第69話: 「約束の手前、静かな予感」 (金曜日)
この回では、ふたりの関係性が静かに進展しながらも、まだ“言葉にしきらない”余白を残すことで、次回の展開に期待が膨らむような仕立てにしました。
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広報部の空気
金曜日の朝。 広報部のフロアには、週末前の静かな慌ただしさが漂っていた。 リンコは、社内報の最終チェックを終え、ふと窓の外を見つめる。
未来が声をかける。
「リンコちゃん、今日ちょっとだけ“浮いてる”感じしない?」 リンコは、少し笑って答える。
「…週末って、何かが動き出す気がするんだよね」
遥が資料を整理しながら言う。
「先輩、今日企画部にいないですよね? 午後から広報部に来るって言ってました」
リンコは、静かにうなずいた。
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ふたりの会話
午後。 章太が広報部に資料を届けに来た。 未来と遥が席を外したタイミングで、リンコが声をかける。
「先輩、少しだけ…いいですか?」
ふたりは、窓際の打ち合わせスペースへ。 外は晴れ。風が少し強く、秋の匂いが漂っていた。
リンコが言う。
「…明日、少しだけ時間ありますか?」
章太は、少し驚いたように笑う。
「あるよ。何か…あったの?借金とか」
リンコは、言葉を選びながら答える。
「んなわけないでしょっ…秋の匂い、もう一度拾いに行きましょうよー? 今度は、ちゃんと“言葉にする”ために」
章太は、少しだけ目を伏せてから笑った。
「…ごめんごめん。今度は、ちゃんと言葉にしていこう。」
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広報部の余韻
夕方。 リンコは、社内報の冒頭文に一行だけ加えた。
「約束の手前には、言葉にならない予感が静かに息づいている。」
未来がそれを見て、ふとつぶやく。
「…リンコちゃん、いよいよ何か始まりそうだね」 遥がうなずく。
「約束って、距離を測るものでもあるから」
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ふたりが交わした約束が、どんな時間を生むのか。 言葉にすること、しないこと、その選択がふたりの関係性にどんな節目をもたらすのか。 静かで、でも確かな一歩を描いていきます。




