第88話: 「予感が重なるとき」 (水曜日)
今回は、未来が章太さんの異動を予感し、リンコさんにそれとなく伝える一日。
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広報部の静けさ
水曜日の朝。 広報部では、コラボ企画の資料が並び始めていた。 未来がリンコに声をかける。
「章太さん、昨日部長と飲みに行ったみたいですよ」 リンコは、少し驚いたように笑う。
「…そうなんだ。 先輩が部長と飲むって、珍しいね」
未来がうなずく。
「異動の話、少しずつ動いてるのかも。 …章太さん、最近広報部に自然にいる感じしますし」
リンコは、資料を見つめながら答える。
「でも、“自然にいる”って、仕事の空気に馴染んでるってことだよね。 …それって、すごく大事なことかも」
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章太の余韻
午後。 章太は、企画部で資料をまとめながら、昨夜の部長の言葉を思い出していた。
“今いる場所だけが居場所じゃない”
その言葉が、広報部の空気と重なっていた。 未来の笑顔、遥の静けさ、リンコの余白。
章太は、ふと広報部のフロアを見やった。 そこに、自分の“次の居場所”があるような気がした。
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静かな会話
夕方。 リンコは、未来と並んで資料を整理していた。 未来がふとつぶやく。
「もし先輩が、異動してきたらどうする?」 リンコは、少しだけ考えてから答える。
「…仕事がしやすくなるかなあ。 でも、それだけじゃない気もする」
未来は笑う。
「それだけじゃないって思える人がいるって、 ちょっといいかもね」
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次回は第89話、木曜日編。周囲の空気にも、変化の気配がじわりと広がっていく様子を描いていきましょう。




