第81話: 「揺れる予告と、今ここにいる意味」 (水曜日)
章太さんとリンコさんも、それぞれの立場で“今ここにいる意味”を見つめ直すような一話です。
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部長の挨拶
水曜日の朝。 定例の朝礼で、部長が静かに告げた。
「10月に人事異動があります。詳細はまだですが、皆さんには柔軟に対応していただければと思います」
その一言が、広報部と企画部の空気を少しだけ揺らした。 誰が異動になるのかは分からない。 でも、“変化の予告”は、今の時間に影を落とす。
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広報部の静けさ
広報部では、未来がモニターを見つめながらつぶやいた。
「…異動って、誰かがいなくなるってことだよね」 遥がうなずく。
「でも、誰かが来るってことでもあるよ。 …なんだか、文章の“間”みたい」
リンコは、社内報の下書きを見つめながら答える。
「今ここにいることが、いつまで続くか分からないからこそ、 ちゃんと仕事に向き合わないとね」
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企画部の揺れ
午後。 企画部では、陸が資料をまとめながら章太に声をかける。
「異動ってさ…もし自分だったらって考えてる?」 章太は、少しだけ考えてから答える。
「考えてるよ。 でも、今ここにいる意味を見失わないようにしないとな」
ひよりがふとつぶやく。
「章太さん、ちょっと柔らかくなりましたよね。 前よりも」
章太は、何も言わずに笑っただけだった。
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ふたりの交差点
夕方。 広報部の前で、章太がリンコに声をかける。
「異動、ちょっと気になりますね」 リンコは、少しだけ笑って答える。
「でも、今ここにいることが、ちゃんと意味を持ってるなら… 異動もすんなり受け入れられるかも」
章太はうなずく。
「…そうだな。 とりあえず今仕事頑張ろう」
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夜。 リンコは、社内報の冒頭文に一行だけ加えた。
「変化の予告があるとき、今ここにいる意味が静かに輪郭を持ち始める。」
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異動の話が少しずつ現実味を帯びる中で、ふたりが“今の仕事”にどう向き合うか。




