表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ショートシーン  作者: 木村ユキムラ
28/101

第28話:「沈黙の中で、残ったもの」** (日曜日)

歓迎会の翌日、静かな休日の中で、彼が何を思い、何を選ばずにいたのか——その“沈黙の中の感情”を丁寧に描いてみます。


---



日曜の午前。

章太は、駅前のコーヒーショップで豆を選んでいた。


店員が話しかけてくる。


「先週と同じでよろしいですか?」


「…今日は、少し酸味のある方で」


それだけ言って、静かに袋を受け取る。



帰宅後、章太はキッチンで豆を挽きながら、昨日の歓迎会を思い出していた。


ひよりの声。

隣の席で、軽やかに話しかけてくるテンポ。


「先輩って、笑うと目元がやわらかくなるんですね」

そう言われた瞬間、周囲が少しだけざわめいた。



でも章太の記憶に残っているのは、

その声ではなく、**視線の先にいた誰かが、何も言わなかったこと**。



午後。

章太は、企画書の下書きを整理していた。


ふと、文末に入れようとしていた一文を削除する。


> “伝えることより、残すことの方が難しい”


その言葉が、今の自分にはまだ早い気がした。



夕方。

章太は、ベランダでコーヒーを飲みながら、スマホを開く。


社内報の最新号。

リンコの文章が、静かに画面に表示される。


> “週の終わりに残るのは、言えなかったひと言かもしれない”


その一文に、指が止まる。


「…言えなかった、か」


誰のことかは書かれていない。

でも、自分の中で“誰か”が浮かんだ時点で、それはもう届いていたのかもしれない。



日曜日は、“沈黙の中で残ったもの”を見つめる日だった。

言葉にしなかった気持ちが、静かに心の奥に沈んでいた。


---


章太の静かな休日の中に、リンコの言葉がそっと響いてくる回になったと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ