べられないかな?」
お腹をグーッと鳴らしながら、エマが倒れた狼を見つめている。
(女の子が魔物を見てよだれ垂らすの、どうなんだ……?)
でも、罠にかかる獲物はもうない。
ぼくたちは狼を地下一階の拠点に持ち帰り、さっそく焚き火で焼いてみた。
恐る恐る口に運ぶ。
「……うーん」
「……うまくも、不味くもないね」
パサパサしていて、前に食べたウサギのお肉には遠く及ばない。
でも、贅沢は言っていられない。生き残るための貴重な食料だ。
お肉を食べて体力を回復し、少しずつ戦闘の感覚を掴んできたぼくたちは、再びダンジョンへと潜った。
スライムと比べると、やはり狼の魔物は手強かった。
倒しては食べ、倒しては食べを繰り返したのだが。
「く……」
油断してしまい、狼に噛まれた。
腕の傷から血が出ていた。
「フェル! 大丈夫!?」
心配したエマが駆け寄ってくる。
「だ、大丈夫……。心配ない――」
そこまで行った時に、身体中がドクンと弾ける感覚がした。
指先が痺れる。
(……毒? 体が……)
ぼくはそのまま倒れ込むと、ゆっくり意識を失っていった。
◆◆◆
「――フェル! フェル!! しっかりして!」
エマの声で、ハッと目を覚ました。
(あれ? ここは……)
ここまでエマが運んでくれたんだろうか。
僕はベットで横になっていた。
「もう、びっくりするじゃない!」
目に涙を浮かべていたエマが、安堵の表情を見せた。
「ごめん、エマ。 もう問題ないよ。 少し休憩したら再開しよう」
僕はゆっくりとベットから起き上がった。
(……あれ?)
ベッドに腰をかけるエマをみて、なんだか変な感じがした。
なんだろう。
うまく言葉にできないけど、なんか違和感がして、僕は目をゴシゴシとこすった。
そこにいるのは、いつもと変わらないエマ。
(……疲れてるのかな)
僕はもう少しだけ、ベッドで横になった。
そして再び、エマと共にダンジョンへと潜った。
「ギギャアアッ!」
次に立ち塞がったのは、緑色の肌をした人型の魔物、ゴブリンだった。
手に持ったボロボロの棍棒を、めちゃくちゃに振り回してくる。
「うわっ!」
ガツンッ!
剣でガードした腕が、ビリビリと痺れた。
(スライムや狼とは違う。武器を使ってくるのか……!)
「フェル、しゃがんで!」
エマの声に反応し、とっさに身を屈める。
頭上を、エマの炎がゴォォッと通り抜けていった。
「ギャンッ!?」
炎をまともに食らい、ゴブリンがたじろぐ。
「今だ! やぁっ!」
ザシュッ!
僕は勢いよく踏み込み、ゴブリンの胸に剣を突き立てた。
ドサリと重い音を立てて、魔物が崩れ落ちる。
「やった……!」
エマとハイタッチをして、勝利を喜び合う。
一人じゃ絶対に勝てなかった。エマとの連携があってこその勝利だ。
ふと顔を上げると、ゴブリンが守っていたかのような通路の奥に、階段があるのを見つけた。
「フェル……これって」
「ああ。間違いない」
「下への、階段だ」
(この奥には、一体なにがあるんだ……?)
僕たちはお互い顔を見合わせて、気を引き締め直し階段を降りた。
行き止まりに、大きな金属の扉。
地下三階への扉は、今までで一番重く感じた。
冷たい金属の取っ手に手をかけ、エマと二人で顔を見合わせる。
「……開けるよ」
「うん。 何が出ても、あたしの魔法でぶっ飛ばしてあげる!」
エマが頼もしく杖を構えた。
僕は覚悟を決めて、思い切り扉を押し開ける。
ギィィィ……ッ!
重い音を立てて開いた扉の先から、ふわっと暖かい風が吹き込んできた。
「えっ……?」
「うそ……」
僕たちは、目の前に広がる光景に言葉を失って立ち尽くした。
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