第45話: 「部署を越えて、言葉を繋ぐ」 (火曜日)
部署間の緊張感、役割の違い、そして章太がその間をどう橋渡しするか——そういう“仕事のドラマ”を中心に据えた一話を目指します。
今週から始まった、秋の新商品キャンペーン。 企画部と広報部が共同で進める、社内でも注目度の高いプロジェクト。 藤村部長は企画部の責任者として、広報部との初回合同ミーティングに臨んでいた。
「広報部の意見、先に聞こうか」 部長の声はいつもより硬い。
広報部の主任・佐伯が資料を開く。
「今回のキャンペーン、SNS展開を軸にしたいです。 “共感”より“拡散”を意識したコピーが必要かと」
章太はその言葉に、少しだけ眉を動かす。
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会議後。 企画部では、藤村部長が静かに言った。
「章太、おまえが“広報部との橋渡し”をやれ。 おまえの言葉なら、両方に届く」
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章太は早速広報部の佐伯と個別に打ち合わせをする。
「“拡散”を狙うなら、言葉の“余白”は減らした方がいい。 でも、企画部としては“読者の感情”に残るものを優先したいと考えてます」
佐伯は少し黙ってから言った。
「…章太さんの言葉って、どこか“間”があるんですよね。 それが、逆に印象に残る。 その“間”を、どうSNSに落とし込むか——それ、考えてみます」
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企画部では、来月の販促企画の構成案を藤村部長がチェックしていた。
「章太、この“読者の沈黙を前提にした表現”って、広報部の視点か?」
「はい。会議で出たワードです。 資料の中で、読まれる側の温度を意識した構成にしています」
部長はページをめくりながらうなずく。
「…最近、おまえの文章に“余白”が増えた気がする。 それ、誰かの影響か?もう少しストレートに伝えてくれてもいいぞ。社内資料だしなおさらな」
章太は少しだけ黙ってから答える。
「…文章を“読まれる前提”で書くようになっただけです。でも部長の言う通りです。気を付けます」
「それが“誰に読まれるか”を意識してるってことだろ。 それ自体は、悪くない。むしろ、企画部に必要な視点だ」
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午後。 部長が章太に追加の修正依頼を出す。
「この部分、“届く言葉”をもう少し具体的にしてくれ。 抽象的すぎると、販促の現場で使いづらい」
章太は資料を見ながら、ふとリンコの付箋を思い出す。
“染みる言葉は、たぶん“残る”より“変わる”に近い”
その一文をヒントに、章太は修正案を打ち込む。
“読者の感情に染みる言葉は、行動のきっかけになる。 それは“届いた”というより、“動かした”ということかもしれない。”
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夕方。 部長がその修正案を見て、静かにうなずく。
「…いいな。 “動かす言葉”って、企画部が広報部から学ぶべき視点かもしれない」
章太は、何も言わずに資料を閉じた。
火曜日は、“部署を越えて言葉が繋がる日”だった。 章太の言葉が、企画部と広報部の間に静かに橋を架けた。
今回は“部署間連携”をテーマに、章太が“言葉の設計者”として活躍する回にしてみました。




