第95話: 「言葉の外側にあるもの」 (水曜日)
今回は、章太さんがリンコさんの文章に触れ、自分の言葉の使い方が変化していることに気づく一日。
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広報部の文章
水曜日の朝。 章太は、リンコが書いた社内報の下書きを読んでいた。 言葉の選び方、間の取り方、そして余白の残し方。 どれも、企画部とは違う“気配”を持っていた。
「…文章って、書き手でここまで変化が表れるんだな」
そうつぶやきながら、章太は一行だけコメントを添えた。 “この余白、誰かの気持ちが入る場所ですね”
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ふたりの調整
午後。 リンコと章太は、社内報の見出し案を並べていた。 言葉を交わすよりも、並んでページをめくる時間のほうが長かった。
リンコがふとつぶやく。
「先輩のコメント、いつも“外側”に触れてくるんですよ」 章太は笑う。
「文章の中身もだけど、誰が読むかを考えないといけないからな」
未来がそっと言う。
「それ、広報部の文章にすごく合ってますよ」
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気づきの時間
夕方。 章太は、自分が書いた過去のコピーを見直していた。 “伝える”ことに集中していた頃の言葉は、どこか硬かった。
今は、“残す”ことを意識している。 誰かの気持ちが入る余白を、少しだけ残すようになった。
「…氷川の文章に触れてから、自分が変わった気がするな」
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「なんだか最近変な感じだな」「なんだか最近変な感じ」
偶然二人の声が重なる。お互い見合って一瞬固まる。
「氷川、ごはん食べに行くか?」
「先輩あざーす」なんだか変な感じ。
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ふたりの距離が、言葉を通してさらにやわらかく近づいていく様子を描いていきましょう。




