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赤見組!

ハードボイルド・セブン

エピソード5.正保組

第32話




「だから、この女の子は何だって?」

「現役の殺し屋です。そうは見えないけど、俺が直接教えたので実力は保証します。」

「蓮と申します!よろしくお願いします!赤見さんを全力で守り、ヤクザをたくさん殺します!」


宇代が死亡した後、石原に春風の所有権を合法的に譲渡できるようにするため、不動産法に精通した専門家を探してインターネットと格闘していた赤見は、日光が殺し屋だと家に連れてきた女の子を見て、黒い目を赤く染めた。日光は大きな手で素早く蓮の顔を覆った。


「しゅ、修羅さん?」

「あ、先輩!やめてくださいよ!苦労して連れてきた殺し屋の業界の人材なのに!」

「その業界のレベルは分かった。それで、何歳だ?中学校は卒業したか?」

「蓮、卒業したか?」

「え?いろいろあったから考えてことないけど、中学校を中退したから、確実にいうと小学校卒ですね。でも、今回の仕事では学歴も重要なんですか……?オレは数学はちょっと自信があるけど、国語や英語は苦手なので……。」

「ガキ、お前、やっぱり理系だな。」


漫才か?赤見は頭痛がしてきそうな眉間を強く押さえ、席に着くよう手招きした。日光が先に座ると、蓮は日光の隣に座り、日光をちらりと見ながら、日光と同じように大人の男のように腕を組んで足を広げたポーズを取った。


「こいつは見た目はただの小さな女の子だから、相手も油断するという利点もありますよ。」

「争いとかはないから。私たちはただ取引のために中に入ることに見えるはずだ。その後は私の能力で組長を誘い出す。大丈夫。それとも私の能力を疑ってるのか?」

「先輩は信じていますよ。でもヤクザは信用できないです。」


どれだけ説得しても、日光は赤見のこの取引は無事に終わるという言葉をそのまま聞かなかった。そんな女の子の助けを受けるのは、日光の性格からして自尊心が傷つくはずなのに、赤見の家まで連れてきたのを見ると、日光なりには本気なのかもしれない。まあ、ヤクザの巣窟に入るんだから、心配するのも当然か。


しかし、赤見には自信があった。催眠術で加利部豊の精神を掘り込んだ経験のある赤見は、その男を完璧に把握していると確信した。


加利部と初めて会ったのは10年前の夏、銀座の高級デザートカフェだった。赤見はただスイーツを味わいに来ただけだったのに、監視されていたのか、そこにその男が現れた。


私と会いたがっていたあのヤクザの組長か。まさか本当に、しかも一人でこんな風に近づいてくるなんて。赤見はため息をついた。加利部の短く刈り込んだ髪が、頭皮の長い傷跡をそのまま見せていていたため、デザートカフェの雰囲気は一瞬で険悪になった。男を意識した客たちは、半分残ったデザートをそのまま置いて、慌ててカフェを去った。カフェの店主は不安そうな表情でテーブルから背を向けて、忙しそうにデザートを作るふりをしていた。


赤見は加利部がカフェに入ってきたから、目を合わせ、彼に事実だけを話すことを催眠かけておいたため、すぐに本題に入った。


「なぜ私を雇おうとする?あなたなら、私というカードを使わなくても、いくらでも敵を踏み潰す力があるはずだ。私の依頼人は法の監視を避けて情報戦をしたいのだ。あなたの場合とは全く違う。」


そう尋ねた10年前の赤見に、加利部は軽く微笑みを浮かべた。左の眉毛の上から始まる傷跡のため、左目の目尻が裂けそうなほど引きつり、その微笑みはまるで狐の仮面を見ているようだった。


「赤田さんだっけ。俺は職業はこうでも、血が飛ぶのがあまり好きではない。できれば俺もその情報戦という方法で、綺麗に仕事を片付けたいけど。それとも赤田さんも、俺のような暴力団は高邁なホワイトカラーとは違って、力ですべてを解決しなければならないと思っているのか?そうすることもできるさ。赤田さんが俺の提案を受け入れないならな。」


男は催眠状態にもかかわらず、相当なオーラを放っていた。裕福な親の下で育ち、安穩な環境に慣れた資産家の軟弱な精神を掘り起こす際には、心配する必要なかった圧迫感が感じられた。赤見は気づかずに額から流れていた汗を拭きながら、うめき声を上げた。


「受け入れないなら、何が起こる?」

「当たり前だろ。拷問の後にに殺す。爪を引っこ抜かれたことあるか?とても痛いんだぞ?」


赤見は考えた。相手が男一人なら催眠術で何とかできるかもしれないが、そうしたらこの男が率いるヤクザの群れは?赤見は目の前が真っ暗になった。


「提案を受け入れる。」

「よく考えたな。報酬はいくら欲しいか?お金でなくても構わない。」

「それじゃ、報酬についてはもう少し考えてから答えてもいいか?」

「いくらでも構わない。取引は取引だ。約束は必ず守る。お前は俺に要請した情報を捕まえてくれればいい。」

「分かった。残りの話はこっちで。」


赤見は早くこの場を離れたくて、営業用の電話番号が書かれた名刺をテーブルに置き、立ち上がった。


「あ、もう一つ言いたいことがある。」

「何?」

「お前、少し色っぽいな。」


赤見は後ろも振り返らずにカフェを出て、そのまま家に引きこもって一週間外に出なかった。


「はあ。行きたくない。」

「何で急にため息ついたんですか?」

「何でもない。でもその格好は何だろう、日光。」


黒いシルクシャツにネクタイなしでワイン色のスーツを着た日光は、これまでで最も華麗で、目を痛いくらい眩しかった。


「乱闘になったらどうせ血まみれになるし、赤が好きになったって言ってましたよね。俺たちの絆を表現したんですよ?」

「絆にも程がある。全身赤のスーツなんて派手すぎる。ホストか?」

「そういえば、修羅さん、赤のアイテムが増えてきましたね。仕事中は修羅さんに倣って黒い服しか着ていなかったけど、オレも何か赤いものをかけた方がいいかな?」

「何?これは俺と先輩だけの絆だ。近寄るなよ!」

「ズルい!あのダサいおじさんのために命まで捧げろって言ってるのに、チームにも入れてくれないんですか!」

「ふむ。お前の言うことも一理ある。」


何が一理あるんだ?赤見はあえてその疑問を口に出さなかった。ともかく蓮の言葉に説得された日光は、自分の部屋からワイン色のネクタイを持ってきて、蓮の黒いシャツの襟にリボンみたいに結んであげた。ただ渡すだけだと思っていたのに。よく見れば、日光にはそんな繊細な部分があった。やはり異性に人気があるタイプだ。きっとあの蓮という女の子も、黒崎のように日光を片思いしているに違いない。そんな感受性が豊かな時期の女の子にとって、日光のようなイケメンのメンターは、暴力的にまでトキメキを感じるはずだろう。同じ男として赤見自身が見ても、日光は確かに魅力的だから。


しかし、リボンに対する蓮の考えは赤見と違っていたようだ。


「え、何?嫌です。ネクタイはネクタイらしく結みたいです。」

「せっかくリボンで可愛く結んでくれたじゃないか。」

「オレは可愛いよりも、カッコよく見られたいんです。」

「そんな奴がバックに人形を付けているのか?」

「それはそれで、仕事中は修羅さんみたいに孤独で残酷な、この冷たい街の中で自分だけの道を寂しく歩む一匹のロンリーウルフのような殺し屋というコンセプトなんです。」

「俺、そんなコンセプトだったか?それよりそういうのはそんなピンクの髪では無理だろ。」

「オレのピンクの髪は、そのコンセプトの反対部分を正確に狙った逆転の魅力ポイントなんです。リボンを加えるとポイントが多すぎて効果が失われるんです。」

「何がそんなに複雑なんだ?お前、今までそんなことを考えながら生きてきたのか?」

「オレが何を考えているか聞いたことないんですから。」

「そうか、まあ、確かに……。でも、この方が、昨日見た女子高生の制服っぽいじゃない?お前もあの子たちと年頃だから、年頃みたいに着たらいいじゃないか。」


そういえば、昨日カラオケを出た時に見た隣の部屋の女子高生たちはリボンタイを付けていた。蓮は自分の前に近づいてリボンの端を慎重に引っ張り、左右対称に整えている修羅を見上げた。修羅と一緒に過ごした2年間、こんな風に自分を気遣ってくれる修羅を見たことがなかった。ちょうど家族の復讐を成し遂げた時でさえ、修羅は蓮に無関心だった。


それでも、この変化は悪くなかった。これから少しだけは頼ってもいいという合図みたいだった。大きな仕事を目の前にしたため、修羅さんもやはり気にかかっていたのだろうか?蓮は修羅が完璧に結んだリボンを撫でながら頷いた。


「わかりました。」

「よっし。これから我々はチーム赤見、いや、赤見組だ。」

「はい!赤見組!出動いたします!」


赤見はもうソファの上に倒れ込んだ。これ以上指摘する気はなかった。

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