第96話: 「誰かのために残す」 (木曜日)
今回は、章太さんが“誰かのために書く”という感覚を通じて、自分の気持ちに気づく一日。 その気持ちが言葉にならないまま、でも確かに“行動”へとつながっていくような構成にしました。
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広報部の文章
木曜日の朝。 章太は、社内報の文章を手伝っていた。 リンコが書いた下書きに、そっとコメントを添える。
“この余白、誰かの気持ちが入る場所ですね”
未来がふとつぶやく。
「章太さん、最近“誰かのために書く”って感じがします」 章太は笑う。
「…そうかもしれないな。 書きたい、書こうってより、誰かの気持ちを想像しながら書くようになったかも」
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気づきの時間
午後。 章太は、リンコの文章を読みながら、ふと気づく。 自分が“誰かのために”書いているとき、 その“誰か”がいつもリンコだったことに。
「…氷川の文章に触れてから、言葉の使い方が変わった。 でも、それだけじゃない。 …たぶん、好きなんだと思う」
その気持ちは、静かに、でも確かに胸の中にあった。
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未来との会話
夕方。 未来が章太に声をかける。
「明日、仕事終わりに少し飲みに行きませんか? 懇親会の反省会ってことで」 章太は笑って答える。
「…いいよ。 でも、僕からもひとり誘いたい人がいるんだけど」
未来が少しだけ驚いたように笑う。
「…リンコちゃん、ですね?」
章太は、何も言わずにうなずいた。
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明日は何を着ていこうか。
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ふたりの距離が、言葉ではなく“行動”によって静かに近づいていく様子を描いていきましょう。




