第79話: 「気づかれたこと、気づいたこと」 (月曜日)
今回は、映画の余韻が広報部の空気に静かに混ざる一日。
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広報部の静けさ
月曜日の朝。 広報部のフロアには、週の始まりらしい静けさが漂っていた。 リンコは、社内報の下書きを開きながら、昨日の映画の余韻を思い出していた。
スクリーンの暗さ、隣にいた先輩の気配。 言葉は少なかったけれど、確かに“並んでいた”時間。
未来が声をかける。
「昨日、映画館で見かけたよ。 …すごく自然に並んでたね」
リンコは、少しだけ驚いて笑う。
「…見られてたの?声かけてよ」 未来がにこっと笑う。
「でも、見てたっていうより、“気づいた”って感じ。 ふたりとも、すごく静かに並んでたから」
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章太の訪問
午後。 章太が広報部に資料を届けに来る。 未来が軽く手を振りながら言う。
「昨日、映画館で見かけましたよ。 …いい映画でしたね」
章太は、少しだけ照れたように笑う。
「…そうなの?声かけてよ」 未来がうなずく。
「先輩、リンコちゃんとおんなじこと言ってますよ。ふふ」 章太は、何かを言いかけて、でも言葉にはしなかった。
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広報部の余韻
夕方。 リンコは、社内報の冒頭文に一行だけ加えた。
「誰かに気づかれたとき、纏っていたものが、少しだけ輪郭を持ち始める。」
遥がそれを見て、ふとつぶやく。
「…未来ちゃん、いいスパイス入れたね」 未来が笑う。
「気づくって、言葉よりも先に届くことかもしれません」
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次回は第80話、火曜日編。 ふたりの関係性が、周囲の空気の中で少しずつ“共有されていく”一日。




