ミカンplus。
くれぐれも我の話はするでないぞ。そんな声が頭の中に響きながら、少し現状を把握するまでにまた時間がかかった。
「サクちゃん、大丈夫ですか?」
「え、あっ、うん、大丈夫」
そして、ハッと我に返ったのはチェリーナさんのその声を聞いた時だった。
「特効薬ができなくても気にしないでくださいね。元々私やタニアに使ってくださったあのエリクサーが既に我々種族からしたら考えられないほど貴重な代物であり、完成された物なのですから」
にっこりと、気にしないでね言わんばかりの
ああ、そうだ……私、今神様と会っていたんだ。
そうだ、そうだっ、と段々思考がクリアになってきて声をあげる!
「チェリーナさん、出来ましたよ!
腐羽病の特効薬!
これ飲めば、エリクサーを使った時と同じように治ることだけじゃなく、今後腐羽病にかからなくなれる物が出来ましたよ」
そう伝えると、目の前にいたチェリーナさんは瞬きを大きくした後に破顔しそしてまた泣いた。
「チェリーナさん……さっきも泣いたんだから、また泣いたら目が腫れちゃいますよ」
私がそう言って、ハンカチを渡すと泣きながらもありがとう、ありがとうと言葉を漏らす。
「腐羽病は今やスコールが原因だと周知されていて羽に魔法をかければ対策が取れるようにはなっているのです。
ですが、それでも、未だに腐羽病にかかること者はゼロではないのです」
タニアに説明されていた話だけでない事実にびっくりしながらも話を聞くと、なるほどと思ってしまう話だった。
羽に魔法をかけるといっても、急なスコールの為にずっとかけ続けるのは魔力も使うからとかかけずに外に出て急なスコールにやられて腐羽病になる者や、種族同士でも怨恨などで雨を溜めておきそれをかける事件などもあるそうだ。
とはいえ、スコール1回やられたくらいでは薬もあるので死ぬ事はない。
(勿論ルイーザ様が使ったような、腐羽病のウィルスだけを抽質した物をかけられればすぐさま羽は焼け落ちるような痛みと共に命をおとしかねないが、基本的にスコールの中に潜む病原菌が原因のものなので大量にかかったり、病にかかったままでいることによりどんどんと悪化するものらしい)
だがその中でも、1番問題だったのは幼い子たちだったそうだ。
幼い子たちは自分で魔法を使うには拙く、羽も未発達な事もありスコールに当たれば命に関わってしまうため羽を守るための魔法を30分以上かけられるようにならないければ外出はなるべくしないように生活をしているそうだ。(ちなみに羽は彼等の魔力の源であるため、親であろうと子の羽に魔法をかけるということはなかなか難しい事だそう)
とはいえ、やはり、年に数人は幼子も病にかかっては危険な状態になったりということがあったそう。
「だから、それが全てなくなるなんて……
ただ、ただ、夢のようで…。
そなたには涙ばかり見せてしまって本当にどう感謝を表わせば良いかわらないのに」
「あ、それは(あ、そうだ。神様の事は言ってはいけないんだっけ。なんでかはわからないけど、最後に言ってたもんね)
まあ、みんな幸せなら問題なし!
よーし、チェリーナさんが泣き止むような何か美味しいものでも持ってくるから待ってて」
そんなっ!という焦った声が聞こえたが、ニコッと微笑んで一旦部屋を出る。
「チェリーナさんに何か美味しい物買ってあげたいのは事実だけど、ふふふふ、思い出したら早く確認したくなっちゃったんだよね。
さて、どこに……うわあ!!こっちに[ミカンplus]のコーナーできてる!!やったー!!」
そう、私はさっきのやり取り思い出したんだ。
神様がくれた[ご褒美]をー、
ミカンplusとは、ミカンの姉妹店にあたるもので500円均一だ。田舎などにはなく、都心部にしかまだない所なのだが、昨年私もヘルプで少しだけ出勤した事があるんだけど、正直そこらの雑貨屋よりオシャレだし、500円均一の言っているが金額の高いものはある。それがまた凄いのなんのって2~3千円の物も置いてあったりするのだがクオリティでいえば1万近くしてもおかしくないんじゃないか?というものもあったりするんだ。
「わー、最高。
このご飯物のクオリティも高いんだよなぁ」
目の前には、どうやったかはわならないが店内が広がっていてミカンplusのコーナーが出来ているので、そこに目を向けて声をあげる。
ミカンplusは、ご飯のお供もそりゃあもうオシャレで美味しいものばかりある。
勿論デザート類やお菓子類だってそうだ。
「よしよーし、このレアチーズケーキとこの紅茶にしよーっと」
そうして、私は過去に1度ヘルプで行った時にケーキ屋並だと言われて食べたレアチーズケーキと紅茶は某有名店とコラボしたアールグレイの紅茶缶を買ってチェリーナさんのもとへ戻る。