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ショートシーン  作者: 木村ユキムラ
19/84

第19話:「予告された風と、静かなままでいたい気持ち」** (金曜日)

週末を前に、企画部に新しい風が吹き込む予感——先輩とリンコ、それぞれの静かな反応が描かれる一話です。


---


金曜の午後。

企画部では、週末前の進行確認が静かに行われていた。


藤村部長が、資料を閉じながらふと口を開く。


「…来週の月曜から、ひとり企画部に異動してくる。営業部からの転属だ」


先輩は、手元のペンを止めて顔を上げる。


「誰が来るんですか?」


「高梨ひより。営業部での動きが良かった。

明るくて積極的なタイプだ。…章太、お前の1個下だな」


その言葉に、先輩は少しだけ眉を動かす。

メガネのレンズは白く光っていて、瞳は見えない。


「…了解です」


部長は続ける。


「彼女、企画に興味があるらしくてな。

お前と組ませることもあるかもしれん。…刺激になるかもな」



夕方、リンコは広報部の資料をまとめながら、未来と雑談していた。


「…企画部に異動って、誰が来るんですか?」


「高梨ひよりさんって人らしい。営業部の“元気枠”って遥が言ってた」


「元気枠…先輩、大丈夫かな」


未来は笑いながら言う。


「先輩って、“静けさで会話するタイプ”だからね。

でも、そういう人に限って、元気な人に引っ張られたりするんだよ〜」


リンコは、少しだけ複雑な気持ちでモニターを見つめる。



夜。

先輩は、デスクのペン立てに万年筆を戻しながら、ふと窓の外を見る。


週末の街が静かに灯り始めていた。


月曜から、新しい風が吹く。

でも、自分の言葉の“選び方”は、変えずにいたいと思った。


金曜日は、“変化の予告”と“静かな決意”が交差する日だった。


---


ひよりの登場を前に、先輩とリンコそれぞれが静かに反応する回になりました。

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