第三章:姫と王子と揺れる心
1. 白雪姫のヒロインに!
内田悠斗(17歳)、今はユキとして生きる高校2年生。双魂の鏡の魔法で美少女に変身してから2週間。気弱なボクがユキになると少し積極的になれるけど、ブラジャーのホックや玲のキラキラに振り回され、心は大忙しだ。
文化祭の準備が進む中、クラスの演劇の配役が決まる。テーマは「白雪姫」をアレンジしたオリジナル作品『海辺の白雪姫』。海辺の王国で毒リンゴに倒れた姫が、王子のキスで目覚めるラブストーリーだ。クラスの投票で、ユキがヒロインの白雪姫役、亮太が王子役に選ばれる。
「え、ボクがヒロイン!? 無理、無理だよ…!」
ユキは顔を真っ赤にして手を振るが、クラスメイトの女子たちが「ユキちゃん、めっちゃ似合うよ!」「あの顔で姫やらないとかありえない!」と大盛り上がり。亮太はニヤリと笑い、「ユキ、いいじゃん。一緒に頑張ろうぜ」とウインク。ユキは(亮太、なんでそんなキラキラした目なの!? ボク、男なのに!)とパニック。
放課後の台本読みで、衝撃の事実が発覚。クライマックスに王子が姫をキスで起こすシーンがある!
「キ、キス!? ボク…私にはムリ! 絶対ムリだよ!」
ユキが叫ぶと、亮太は「まあ、舞台だし、軽くでいいよな? ユキなら…悪くないと思うけど」とニコッ。ユキは(軽くって何!? ボク、男なのにキスとか!)と頭を抱える。
そこへ、幼馴染の彩花が台本を手にやってくる。彩花は小道具係で、ユキと亮太の絡みをチラチラ見ながら、なぜかムスッ。
「ユキ、亮太とキスシーン、ほんとやるの?」
「う、ううん、ボク…いや、私、やらないよ! 無理だって!」
彩花の鋭い視線に、ユキは縮こまる。彩花は(亮太、ユキにやたら絡むし…なんで私、こんなモヤモヤするの?)と心の中でつぶやく。
2. 玲の小悪魔メイクとドレスの魔法
演劇の練習が進む中、ユキは衣装合わせに。星野玲、ギャル風の小悪魔男の娘が、演劇部のメイク&衣装アドバイザーとして登場。
「ユキちゃーん! 白雪姫、めっちゃハマり役! 私がバッチリお姫様にしてあげる~!」
玲はミニスカートをヒラリとさせ、パンティがチラッ。ユキは「う、玲、また見え…!」と目を逸らすが、玲は「ふふ、ユキちゃん、純情すぎ~! もっと大胆になっちゃえ!」とウインク。
更衣室で、ユキは白雪姫のドレスを試着。ふわっとした白いドレスに、胸元のレースが華やか。
玲はユキにメイクを施す。パール入りのアイシャドウ、ふんわりチーク、グロスでキラキラのリップ。
「はい、完成! ユキちゃん、ほんとお姫様! 亮太くん、絶対メロメロだよ~!」
鏡を見たユキは、自分の美しさにドキッ。白いドレスとメイクで、まるで本物の白雪姫だ。
「う、うそ、ボク、こんな…! 玲、すごいよ…!」
「ふふ、ユキちゃんのポテンシャル、引き出してあげただけ~! もっと自信持って、ね!」
微笑む玲の周りに、女子たちがやって来て「玲ちゃん、今日のネイル可愛い!」「ドレスの裾、詰めた方がいい?」と次々に話しかける。ユキは「男の娘なのに、こんな自然に馴染んでる…!?ボクも、こんな風に輝けるのかな…?」と独白し、玲のキラキラした自信に、ユキの心が揺れる。
3. 亮太とのドキドキと彩花のモヤモヤ
練習当日、ユキがドレス姿で現れると、教室が一瞬静まり返る。亮太は目を丸くし、「ユキ…すげえ、めっちゃ似合ってる」と息を呑む。ユキは「う、うそ、恥ずかしいよ…!」と顔を赤らめる。
練習中、キスシーンのリハーサルは「寸止め」で済ませるが、亮太が「本番はちゃんとやろうな」とニヤリ。ユキは(本番!? ボク、絶対ムリ!)と心の中で叫ぶ。彩花は二人の接近を見て、ますますモヤモヤ。
「亮太、ユキとやたら近いよね…。別にいいけどさ。」
彩花のぶっきらぼうな口調に、ユキは(彩花、なんか機嫌悪い…? ボク、なんかした!?)と焦る。
練習後、教室で片付けをするユキと亮太。ポスターを片付けながら、亮太が話しかける。
「ユキ、ドレスめっちゃ似合ってたよ。ほんと、白雪姫って感じ。」
「え、うそ、ドレスなんて着たことないから困ったよ…」
ユキが照れ笑いすると、亮太がふっと微笑む。
「ユキがウェディングドレス着たら、絶対似合うと思うよ。」
「ウェディング!? け、結婚なんてまだそんな…!」
ユキは顔を真っ赤にしてドキドキ。亮太は目を細め、ポツリと呟く。
「ユキと結婚できる男なんて、ホント幸せもんだよな…。」
「そ、それってどういう…!?」
ユキが亮太を見つめ、顔を真っ赤にしていると、教室のドアが開く。ユキと一緒に下校しようとやってきた彩花だ。亮太の言葉を聞き、ユキの赤面した顔を見て、彩花は凍りつく。
「…ユキ、亮太と楽しそうね。じゃ、私、先に帰る。」
彩花は冷たく言い、黙って教室を去る。ユキは(彩花、待って! ボク、なんか悪いことした!?)と慌てるが、追いかけられずに立ち尽くす。
4. 鏡の試練の影
家に戻ったユキは、鏡の前に立つ。ドレス姿の自分を思い出し、玲のメイクや亮太の言葉にドキドキしつつ、彩花の冷たい態度が胸に刺さる。
「ボク、ユキとして輝きたいけど…彩花、なんであんな顔したんだろう…?」
その夜、夢の中でセリカが現れる。その声は少し厳しくなる。
「ユキ、鏡は汝の心を試す。だが、時間は迫っている。心が定まらなければ、鏡は汝を飲み込むぞ。」
ユキは目を覚まし、ドキリ。鏡を見ると、一瞬だけ悠斗の姿がチラつく。
「う、うそ!? ボク、元に戻れるの!? でも、ユキとしてまだ…!」
鏡の試練の緊急性を感じつつ、ユキは決意する。
「ボク、ユキとして文化祭を乗り切る! でも、彩花のこと、亮太のこと、玲のキラキラ…ボクの心、忙しすぎるよ!」(つづく)