第58話: 「映画の話題は、誰かの気配を連れてくる」 (月曜日)
未来と遥がリンコを囲んで“映画の話題”をやわらかく振る回にしてみますね。ふたりの“やさしい詰め”が、リンコの表情を揺らしながら、週末の余韻をそっと引き出すような、温度のある一話に仕上げます。
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月曜の昼休み。 広報部の給湯スペースに、未来と遥が並んで立っていた。 リンコが少し遅れてやってくると、ふたりは自然に席を空ける。
「週末、何してた?わたしは昨日ずっとゲームしてた」 遥が軽く振る。
リンコは、紅茶を注ぎながら答える。
「…映画、観に行ったよ。『遠い山なみの光』ってやつ」
未来がすぐに反応する。
「それ、先輩と見に行ったの?もしかして」
リンコは、少しだけ手を止める。
「…そう。一緒に」
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ふたりは、すぐに空気を変えない。 未来が、やわらかく話題を続ける。
「どうだった? “静かな映画”って、観る人によって印象違いそう」
リンコは、少しだけ考えてから答える。
「…“静か”っていうより、“余白が多い”って感じでした。 言葉が少ない分、考える余地みたいなのがあるような」
遥が笑いながら言う。
「それ、リンコちゃんの文章みたい。 余白とかあって、受け手が考える。すごくリンコちゃんっぽい」
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未来は、紅茶をひと口飲んでから言う。
「先輩、映画“また観たい”って言ってたよ。 “誰かと”って言ってたけど、誰かって…」
リンコは、笑いながら遮る。
「…それ以上は詰めないでよ」
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月曜日は、“映画の話題”が誰かの気配を連れてくる日だった。 未来と遥のやさしい詰めが、リンコの週末をそっと言葉に変えていった。 そして、その言葉の端に、章太の静かな存在が確かに残っていた。
今回は“やわらかい会話”を通して、週末の余韻がふわっと広がる一話になったと思います。




