第59話: 「言葉を整える人たち」 (火曜日)
未来・遥・リンコを軸に、広報部の日常業務に焦点を当てた一話に仕上げます。
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火曜日の午前。 広報部では、週末公開予定の特集記事とSNS投稿の調整作業が進んでいた。
未来は、先週の反応データを見ながらつぶやく。
「“共感”より“残る”って感じのコメントが多いですね。 …言葉の余白、効いてるかも」
遥は、社内報のレイアウトを調整しながら言う。
「先輩のコピー、やっぱり“間”があるんだよね。 それが、広報部の文章にも染みてきてる気がする」
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リンコは、メールマガジンの冒頭文を考えていた。 画面には「秋の気配と、静かな変化」というタイトル案。 でも、まだ本文が打てない。
「…“静かな変化”って、何を指すんだろう」
未来がそっと声をかける。
「週末のデートが、そういうテーマだったんじゃない? “変化”って、誰かと過ごした時間の中にあるものかも」
リンコは、少しだけ笑って答える。
「…じゃあ、“誰かと過ごした時間”を、言葉にしてみよう」
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午後。 遥がSNS投稿案をリンコに見せる。
「“動き出す秋”ってコピー、どうですか? ちょっとだけ“誰かの気配”を入れてみたんですけど」
リンコは、画面を見ながらうなずく。
「いいですね。 “誰かの気配”って、言葉にすると曖昧だけど、 文章の中にあると、ちゃんと伝わる気がする」
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夕方。 企画部から資料が届く。 封筒の端に、章太の字で「“余白”は広報部基準で調整済み」と書かれていた。
リンコは、声には出さずに思う。
「…ちゃんと見てるな」
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火曜日は、“言葉を整える人たち”が静かに仕事を進める日だった。 その文章の端々に、誰かとの時間がそっとにじんでいた。 広報部の言葉は、少しずつ“気配”をまとい始めていた。
今回は広報部の“言葉づくり”に焦点を当てつつ、先輩の存在感を“静かな気配”として描いてみました。




