第51話: 「終わったら、ひと息つきませんか」 (月曜日)
プロジェクトがいよいよ終盤に差し掛かる中で、章太とリンコが“ご飯の約束”を交わす一幕を描きます。
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月曜の朝。 企画部と広報部の合同プロジェクトは、最終調整に入っていた。 章太は、広報部から戻ってきた資料を確認しながら、静かにうなずく。
「…これで、形になったな」
藤村部長が背後から声をかける。
「章太、よくやったな。 終わったら、少し休め。 仕事ばかり見てると、見えなくなるものもあるからな」
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午後。 リンコが企画部に立ち寄る。
「先輩、プロジェクト、もうすぐ終わりですね」
「ああ。 …終わったら、ちょっと“言葉”から離れたいな」
リンコは、少しだけ間を置いて言う。
「じゃあ、終わったら——ご飯でも行きませんか? “言葉のない時間”を、少しだけ」
章太は、静かに笑う。
「…いいね。 なんかおいしいもの食べたいな、何行くか考えといて」
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その会話を、少し離れた席でひよりが聞いていた。 何も言わずに、ペンを止める。
「…ご飯、か。 章太さん、ちゃんと“言葉”以外も見てるんだな」
その声は、誰にも届かない。 でも、ひよりの胸の奥で、何かが静かに揺れていた。
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月曜日は、“終わりの予感”と“始まりの約束”が交差する日だった。 章太とリンコは、言葉のない時間を少しだけ約束した。 そして、ひよりの気持ちがまたひとつ、静かに動いた。
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ふたりらしく——言葉にしすぎず、でもちゃんと伝わるような、静かな約束になったでしょうか。




