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ショートシーン  作者: 木村ユキムラ
20/87

第20話:「休日のカフェ、名前だけで揺れる午後」** (土曜日)

来週から企画部にやってくる“高梨ひより”の話題が、ふとした会話の中で浮かび上がり、リンコの心に静かなざわめきを生む——そんな“気になる予感”を描いた一話です。


---


土曜日の午後。

リンコは、駅近くのカフェで未来と待ち合わせをしていた。


窓際の席。

ふたりはそれぞれラテと紅茶を注文し、週末の空気に身を委ねていた。


「…来週、企画部に新しい人来るんだってね」

未来がふと口を開く。


「うん。高梨ひよりさんっていうらしい。営業部からの異動」


「遥が言ってた。“元気で積極的で、先輩にガンガン話しかけるタイプ”って」


リンコは、スプーンでラテの泡をくるくる回しながら言う。


「…先輩、そういうタイプに弱そう」


「弱いっていうか、反応しづらそう。でも逆に、気にするかもよ?」


ふたりは笑い合う。

でもリンコの笑顔は、少しだけ揺れていた。



未来が、ふと真顔で言う。


「リンリン、先輩のこと…“気になる”って、もう言ってもいいんじゃない?」


「…気になる、か。

名前だけで揺れるって、ちょっと自分でもびっくりしてる」


「それ、ちゃんと恋の入り口だよ。

“誰かの名前が、自分の気持ちを動かす”って、すごく大事なこと」


リンコは、カップを両手で包みながら、窓の外を見つめる。


街は、週末の人混みで少しだけ騒がしい。

でもその中で、自分の心の音だけが静かに響いていた。



土曜日は、“名前だけで揺れる午後”だった。

まだ会っていない誰かの存在が、ふたりの距離にそっと風を吹かせていた。


---


ひよりの名前が、リンコの心に静かなざわめきを生む回になったと思います。


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