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尊敬していると言っていたのに、酷すぎる。

ハードボイルド・セブン

エピソード6.福世

第40話




ちょうど12時になって、二人は旅館に到着した。遅い時間にもかかわらず、きちんとしている無地の着物で着て入り口で待っていた従業員が、二人を迎えてくれた。従業員は日光が予約した部屋まで案内し、部屋に含まれているオプションの説明を終えて離れた。オプションは、部屋と直接繋がっている個人用の温泉に関することだった。


そのサイズは大きくなくても、日光にはタトゥーがあるため、温泉に行きたいなら個人用の温泉施設がある高級旅館を探すしかなかったのだろう。赤見は畳の上にあらかじめ敷かれていた二つの布団の一つに体を横たえ、知らんぷりをして日光を探ってみた。


「すごく気を使ったね。こんなに広い部屋に個人用温泉まで。」


日光はワイン色のコートを脱ぎながら、大したことはないように返答した。


「まあ、先輩のお金ですからね。俺は値が張るならいいですよ。それより、まだ服も着替えていないのに、布団の上に横にならないでください。」


ここで余計に小言を言っていると反駁を試みても、日光の論理で武装した長い演説に負けるだけだと、赤見はここ2ヶ月間の生活で既に知っていたため、ただ口を閉じて、布団の横に畳んでいた白い浴衣を取って立ち上がってから、日光の胸元に向かってそれをぽいと投げた。日光はもちろん、簡単に浴衣を受け取った。


「私は君よりも寝る時間が遅いから、君が先にお風呂入ったらどうか。それとも一緒にしてもいいし。背中を洗ってあげる。」


日光は目尻を尖らせた目を大きく見開き、赤見を見つめた。赤見は日光の顔から明らかな困惑を読み取った。それは一瞬で消え去った。そしてその代わりに現れたのは、赤見の息の根を締しめつけるような狩人の目だった。


「先輩、おかしいですね。」

「何が?」


返す声が震えなかったのが奇跡だった。やはりタトゥーは地雷素材だったのか?一度くらい軽く触れてもよかったのに、何も言わないから聞いちゃいけないのかなと思って、できるだけ自然に聞く機会を狙っていたのに、会話が苦手な赤見がそんな風に空気を読んでタイミングを計るようなことができるはずがなかった。結局、全部置いといて、気楽に過ごそうと約束したここ2ヶ月間にも、赤見は日光のタトゥーについて一言も口にすることができなかった。


「寝ている間に新幹線で移動させられ、突然こうやって大阪に来ることについて疑問に思うのは誰だって当然だから、いくら俺が宿で話そうと言ったとしても、駅から降りてタクシーに乗り換えた後ですぐに理由を説明しろと怒られると思ったんです。だから、個人的なことだからやはり宿で二人きりの時に話すと、また先輩を説得しようと思っていたんです。しかし先輩、タクシーに乗って来る時、何も聞かなかったんですね。だから、あ、先輩も宿で話そうと言った俺の言葉を真剣に受け入れたんだ、そう思ったのですが。そうではなかったんですね。俺が間違っていました。」


うわ、それ、完全に忘れていた。


「やっぱり情報屋は情報屋ですね。この俺より先に行くとは。しかもその事実を隠そうともしない大胆さ。これまで先輩が幼虫のようにだらだらしている格好を見て、内心は催眠術でもかけていない限り、ただの怠けた引きこもり無職のおじさんに過ぎないと思っていたのに、これでは完全にやられました。最初から知っていたんでしょう?俺がここに先輩を連れてきた理由を。」


いや、分からないけど、分からないと言えることが絶対に無理な雰囲気になってしまった。それより、そんなに私を情けないと思っていたのか、こいつは?尊敬していると言っていたのに、酷すぎる。近いうちに催眠命令で体罰でもして、序列整理を確実にしておかなければ。


「あ、まあ。そうだな?」


赤見の返事を聞いた日光は、持っていた浴衣がくしゃくしゃになるほど両手を強く握りしめた。


「先輩が反対したり断るかもしれないと思って、寝ている間に無理やり連れてきたのはすみません。知っていたことからみると、やはり来たくなかったのでしょう。」

「それは、だから、大丈夫だ。」

「許してくれるんですか?」


……こいつ、そんなに大きな過ちをしたのか?


「とりあえず、お風呂入ってから話そう。」


赤見は問題から避けたい気持ちで、床に残っていたもう一着の浴衣を手に取り、浴室へ向かった。日光の足音が赤見の後を続いていた。

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