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その頃マリーside⑤

生まれて初めて、穏やかな幸せを知った。


毎日が幸せだった。

でも、私が嫁いだせいでハルカスは不幸になった。


正直、あの子たちが責任を感じることなんてないんだ。

バッカルノは元々私に執着していた。

私がコナと結婚を決めてから、嫌がらせはあった。でも、まだ前領主がご存命であったからこそバッカルノの嫌がらせ程度で済んでいた。


お義母さまもお義父さまも気にしなくていいといつも笑ってくれた。


結婚当初は嫌がらせがあったものの、その後数年は静かだった。

諦めたものだと思っていたんだ。まさかバッカルノがあんなに力をつけて、娘たちや、村の子達を愛人として囲い込もうと打診してくるなんて思ってもみなかった。



その時のあいつの顔は一生忘れない。



もし、もしあの時、何かあったなら私はあいつをこの手で殺していただろう。




「おい、聞いてるか?なんか、怖い顔して」



「お母さま大丈夫ですか?」



そんな2人の声にハッとする。

つい、昔話を聞いてるうちに1人で考え混んでしまった!



「大丈夫よ。

もう、昔話はやめて、これからの話をしましょうね」



「そうですわね。今日は商談に来たんですものね。


ギルド長、ごきげんよう。

アゼリア・コナの長子シーシャでございます。本日はお勉強させて頂くために同行させてもらいました。よろしくお願い致します」



ふふっと、嬉しそうに改めて挨拶をするシーシャに、ふはっとギルド長も笑いながら「これは丁寧なご挨拶ありがとうございます。では商談を始めましょうか」なんてやり取りをしてて笑ってしまう。




「冗談はさておき、新しい商品も本当に気になってんだ。

回復薬はそりゃもう、凄い人気でな。ここのギルドでしか売ってないからって噂を聞きつけて冒険者たちが最近増えてるくらいでな。怪我の率もかなり減ってそりゃもう、こちらとしてはこんな商品を作ってくれた者の新作とありゃ、飛びつくってもんだ」



その言葉に少しだけ眉を顰める。



「それは…他の者も造り手を気にしていると言うことでしょうか?」



「ああ、言い方が悪かったな。

それに関しては安心してくれ!今日伝えようと思っていたんだがな、アローリーの方わかるか?あっちは妖精族との繋がりがあるんだが、1つ前のギルド長がなんでも妖精族のお偉いさんを助けた事があったらしくてな。そのときの礼にとそのギルド長が生きている間だけは妖精の粉を使った特別な回復薬を降ろしてくれてたらしい。それが今回のような飴玉のような甘い回復薬でな。回復の効果意外にマヒ毒に効いたり色々あったらしくて、アローリー出身の冒険者が勝手に[こりゃあ、妖精族の類の回復薬だろ。向こうでも、色々制約があったからなぁ]なんて言った話を広げてくれて、それが噂が噂を呼んで俺が妖精族となんらかの契約で特別に融通してもらってるけど、言えない契約なんだろうとかなって、今や皆なんも聞かずにいてくれてんだ」



まさかそんな事になっていたなんて知らずにびっくりする。


そういえば、昔アローリーの冒険者に回復薬ではないが特殊なアイテムも貰ったことがあるがあれももしかしたら妖精族の関係の物だったのかもしれない。



「まあだから、逆に新しい物もその手の新作として探りをいれられる事はないだろうから安心てくれ」



正直有難いなんて言葉では片付けられないほどだ。


探られていたら、どうしようかとコナとその場合は色々対策を施さなければならないと話していたからこそ本当に一安心してしまう。



「安心致しました。

では、話を進めさせていただきます。

こちらが【パワー食】でございます」



カロリークッキー、改めてパワー食。

名前をどうするかで中々悩んだものの、冒険者に向けた商品なので分かりやすさ重視が良いだろうということで、携帯食、パワー玉の間をとった。


携帯食は干し肉や、乾燥パンなどが多く、パワー玉は色んな薬草やら力が漲るような食べ物から抽質されたエキスを丸めた物だ(ちなみにパワー玉はすこぶる不味い。さくちゃん曰く栄養ドリンクの玉版かな?とかなんとか言っていた)



「パワー食???」



「ええ。これはこの1本を食べれば普通にご飯などを食べたときと同じくらいの栄養に値し、水分と一緒に摂取することによって満腹感もかなりあります。

ですので携帯食のように小さいのに、まるでパワー食みたいに栄養が入っているので【パワー食】と名付けました。

ちなみに携帯食やパワー玉との違いとして、まず大きく味の違いはぜひご堪能ください」



「お前そのキャラ継続なのな。

まあいいや、では食べさせてもらうぞ」



前半やや失礼な事をポロリと言葉にしていたが、無視して、さくちゃんからもらったカロリークッキーを渡す。

味はプレーンのもので、包み紙はこちらの世界のものに変えてある。




「なんだこの美味さは!!

菓子などの甘味でもここまでの美味さは中々ないだろう…

口の水分が多少取られる感覚がある分、飲み物が欲しくなるから自然と水分も進むし…なんだこれ…ほんとにこんな美味くて栄養もあるのか?」



ギルド長は半信半疑のような表情でそう零しながらも、食べる手は止まらずにすぐに1本食べきってしまう。



「美味かった…正直あと2~3本食べたいくらいだが…確かに驚くくらいに腹が膨れてる感覚があるな…」



「5~10分程度たつともっと満腹感を感じるはずです。


あっ、ちょ、ギルド長!

もう1本はダメだって…………ですわ」



ギルド長がしれっともってきた在庫に手を出してもう一本食べようとしたので少し焦って言葉が元に戻ってしまう。



「こりゃあ、美味すぎるのも罪だぞ。そこらの菓子よりも美味いんだから食べたくもなるだろ」



「それはわかりますけど、奥様に怒られますわよ。

ギルド長が最近ふくよかになり、体調を心配しているの知っていますので失礼ながら口を挟ませて頂きました」




キッと睨みながらも、レミーさんの話を出すと、渋々だが出していた手を引っ込めるギルド長。




「先程説明致しましたが、こちらは1食分と変わらない程の栄養素が入っております。

水分と一緒に摂取して頂くことで満腹感もきちんと感じられる物になっておりますので、こうして少し話している間に先程よりも満腹感は増しているかも思いますので、食べたい気持ちはわかりますが我慢下さい」




「お母様、もしよろしければ口を挟んでもよろしいでしょうか?」




にこっと、笑いシーシャが手をあげるので頷く。




「お母さまが話した通りこちらは1食分に値する栄養がとれる優れものです。

2本目を食べた時どうなるかというのも勿論検証しておりますのでお伝えさせて頂きますわ。


男性でしたら2本食べても正直気持ち悪くなるほどではございません。

女性ですと人によって違いはあれど基本的に2本目を食べてしまうとかなりの満腹感により多少の気持ち悪さがでました。

ですが、1週間程度2本を食べ続けると明らかに体重が増しましたのでやはりそこの注意は必要かと存じます。

後、人によってですが、栄養素が豊富な分1度に2本食べた場合、体調の変化なども我々は責任を取れなくなります。

我々作り手として食べれば食べた分だけ健康を促すという商品ではなく、冒険者の皆様のようにお忙しい中で、手軽に食べれ、美味しく何より栄養のあるものをと思い作らせて頂いた物でございます。

皆様が用途を間違えないように、ギルド長がぜひご注意を促して頂けますと幸いでございます」



シーシャは笑いながら説明しているが、これは、親の私はわかる。


サクちゃんの商品に一言のケチも付けさせない為だろう。

元々売る為にサクちゃんに注意事項などは聞いているし、皆で試食会などもしていてその時にもシーシャは「お姉様の商品に1つの曇りもさせないように私きちんと注意事項などを纏めさせて頂きます」とそれは念入りにチェックしていたもの。



「お、おお、そうだよな。すまんな。

確かにこうして話してたらいま満腹感が増してもう、十分だと思えるくらい腹がいっぱいだな。これは凄いな」



「ええ、自慢の商品でございます。

口を挟んだことお詫び申し上げます。お母様、続きをお願いいたします」



「ええ、では、注意事項についてはこの書類に。

卸値としては1本600ジェニー「まてまて、600ジェニーだと!?!?!こんな優れたものがか?!?パワー玉なんて1500ジェニーだぞ?」



そう冒険者の中で必需品とも言える保存食だが、正直加工などの問題で安くは無い。

だから低レベルの冒険者は乾燥パンしかもっていないで3日迷宮に潜るなんてことはよくあることだが、これが中々の問題でありお腹がすいて力が発揮できないなんて事があったりして本末転倒な事が起きたりするのだ。


乾燥パンは300ジェニー

干し肉は800ジェニー

パワー玉は1500ジェニー



稼げる冒険者になれば勿論全て買い揃えて迷宮に望んでいるが、正直稼げている冒険者は高ランクなので迷宮内で現地調達して多少野営に近いことなら出来るのだ(まあ、危険が潜んでいるので本当に火を使い焼く程度のものだが)


なので、実質低ランク、中ランクの冒険者に必要なのだが、安くは無い為冒険者たちも多少我慢してしまうのだ。



「ええ、作り手の者たちが、私がお世話になったのだからとそう言ってくれているのです。


ですが、勿論今回も制約は付けさせて頂きます。我々が直接売るのはこのギルドのみ、使用に関しては迷宮内に限られせて頂きます。

迷宮外でも食べれるようにとなると正直このコストでは作れませんので、そう言った制約を付けさせて頂きました。

理由に関しては上手く噂を利用してくださっても構いませんが、今回もこちらの作り手の話については他言無用も絶対でございます」



実際は本当の気持ちが50パーセント、嘘も50パーセントだ。


本当にサクちゃんが、こんな値段で良いのか?というくらい安くしてくれた理由として「マリーママがお世話になったんだからそれくらいさせてよなんて」言ってくれたのでこの値段になったのは本当た。(本人は乾燥パンが300ジェニーなら、これも300ジェニーくらいでいいんじゃ?なんて言っていたのを皆で止めた)


だけど、制約をつけた理由は嘘だ。

サクちゃん曰く、いくらでも商品に関しては出せるらしいが、やはり冒険者以外で売れば色々と噂がたってしまうだろうということで今回も制約をつけたのだ。



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