第77話: 「休日の準備と、静かな期待」 (土曜日)
休日の静かな空気の中でリンコさんが“日曜日の映画”に向けて少しずつ気持ちを整えていく様子を描いていきますね。
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静かな部屋の中で
土曜日の朝。 リンコは、ゆっくりと目を覚ました。 窓の外は晴れ。風は冷たいが、空気は澄んでいる。
昨日のイベントの余韻が、まだ胸の奥に残っていた。 展示で並んだ文章。 “隣にある”ということの意味が、静かに響いていた。
彼女は、机の上のメモを見つめる。 「日曜日、映画」 先輩との約束。 それが、今日の空気を少しだけ柔らかくしていた。
同じ頃。 章太は、企画部の資料を整理しながら、ふと手が止まった。 机の端に置かれた映画のチケット。 昨日、仕事帰りにこっそり買っておいたもの。
「…」 スマホで予告を確認しながら、少しだけ笑う。
「氷川、こういうの好きかな」 その“確認”が、どこか照れくさかった。
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準備という気持ち
午後。 リンコは、街へ出かけた。 街ににある雑貨店で、ふと目に留まった小さなポーチを手に取る。
「…これ、チケット入れるのにちょうどいいかも」 自分にそう言い聞かせながら、レジへ向かう。
帰り道、カフェに立ち寄って、メニューを眺める。 「日曜日、ここで待ち合わせでもいいかも」 そう思いながら、スマホにメモを残す。
章太は、映画館の近くのベンチに腰掛けていた。 チケットの控えを見つめながら、ふとつぶやく。
「…待ち合わせ、どこにしよう」 スマホを開いて、地図を確認する。 カフェの名前が目に留まる。
「ここなら、氷川も落ち着けるかな」 その“選び方”が、少しだけ優しくなっていた。
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広報部の余韻
夕方。 リンコは、社内報の下書きを開く。 イベントの感想をまとめる予定だったが、今日はまだ言葉にならなかった。
代わりに、冒頭文に一行だけ加える。
「誰かと過ごす予定があるだけで、休日の空気は少しだけやわらかくなる。」
未来からメッセージが届く。
「明日、映画楽しんできてくださいね。 …先輩、きっと緊張してますよ」
リンコは、少しだけ笑って返信する。
「私も。 でも、楽しみって、緊張とセットなんだ」
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次回は第78話、日曜日編。 ふたりが映画を観に行く一日。




