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俺はどうすればいいのか分からないです……。

ハードボイルド・セブン

エピソード7. 正義

第56話




日光はエンジンをかけ、アクセルを踏んだ。運転するロボットになったように、運転にだけ集中した。先輩が時々うめき声を漏らすたびに、脊椎がピンと伸び、首が締め付けられるような感じだった。病院に到着してからのことは、どうなったかよく覚えていない。こっちを酔っ払いだと勘違いしたのか、無断でロビーに入っては行けないと止めようとしたフロントの従業員が先輩の状態を見て驚いて何か叫び始めた。医師と看護師がどこからか駆け出し、先輩を移動式ベッドに乗せて引きずっていった。日光はロビーに一人残された。意識が少し戻った時、自分が震えていることに気づいた。大丈夫ですか?ロビーの近くで騒ぎを見ていた他の患者が飲み物を差し出した。日光はぼんやりとそれを受け取った。


目を抉り取ることは初めてではない。日光の人生ではよくあったことだった。その感触やターゲットが感じる痛み、そしてターゲットが一生背負わなければならない障害に直面し、精神的に崩れる瞬間。そんなことは日光には何の感興も与えなかった。日光は気づかずに拳を握りしめ、飲料水の缶を破裂させてしまった。中身が手のひらからぽろぽろと零れ落ち、床を濡らした。日光は手のひらを広げた。めちゃくちゃにへこみ、ところどころ破れた缶が、まるで先輩のようだった。自分の悪さのせいだ。結局、本当に取り返しのつかない傷を負わせてしまった。


手術が終わった後、赤見は麻酔から覚めるとすぐに日光に家に帰って自分の机の上の箱を持ってくるよう命令した。日光は傷ついた赤見のそばを離れたくはなかったが、催眠命令を受けていたため、仕方なく家に帰った。何が入っているのか分からない箱を持って、再び赤見の病室に戻るためエレベーターに乗った日光は、赤見がかけた催眠命令が、日光がその任務を完了する前にゆっくりと解けていくのを自覚した。先ほどまで自分の体を支配していた催眠から解放された日光は、その場に立ったまま固まってしまった。首の後ろに不快な鳥肌が立った。先輩の催眠術は先輩の目から作動する。それなら俺のせいなのか?先輩が片目を失ったから?俺のせい?弱くなった。俺のせいだろう。先輩の催眠術が弱まった。俺のせいで。


これは危険だ。このままでは先輩の意志と関係なく、俺が先輩から離れてしまう。危険だ。俺がいつでも後輩としての自分を捨て去ることができるようになれば……。


しかし、日光が本来の自分に戻ったとしても、赤見を殺さないかもしれない。前回のバルコニーでの会話で、日光も赤見もその新しい選択肢の存在を知った。赤見を殺さずに放そうとした日光を止めたのは赤見の方だった。それなら日光は、ただどこかに赤見が知らない場所に去ってしまった方が良いかもしれない。先輩も自分も安全だ。ただ、先輩との関係が断たれるだけだ。


日光は、赤見が自分に持ってくるように使った箱を睨みつけた。これだけを持って行って、永遠に消えてしまおうかと思った。そんな考えに驚いた。日光はひたすら先輩に近づくために、この半年間生きてきたからだ。しかし、ずっとそばにいて、自分の手で先輩を傷つけてしまったら、俺はどうすればいいのか分からないです……。日光は混乱の中から箱を開けた。


メリークリスマス、日光。赤見先輩より。


短いメッセージカードの下には、薄い白のストライプ模様が刻まれたワイン色のネクタイがあった。ひまわりも認める高級ブランドだった。ファッションというものを全く知らない先輩としては、おそらく調査をかなりしたはずだった。日光は箱を再び閉め、赤見の病室に入った。出る時は赤見と一緒だった。



包帯を解き、義眼を入れた右目の上に眼帯を付けた赤見は、片目が見えない生活に急速に適応していった。主治医まで赤見さんは前向きな性格だから、すぐに治りますと冗談を言うほどだった。お前は先輩が何を失ったのか知らないんだ。日光は医者の軽い態度に腹が立ったが、先輩の前で騒ぎを起こすわけにはいかなかったため、拳を握りしめた。どうせ先輩が傷つき弱った原因は日光自身だ。そう考えると、手から自然と力が抜けた。日光は手のひらに滲み出る汗を太ももに擦りつけて拭いた。日光の気持ちなど全く知らない赤見は、医師と向かい合って微笑みながら、病院での最後の検査を終えた。

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