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ショートシーン  作者: 木村ユキムラ
17/81

第17話:「言葉の残り香、午後の余白」** (水曜日)

週の真ん中、ふとした瞬間に“誰かの言葉”が心に残っていたことに気づく——そんな静かな揺れを描いた一話です。




水曜日の午後。

広報部のリンコは、社内報の文章チェックをしていた。


画面に並ぶ言葉たち。

でも、どこか“届く感じ”が足りない気がして、何度も書き直していた。


「…“伝える”って、難しいな」


ふと、先輩の言葉が頭をよぎる。


> 「伝えたい人がいるなら、言葉は選ぶ」


その一言が、まだ心の中に残っていた。



休憩室で、未来がふらっと隣に座る。


「リンリン、今日ちょっと静かめ?」


「うん…なんか、“言葉の残り香”が抜けなくて」


「それ、先輩のやつ?」


「たぶん。火曜に陸さんが“届いてると思う”って言ってたのも、なんかじわっと来てて」


未来は、リンコのカップにミルクを足しながら言う。


「じゃあ今日は、“言葉の余白”を味わう日ってことで。

無理に動かなくても、残ってるものって、ちゃんと意味あるよ」


リンコはその言葉に、少しだけ肩の力を抜いた。



夕方、リンコは社内報の最後の一文を打ち込む。


> “誰かの言葉が、静かに残る日もある。

> それは、心がちゃんと動いている証拠かもしれない。”


保存ボタンを押した瞬間、窓の外に夕焼けが広がっていた。


水曜日は、言葉の余韻を抱えて過ごす日だった。

誰かに会わなくても、心はちゃんと誰かを思っていた。


---


どうでしたか?リンコの静かな感情の揺れを、言葉の余白を通して描いた一話になりました。

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