第10話 巨大牛が猛突進!? 命がけの極上・焼肉パーティー!
地下三階の森を拠点にして、数日が経った。
ふかふかのベッドで眠り、小川の綺麗な水を飲み、甘い野菜や果物を食べる。
地下一階や二階での張り詰めたサバイバルが嘘のように、平和な毎日だった。
「フェル、見て見て! こんなに大きなお芋が取れたよ!」
「すごいなエマ! 今日の夕飯は焼き芋にしよう」
僕たちはクラフトしたかごに、収穫した野菜をどっさりと詰め込んでいた。
これだけでも十分生きていけるけど、やっぱり育ち盛りの僕たちにはお肉が必要だ。
(狼の肉はパサパサだったし、やっぱりウサギみたいに美味しいお肉が食べたいな……)
そんなことを考えながら、森の奥へと足を進めていた時だった。
ガサガサッ!!
前方の背の高い茂みが、大きく揺れた。
「エマ、下がって!」
僕はとっさにエマの前に立ち、腰の剣を抜いた。
茂みを掻き分けて姿を現したのは――。
『ブモォォォォッ!!』
大地を揺らすような低い鳴き声。
僕たちの背丈の倍はありそうな、巨大な牛の魔物だった。
黒光りする毛並みに、太くて鋭い二本の角が生えている。
「う、牛だ……! でも、デカすぎる!」
「フェル、気をつけて! こっちに来るよ!」
牛の魔物が前足を激しく地面に擦りつけ、鼻息を荒くした。
次の瞬間、ドスッ、ドスッという重い地響きを立てて、猛スピードで突進してくる。
「うわあっ!」
僕は間一髪で横に飛び退いた。
牛の魔物が通り過ぎた風圧だけで、体が吹き飛ばされそうになる。
そのまま近くの大木に角が激突し、メリメリッ!と木がへし折れた。
(あんなのまともに食らったら、一溜まりもないぞ……!)
「エマ、魔法で足止めを頼む!」
「わかった! えいっ!」
エマの杖から放たれた炎の玉が、方向転換しようとしていた牛の顔面に命中した。
ジュウウッ!
毛が焦げる嫌な匂いが広がり、牛の魔物が怯んで動きを止める。
「そこだぁっ!」
僕は地面を強く蹴り、一気に距離を詰めた。
両手でしっかりと剣を握りしめ、渾身の力を込めて振り下ろす。
シュパッ!
強化された刃が、牛の太い首筋に深く突き刺さった。
『ブモォォ……ッ』
大量の血を吹き出しながら、巨大な体がドサリと崩れ落ちる。
ズズンッ、と地面が揺れた。
「はぁ……はぁ……」
僕は荒い息を吐きながら、剣を引き抜いた。
足の震えが止まらない。一歩間違えれば、やられていたのは僕たちの方だ。
「フェル、すごい……っ! 倒したよ!」
エマが駆け寄ってきて、僕の背中をバンバンと叩く。
そして、倒れた巨大な牛の魔物を見て、ゴクリと生唾を飲み込んだ。
「フェル……これって」
「……ああ。 大漁だ」
僕たちは急いで拠点に牛を運び込み、さっそく解体作業に取り掛かった。
大きな焚き火を作り、分厚く切ったお肉を石の板に乗せて焼く。
ジュウウウッ!
脂が弾け、食欲をそそる信じられないくらい良い匂いが辺りに充満した。
「ん〜っ! おいひいっ!!」
「最高だ……! 狼のお肉とは全然違う!」
噛むほどに肉汁が溢れ出し、口の中でとろけていく。
美味しいお肉と、甘い野菜。
僕たちはお腹がはち切れそうになるまで、焼肉パーティーを堪能した。
「あー、美味しかった……。 もう食べられない」
エマがポンポンとお腹を叩きながら、芝生の上に寝転がる。
僕も満足感でいっぱいだったけど、片付けのために自分の剣を見て、深くため息をついた。
「エマ。 美味しいのはいいんだけど……剣でお肉を捌くの、いい加減しんどいかも」
魔物を倒すための長い剣は、細かい作業には全く向いていない。
おまけに牛の脂でギトギトになっていて、手入れも大変だった。
「確かに……。 大きすぎるし、洗うのも大変だよね」
「料理用のちゃんとした包丁が欲しいな。 それに、フライパンやお鍋があれば、もっと色んな料理ができるのに」
エマが体を起こし、目を輝かせた。
「クラフトで作れないの!?」
「木や石じゃ、直接火にかけられないからね……。 どうしても金属の素材が必要なんだ」
美味しいお肉を、もっと美味しく、綺麗に食べるために。
僕たちは翌日から、金属の素材となる鉱脈を探して、森のさらに奥へと探索を進めることに決めた。
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