タイトル未定2025/11/18 12:31
キッチンから物音が聞こえ、ピンク色の可愛いらしいパジャマを着た水田の一人娘、高校三年生の水田若菜 (みずたわかな)は、自分の部屋からキッチンに入って行った。
キッチンでは、水田が冷蔵庫からミネラルウォーターを出して、一気に半分ほど飲んでいた。
「パパ、お帰りなさい。お酒を呑んできたの?」
「ああ、初めて行った店で……いやぁ~あのマスターは、実にいい男だ」
「ふ〜ん」
適当に聞き流す若菜に、水田はムキになって言った。
「外見は、言うまでもない。優しさがこう、にじみ出ているような男だった」
「barのマスターでしょ。商売柄、そんなの当たり前じゃない」
「違う、そんなんじゃない。あのマスターこそ、若ちゃんにピッタリだ。是非、若ちゃんに会わせたい」
「はい、はい。アタシ、もう寝るね。おやすみ」
水田を相手にしない若菜は、さっさと自分の部屋に行った。
自分の部屋に行き、布団に潜ると水田が言った言葉を思い出していた。
……barのマスターかぁ。ちょっと、興味あるかも……。
自宅へ帰った亮は、両親が寝静まった家の中にそっと入り、ざっとシャワーを浴びると、忍び足で自分の部屋に行った。
北神亮は二十代も、後わずかで終わり。
これまで彼氏もいなく、家と会社を往復するだけの日々を過ごしてきた。
会社に行けば、秘書課の社員のおもりと社長のおもり。
家と会社を往復する毎日。
……いつまで、こんな生活が続くのかしら……。
亮は、小さくため息をもらした。
……くよくよしても、始まらないわ!仕事に行く準備をして、少しでも眠ろう……。
自分言い聞かせるように、亮はいつも持ち歩くバックの整理をした。
……あれ?ないわ。携帯がない!バックの中に入っているはずの携帯がない!……。
亮は携帯をなくしたことに、初めて気がついた。
……何処で?……。
亮は一日を振り返る。
どう考えても、最後に行ったbar「ジェシカ」で落としたとしか、考えられない。
……仕方がない、出社したら携帯を鳴らそう……。
そう決めてベッドに入ると、あっという間に眠ってしまった。




