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第5話 念願のお風呂タイム! ……って、なんで下着がTバック!?

(何? 今の声……)


 バタンッ!!


「「…………」」


 無言で、勢いよく扉を閉める。


「……やばい。 引き返そう」


「う、うん。 大賛成」


 全力で階段を駆け上がり、地下一階のベッドルームまで戻る。


「まずは、衣食住をしっかり揃えることが先決だよね!」


 震える足を押さえながら、二人で激しく同意した。


(絶対にエマと二人で生き抜くんだ……!)


 ぼくは心の中で強く決意し、ひとまず目の前のベッドへと倒れ込んだ。 



 翌朝、ぼくはある作業に取り掛かっていた。


 森の中で見つけた、木の実。

 焚き火の薪から出た、余りの灰。

 それと、あれとこれと。


「エマ、クラフトしてみて」


 エマの手を握って成分、工程をイメージして送り込む。

 エマの「えいっ!」っという掛け声と共に、白い塊が完成した。


「フェル。 これって……まさか」


 エマの手が小さく震えている。


「そう、そのまさか。 石鹸だよ――」


 そのセリフが終わる前に、「ありがとう、フェル!」と、エマが抱きついてくる。

 そして、再びのむにゅん。


(……なんでこんな知識があるのか、自分でも不思議だけど)


 記憶はないのに、頭の中には生き抜くための様々な情報が詰まっている。

 まあ、今は、エマのむにゅんを堪能しているのだから、深く考えないでおこう。


「――ちょっと、エマ!」


 顔を赤らめたぼくだったが、即座に顔をしかめて、エマを引きはがす。


「ごめん。 あまり言いたくないんだけど、その――」


 女の子に向かって言って良いことなのか悩んで、口をつぐんでしまう。


「なによ、もじもじして。 男だったら、もっとはっきりと言ってくれる?」


 エマが鋭い目つきでにらみつけてくる。


「……あのさ、なんというか、すごく言いにくいんだけど……、実はぼくたち、かなり臭いかもしれない……」


「……え?」


 エマは目を丸くして、自分の体をクンクンと嗅ぎ、顔をしかめた。


「うげぇ……最悪。 お風呂入って、洗濯したい……」


 エマが目に涙を浮かべる。


「それなんだけど、もう一度調べたいことがあるんだ」


(ここで生活していた人がいるのなら、もしかすると――)


 僕たちは、地下一階へと、再び足を踏み入れた。


 前回の調査時、調べていなかった部屋。

 扉を開けると、そこに広めの空間があった。


「フェル、これ……」


「どう見ても、お風呂だよな?」


 そこには、石造りの立派な浴槽があった。

 天井を見上げると、空調のような太い管が地上へ向かって伸びている。

 換気もしっかりできる作りだ。


 蛇口のようなものを捻ると、暖かいお湯まで出てきた。

 魔石を使って火の魔法を応用しているのだろうか。

 かなり高度な魔法技術であることだけは分かった。


(無人島の地下に、なんでこんな快適な設備があるんだ?)


 謎は深まるばかりだけど、そんな疑問はエマの歓声にかき消された。


「やったー! お風呂だ、お風呂!」


 エマが大はしゃぎで、ぴょんぴょんと飛び跳ねる。


 そして、ピタッと止まる。


「……フェル、着替えを作ろう」


 エマがいつになく真剣な眼差しで、こちらを見つめた。


「いくら体が綺麗になっても、服が汚れていたら、なんの意味もないわ」


「……確かに」


 そんなわけで僕たちは、森で繊維が多そうな草や、木の皮をたくさん集めた。


「ワンピースをお願い」


「わかった!」


(ワンピースをイメージ……)


 エマの手を握りイメージを送り込む。


 エマの「えい!」と言う声と共に、ワンピースがハラリと完成した。


「ありがとう!それと……」


 エマが珍しく、もじもじしている。


「どうしたの?」


「あの……。 し、下着も作って欲しいんだけど……」


「え?! 下着??」


 思わず大きな声を出してしまい、慌てて口を押さえた。


(下着って、あの下着だよね……)


「お風呂に入るなら、下着も変えなきゃでしょ?」


「まあ、そうだけど……」


 エマと繋いだ手に少し汗がにじんだ。


「ちゃんとイメージできる?」


 エマが上目遣いでこちらを覗き込む。


「できるよ!」


 声が上擦る。


(イメージするんだ、エマの下着のイメージ……)


 エマの下着!

 イメージすればするほど、どんどん体が熱くなってくる。


 (だめだ、雑念を消さないと)


 こちらの雑念を読み取ったように、横でエマがニヤニヤと笑っている。


(イメージ!!)


 目を閉じて、雑念を振り払う。


「できた!」


 エマが、嬉しそうな声を上げた。


「……フェル。 なんか、この下着……」


 エマが手に持っていたのは、布面積の少ないTバックの下着。


 ぼくは必死で言い訳しようと、口をぱくぱくと動かすが声がでない。


「ふ〜ん」


 エマが意味ありげに笑って、ぼくの耳元で「フェルのエッチ!」と小さくささやく。


 なんだか、耳元でささやかれた声にたまらなくなってしまい、ぼくは目を回して倒れそうになった。


 そして、いよいよ念願のお風呂タイム。


「地下二階から変なの来ないか、ちゃんと見張っててよ!」


 エマにそう言われ、ぼくは通路に立って地下二階へ続く階段の方を見張っていた。


 背後からは、ちゃぷん、と気持ちよさそうな水の音が聞こえてくる。


 ふと後ろを振り返る。目隠しのために張った布のカーテン越しに、ほんのりとエマのシルエットが映っていた。


(……!!)


 女性らしい滑らかな体のラインが、くっきりと浮かび上がっている。

 そして、体を洗うたびに揺れるふくらみの影。


(さっきのあのエッチな下着……、お風呂上がりに穿くんだよな!?)


 良からぬ妄想が頭を駆け巡る。

 仕方ない。男なんだから!


「フェル! ちゃんと見張ってる?」


「う、うん! ちゃんと見張ってるよ!」


 危険なダンジョンの見張りをしているはずなのに、ぼくは一人で勝手に興奮して顔を真っ赤にしていた。


 ◇◇◇


(……今日も、罠には何もかかってないな)


 森に仕掛けた罠を確認して、ぼくはため息をついた。


 助けを求める船を探して、毎日海を眺めているけど、船どころか海鳥すらいない。


 石鹸を作って、お風呂に入って、ベッドで寝て。

 ぼくたちの無人島生活は、とても順調だと思っていた。


 エマの魔法とぼくのイメージを合わせた『クラフト』にもすっかり慣れた。


 罠でうさぎを捕まえて、美味しくお肉を食べる日々。

 このまま、平和な生活が続くと思っていた。


 でも、ここ数日、うさぎがまったく捕れなくなってしまったのだ。

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