第90話: 「隣にいるという異動」 (金曜日)
今回は、章太さんが正式に広報部へ異動する一日。 “隣にいる”という感覚が、仕事の配置としても現実になることで、ふたりの関係性にも静かな変化が訪れます。
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告げられる異動
金曜日の朝。 部長が広報部と企画部を回りながら、静かに告げた。
「章太くん、本日から広報部へ異動になります。 …正式に決まりました」
広報部では、未来が小さく息をのむ。 遥は、静かにうなずいた。
企画部では、陸が「やっぱり」と笑い、ひよりが「寂しくなりますね」とつぶやいた。
章太は、静かに頭を下げた。
「…よろしくお願いします」
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広報部の空気
午後。 章太は、仮の席に座り、広報部の資料に目を通していた。 未来が声をかける。
「章太さん、ようこそ広報部へ。 …でも、もうずっといたみたいな感じですね」
遥がうなずく。
「文章の“間”が、もう広報部の空気になってます」
リンコは、章太の隣に座りながら言う。
「“隣にいる”って、仕事の配置でもあるんですね」 章太は笑う。
「なんかそんな気配があったよな」
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企画部の別れ
夕方。 章太は、企画部のデスクを静かに片づけていた。 陸が声をかける。
「章太、広報部でも“伝える”じゃなくて“残す”をやるだな」 章太はうなずく。
「でも、“伝える”も“残す”も、誰かの隣にいることで変わるんだよな」
ひよりが笑う。
「章太さん、広報部に行っても、たまには企画部に顔出してくださいね」
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リンコは家路につきながら顔の端がにやけているのを自覚していた。
「リンコちゃんさらに、仕事頑張れそうだね」遥はリンコをみてにやけた。
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次回は第91話、土曜日編。 章太さんの異動後、初めての週末。 ふたりが“仕事の隣”から少しだけ離れて過ごす時間を描きながら、関係性の輪郭がやわらかく変化していく様子を描いていきます。




