第97話(後編): 「沈黙の中にあるもの(夜の席)」 (金曜日)
章太さんの“好き”という気持ちが静かに滲み出し、リンコさんもその空気を受け止めるような構成にしました
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飲み会の席
金曜日の夜。
駅近くの小さな居酒屋。
未来、遥、リンコ、章太の4人が並んで座っていた。
未来が乾杯の音頭を取る。
「章太さん、広報部へようこそ。
そして、懇親会お疲れさまでした!」
グラスが軽く鳴り、静かな夜が始まった。
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◆ 会話の間
未来が笑いながら言う。
「章太さん、広報部に来る前からずっと一緒に仕事してましたよね。あっさり馴染んで」
遥がうなずく。
「そんなに誰かのことが気になるんですか?」
章太は笑う。
「…たぶん、かなり気になるかも…」
リンコは、何も言わずにグラスを傾けた。
でも、その言葉が自分に向けられたものだと、静かに感じていた。
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◆少しだけ個人的な空気
料理が運ばれ、会話が少しずつ緩んでいく。
未来が席を立ち、遥がそれに続く。
ふたりが席を外した瞬間、リンコと章太が並んで残った。
章太が、少しだけ声を落として言う。
「…氷川、ちょっと明日か明後日会えないかな、休みのところ悪いんだけど」
リンコは、少しだけ笑って答える。
「どうしたんです、先輩。あらたまって。もちろんリンコはいつでもOKですよ〜」
「氷川。酔ってるな」
酔ってるフリなのか、酔ってるのか。お互い曖昧な時間が心地よかった。
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帰り道。
4人は駅まで並んで歩いた。
未来と遥が少し前を歩き、章太とリンコが並んで後ろを歩く。
リンコがふとつぶやく。
「明日連絡しますね」
章太は答える。
「了解、じゃあ明日な」
二人は少し頬が緩むのを感じた。
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次回は第98話、土曜日編。
リンコさんが“仕事”ではなく“章太さん”を選びたいと思い始める一日。




