第3話 初めての魔法クラフト!完成、穴あきマグカップ!
「さあ、まずは食糧の確保ね!」
エマの元気な掛け声で、ぼくたちは再び森へと足を踏み入れた。
(……さっきはビビっちゃったけど、今度は大丈夫)
歩きながら、木になっている果物を探す。
よく見ると、色とりどりの果実がたくさんぶら下がっていた。
でも。不思議なことに、ぼくの知っている果物をは少し違っていた。
「フェル、これ食べてみて!」
手渡された赤い果実を、恐る恐るかじる。
「見た目はりんごっぽいかな? うわ、酸っぱい!……でも、美味しいかも? っていうか、なんでぼくが毒味を……」
「あはは! 私のこと、守ってくれるんでしょ?」
エマは笑いながら、次から次への果実を口元へ運んでくる。
「……甘い!」
「これはいけるよ!」
「苦い……」
片っ端から、果実をかじり続けた。
苦いもの、甘いもの、酸っぱいけど美味しいもの。
なぜか「これはヤバそう」と感じるものがあり、それは避けた。
記憶がなくても、本能的に覚えているのかもしれない。
とりあえず、食べられそうな果物をいくつか確保できた。
「そういえば、最初に森に入った時、うさぎみたいな動物を見たよ。 フェルがビビって私に抱きついてきた時に」
エマが、ニヤニヤと果物をかじりながら教えてくれた。
「本当?それなら、他にも色々と小動物がいるかもしれないね。 ……っていうか、あれはビビったんじゃないから!」
ぼくは手を振って、全力でそれを否定した。
果物だけじゃ、すぐにお腹が空いてしまう。
生きていくためには、お肉の栄養も絶対に必要だ。
「狩りの道具とか、罠とか、そういうのが必要かも」
そう提案すると、エマはぶんぶんと首を横に振った
「ダメダメ! まずは石鹸とベッド、それにお風呂が必要だよ!」
(……女の子だなぁ。気持ちはわかるけど、まずは住より食じゃない?)
ポツ――。
急に空が暗くなったかと思うと、冷たい雨粒が落ちてきた。
そして、突如「ザアアアアア」という音と共に、バケツをひっくり返したような大雨になった。
「うわっ、スコールだ!」
「フェル、あっちに洞窟がある! 走って!」
エマに手を引かれ、小さな洞窟へと飛び込む。
「はあ、はあ……。 びっくりした……。 びしょ濡れだよ」
洞窟は二人で雨宿りには十分な広さだった。
ふと隣を見る。
雨に濡れたエマの服が、肌にぴったりと張り付いていた。
思ったよりも膨らんだ胸のラインがはっきりと主張していて、思わず目を逸らす。
なんだか、心臓の音がいつもより大きく聞こえた。
「寒いね……。フェル、風邪ひいちゃうよ」
エマが体を震わせている。
ぼくは、急いで洞窟の中にあった枯れ枝を集めた。
「エマ。 最初に見せてくれた炎の魔法、出せる?」
「うん、できるよ!」
エマに火をつけてもらい、あっという間に暖かい焚き火が完成した。
焚き火の前で、服を乾かす。
(向かい合うと、どうしても目がいっちゃう……。 視線を悟られないようにしないと)
できるだけ見ないようにして、二人で横に並んで揺れる炎を見つめた。
「そういえば、エマの魔法ってさ。 火を出す以外にどんなことができるの?」
「うーん……そうだなぁ。 クラフトと言って、形を変えたり作ったりすることもできるんだけど……ゼロからは無理なの。 元になる『素材』が必要なんだよね。 でも私、美術的センスがほんとなくて……」
エマはそう言って、近くにある石を拾った。
「えい!」
石が光を放つ。
すると、エマの手にコップ……のようなものが出来上がった。
「これはコップ……であってる? なんか底がないけど……」
手に取って向こうを覗き込んでみる。
「コップよ! だから言ったでしょ? センスがないのよ……」
(魔法はすごく便利だけど、なんとかならないかな……)
いろんなものを、作り出すことが出来れば、この無人島生活が一気に楽になる。
設計図をかく?
でも結局はエマがそれを具現化できないと意味がない。
「……イメージを共有できないかな?」
考えていた言葉が、無意識に口から出た。
「フェルがイメージして、私がそれを魔法で生成する……」
エマが難しい顔で黙り込んだ。
その、数秒後。
「じゃあさ、フェル」
ぎゅっと、手を握りしめられた。
「ちょ、エマ。何!?」
急に手を握られて、頭が真っ白になる。
「あたしにイメージを送ってみて!」
「そんなことできるの?」
「分かんないけど、ダメ元で。 ね?」
キラキラとぼくを見つめてくる。
「よし、わかった。 やってみよう!」
頭に思い浮かべる。
エマのおっぱいの形――違う!
コップの形をだ。
(頭に構造をイメージするんだ……)
握っている手が、ほんのりと光を帯びる。
「キタキタ! フェルのイメージ来たよ!」
エマは嬉しそうに、別の石に「えい!」と魔法をかけた。
「「出来た!」」
エマの手には、立派なマグカップが握られている。
「やったー!」
急に抱きつかれて、ぼくは押し倒された。
「すごい、すごい! フェルのイメージがはっきりとわかったよ!」
(すごい、エマの形も今はっきりとわかった……)
肩に当たった、柔らかい感触。
ふっと、急に意識が遠のく。
「フェル、鼻血が出てるよ! フェル――」
エマの声を聞きながら、ぼくはそのまま意識を失った
別にエッチなことを考えたせいじゃない
エマの魔法のせいで、魔力を吸われたことが原因……なはずだった。
『面白かった』『続きが読みたい』と思っていただけましたら、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします!
面白かったら★5つ、つまらなかったら★1つ、正直な感想で結構です。
また、ブックマークもしていただけると嬉しいです。
皆様の応援が、作品執筆のエネルギーになります!




