49/101
第49話: 「言葉のない時間も、誰かを動かす」 (土曜日)
ここまで“言葉”と“責任”を背負ってきた章太と、静かに支えてきたリンコさん。土曜日編では、そんなふたりが少しだけ肩の力を抜いて、仕事から解放された休日の空気を味わう回にしましょう。
—
土曜の午後。 章太は、駅近くの喫茶店で本を読んでいた。 仕事の資料ではなく、ただのエッセイ集。 ページをめくるたびに、頭の中の“企画部”が少しずつ遠ざかっていく。
—
その頃、リンコは公園のベンチで、アイスコーヒーを片手にスマホを眺めていた。 広報部のSNS投稿に、少しずつ“反応”が増えている。 でも今日は、あえて通知を閉じる。
—
夕方。 ふたりは偶然、駅前の書店で出会う。
「先輩、今日は“言葉”から離れてますか?」
「…離れてるつもりだけど、 本を読んでる時点で、まだ“言葉”に触れてるな」
リンコは笑う。
「でも、“触れるだけ”なら、責任はないですから。 それも、たまにはいいですよ」
—
ふたりは書店のカフェスペースで、静かに並んで座る。 言葉は少ない。 でも、章太の手元の本と、リンコのスマホの画面が、 それぞれの“今週”を物語っていた。
—
土曜日は、“言葉のない時間”を味わう日だった。 でもその静けさが、ふたりの中の“次の言葉”を育てていた。
—
今回はふたりの休日を、静かな余白とさりげない再会で描いてみました。




