第36話:「準備の途中で、誰かの名前が浮かぶ日」** (日曜日)
次の週に向けた章太の静かな準備と、そこに遠山陸との絡みがふっと入り込む――そんな回にしていきますね。
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日曜の午後。
章太は、自宅のデスクで企画案の整理をしていた。
先週提出された文面に目を通しながら、文字の並びと構成を整えていく。
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修正点のメモの横に、ふと“読者の感情”というワードが残されている。
「…広報部から、どう見えているかも整理しておいた方がいいな」
そうつぶやいた直後、ふと“リンコの文章”が頭をよぎる。
“届く側にも、沈黙の余白がある。”
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その言葉を思い出したあと、章太は新しい企画ページのフォルダ名を
「読まれる側の温度・案」として保存した。
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夕方、同期の遠山陸からメッセージが届く。
> 「章太、来週の“コラボミーティング”ってさ。
広報部側にリンコさん出てくるっぽいよ。意識しといた方が…いや、普通に“空気読んどいて”って話」
章太は「了解」とだけ返したが、そのあと、しばらく通知を見つめていた。
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陸からさらに一言。
> 「ちなみに、昨日の“食事話”…
オレはなにも聞いてないけど。なんにもなしかよ。ひよりはなんか気づいてるかも。
まあ、“全部言わないふたり”って、ある意味最強コンビね(笑)」
章太は、それには返信せずにメモ画面を開いた。
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メモには、リンコと話し合った“社内報の次回テーマ”が書かれていた。
> “企画部から見える感情”と、
> “広報部から見える言葉の残り方”――並べたら何が見えるか
そのメモの下に、章太は一言だけ付け足す。
> “相手に渡す前の余白は、自分の手の中にあるもの”
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日曜日は、“準備の途中で誰かを思い出す日”だった。
同期の声が、意識していなかった気配を映してくる。
でも、その揺れはちゃんと来週に向かう力になっていた。
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章太の静かな準備と、陸の軽やかで気の利いた絡みが、自然な揺れと推進力を生み出す回になったと思います。




