タイトル未定2025/11/19 07:38
繁華街から少し外れた、県立高等学校。
レベルが高い男女共立の学校だが、昼休みとなればイマドキの十代らしくにぎやかだ。
水田の一人娘若菜は、親友の白田流花 (しろたるか)と弁当を食べ終え、話に花を咲かせていた。
流花は高校に入ってからの親友で、若菜はいつも流花と一緒にいた。
ロング・ヘアをツインテールにした、小柄な若菜とは対照的な流花は、ショート・ヘアで背が高く、勉強は学年で一・ニを争う秀才だった。
水田若菜の苗字の水から、「スイちゃん」白田流花の白から「シロちゃん」と、クラスメイトからそう呼ばれていた。
「スイちゃ~ん!シロちゃ~ん!」
二人を呼ぶ声が聞こえ、若菜と流花は呼んだ生徒のところへ行った。
「どうしたのよ?」
若菜の問いに、二人を呼んだ生徒は、少し照れている生徒を軽くつつきながら言った。
「この子ったら、彼氏ができたんだって!」
「うっ、そぉ~。ねぇ、相手は誰よ?」
さっそく、若菜が食いつく。
「隣のクラスの男子!」
つきあうきっかけなど、昼休みが終わるまで若菜の尋問は続いたのだった。
放課後。
いつものように若菜は流花と一緒に、学校の正門から出て来た。
「あ~あ……彼氏かぁ……」
昼休みを思い出しながら、若菜はため息まじりに言った。
「スイだって、いつだか告られたじゃない」
「あ~同じクラスの男子ね。好みじゃないわ」
「かわいそ~」
「そう言う、シロちゃんは?」
「私は、男なんて興味ないの」
「なんで~もったいない!」
「私のことより、スイはどうなの?」
「彼氏、欲しいわよ。でも、好きになった人じゃないと、つきあう気になんてなれない」
「そんなこと言っていたら、彼氏なんてできないぞ」
「だって、本当なんだもん!」
そんな話をしながら歩いていると、地下鉄の階段が見えてきて、二人は階段を下りた。
ホームで電車を待っている間も、二人の会話は続いた。
「じゃあさ、スイの異性の好みって、どんなの?」
「う~ん……背が高くてぇ、イケメンでぇ、頭がよくてぇ、やさしくてぇ……」
「はい、はい。わかった、わかった」
流花は若菜の言葉を、さえぎった。
「スイ……あんたそんなんじゃ、彼氏なんて夢のまた夢よ」
「え~じゃあ、シロちゃんは?」
「私?言ったでしょ。男なんて興味ないの」
「シロちゃん……なんかあった?」
「昔ね……」
「えっ?ホントに!何、何?」
「バカね。冗談よ。男嫌いなだけよ」
そう言った流花は、目の前の若菜をじっとみつめた。
「えっ……ちょ……アタシ、そう言う趣味、ないわよ!」
「スイったら!な~に、本気にしているの?も~これだから、スイからかうの面白い!」
流花は、声をあげて笑ったのだった。
しばらくして、ホームに電車が入ってきて、若菜と流花は電車に乗り込んだ。
車内は空いていて、二人は座ることができた。
電車が動き出した時、若菜は思い出したように言いだした。
「パパが昨日行ったbarのマスターに、是非会わせたいんだって」
「barのマスター?意外、会社関係の人じゃないんだ」
「でしょ」
「会うの?」
「う〜ん。どんな人か、ちょっと興味がある」
「わかる。私も、ちょっと見てみたい」
笑いあった後、若菜は話題を変えた。
「ねぇ、シロちゃん」
「ん?」
「今日、何か予定ある?ないなら、このままアタシんちに寄らない?今日は、ママがいないの。一緒に夕飯食べよう」
「いいの?」
「パパは、遅いし。アタシ独りだから」
「そう……じゃあ、スイの家行こうかな」
「やった~」
若菜は両手をあげて、喜んだのだった。




