第一章:ボクが美少女!?
1. 気弱な少年と鏡の出会い
神奈川県の海沿いの町に住む高校2年生の17歳、内田悠斗は、気弱で心優しい少年だ。人と目が合うだけでドキドキし、教室の隅で縮こまっている。一人称は「ボク」で、クラスでは目立たない存在。唯一の心の支えは、幼馴染の桜木彩花が「悠斗、顔は悪くないよ」と笑ってくれること。彩花のその笑顔が、悠斗にはちょっと特別で、ドキッとする瞬間が増えている。
ある夏の日、祖母の澄子に頼まれ、彼女の古い一軒家で屋根裏の片付けを手伝う。澄子は優しくて少し不思議な人で、昔話が大好きだ。埃だらけの屋根裏で、悠斗は古い全身鏡を見つける。
「うわ、こんな大きな鏡…おばあちゃん、なんでこんなの置いてるんだろう?」
木製の枠には蔦の彫刻が施され、どこか神秘的。興味半分で鏡面に触れると、突然、キラッと光が走り、ボクの身体に電流のような衝撃が!
「ひっ!? な、なに!?」
視界が真っ白になり、意識が遠のく。
2. ユキ、爆誕!
目を覚ますと、悠斗はまだ屋根裏にいる。だが、鏡に映る姿を見て悲鳴を上げる。
「うそ!? だ、誰!? この…美少女!?」
長い黒髪、大きな瞳、華奢な身体。なぜか女子用のセーラー服を着て、スカートがヒラリ。胸を確認すると…柔らかい感触にパニック!
「う、うそ、ボク、女に…!? どういうこと!?」
声も高く、震える。鏡を叩いてみるが、状況は変わらない。そこへ澄子が屋根裏に上がってくる。
「悠斗、騒がしいわね…って、あら、ユキちゃん?」
澄子は一瞬驚くが、ニヤリと微笑む。
「ふふ、双魂の鏡に触っちゃったのね。いい経験になるわよ。」
「お、おばあちゃん!? ユキって?なんで名前知ってるの!? これ、なに!?」
澄子は「まあ、落ち着きなさい」とユキを座らせ、鏡の説明を始める。
「その鏡はね、触った人の『もう一つの姿』を映すの。今、あなたはユキとしてこの世界にいる。しばらくその姿で過ごしてみなさい。自分を見つけるいい機会よ。」
「ぼ、ボク、こんな姿で学校なんて…無理だよ…!」
澄子は「大丈夫、鏡の魔法で、みんなはユキを『初めからいた女子』として認識するわ。ただし、親しい人には少し違和感があるかも」と意味深に言う。
3. ユキ、女子生活の洗礼
翌朝、自室でユキはセーラー服を着て学校へ行く準備を整える。気弱な悠斗とは違い、ユキになると不思議と少し積極的になる。鏡の前で髪をとかし、「…ボク、めっちゃ可愛いじゃん?」と呟くが、すぐに恥ずかしくなる。
だが、問題は山積み。セーラー服の下にブラジャーを着る羽目になり、ホックの留め方に大苦戦。
「うっ、なんで後ろで留めるの!? 手、届かないよ…!」
15分格闘してようやく成功するが、慣れない感触に「これ、ずっと着けるの…?」と顔を赤らめる。さらに、学校へ向かう途中、急な腹痛に襲われる。
「う、なにこの痛み…!? 病気!?」
コンビニに駆け込むと、ショーツに血が。生理だと気づき、ユキはパニック。
「うそ、生理!? ボク、こんなの知らないよ! どうすれば…!」
ナプキン売り場に立つが、種類の多さに混乱。
「え、夜用? 羽つき? スリム? どれ買えばいいの!?」
店員に持っていくのが恥ずかしく、棚の前でウロウロ。結局、適当に選んでレジへ行くが、若い女性店員の「袋にお入れしますか?」に「い、いらないです!」と叫んでしまい、顔を真っ赤にして逃げるように店を出る。
4. 小悪魔な男の娘と幼馴染
学校に着くと、女子たちが「ユキちゃん、今日めっちゃ可愛い!」と絡んできて、ユキは「う、うそ、ありがと…」と縮こまる。男子の視線もチラチラ感じ、気弱な心は大混乱。
昼休み、女子トイレの前で立ち尽くす。
「ボク、男子トイレは…でも、女子トイレって…!」
意を決して入ると、女子たちが鏡でメイク談義。「ユキちゃん、シャンプー何使ってる?」と聞かれ、「ふ、普通の…!」と逃げるように個室へ。
(女子トイレ、怖すぎる…! ボク、場違いだよ…!)
放課後、幼馴染の彩花がユキに話しかけてくる。サバサバした彩花は、悠斗をからかいつつも、実は彼の優しさに心惹かれている。
「ユキ、なんか…どこかで会った気がするんだけど、気のせい?」
鋭い勘に、ユキは「う、ううん、初めてだよ! 」と誤魔化す。彩花の笑顔に、ユキはなぜかドキッ。
(彩花、こんな近くで笑うの…なんか、いつもより可愛い…?)
そこへ、クラスの「小悪魔系男の娘」、星野玲が登場。玲は女装が趣味で、ギャル風のメイクと超ミニスカートでキラキラ。自信満々の小悪魔オーラで、校内でも注目の的だ。
「ねー、ユキちゃーん! めっちゃ可愛いじゃん! 文化祭、演劇部のヒロインやらない? 絶対バズるよ~!」
玲が屈むと、スカートが短すぎてパンティがチラッ。ユキは目を逸らし、顔を真っ赤に。
「う、うわっ! れ、玲、み、見え…!」
「ふふ、なに~? ユキちゃん、純情すぎ~!」と玲はウインク。玲の輝く自信に、ユキは(ボク、こんなキラキラした人に…なれるわけないよ…)と羨望と焦りを覚える。
さらに、クラスのイケメンでサッカー部員・阿鳥亮太が現れ、ユキに話しかける。
「ユキ!文化祭の実行委員、興味ねぇ? お前、なんか目立つよな」
亮太のまっすぐな視線に、ユキは「ぼ、ボク!? いや、私!?」と慌て、顔が真っ赤。彩花がその様子を遠くから見て、なぜか少しムッとする。
(亮太、ユキにやけに絡むな…。なんか、モヤモヤする…)
ユキが下校しようとすると、亮太の「じゃ、明日またな!」の声と笑顔に、ユキは逃げるように帰宅。
5. 鏡と小さな決意
家に戻り、鏡の前に立つユキ。美少女の姿にドキドキしつつ、「ボク…こんな姿でも、なんか悪くない?」と思う。ユキとして少し積極的になれた自分に、気弱な悠斗は驚きつつもワクワク。玲のキラキラした自信や、彩花の笑顔、亮太の視線が頭をよぎる。
「おばあちゃんの言う『自分を見つける』って…なんだろう?」
その夜、夢の中で端正な顔立ちに長い髪の謎めいた人物・セリカが現れ、淡々と言う。
「ユキ、汝の心を映すのが鏡。怖がらず、挑んでみよ。答えは汝の中にある。」
目覚めたユキは、ドキドキしながら決意する。
「よ、よし、ユキとして頑張ってみる…! でも、玲のスカートとか、亮太の視線とか…ボクには刺激強すぎるよ!」(つづく)