双子との恋のはなし。
「さー!こっちこっち、さっきは紹介出来なかったけど、休憩室もとい、私の部屋です」
2人はまだ状況が掴めていないような表情だったけど、そのまま休憩室に連れていく。
「わぁ、凄い、ここがさくちゃんのお部屋なんだね」
「見たことがないものがいっぱいですわね」
2人とも休憩室に入ってしまえば、思考は色々な物に奪われているようでキョロキョロと見回していた。
2人をソファーに座らせて、冷蔵庫から紅茶を出す。
先程コナさんとジンくんに出してしまって少なくなっていて、新しい無糖の紅茶も開ける。
ストックしといたラスト一本だったので後でいくつか買って冷やして置かなきゃなぁなんて考えながら、お茶請けのお菓子を探す。
「これ紅茶と、後お菓子もこの辺に…あった、あった。
チョコと、クッキーと、お煎餅だね!好きなの食べて」
適当に出してあげると、2人はびっくりした声をあげる。
「チョコに、クッキー!?!?」
「おせんべい?はわかりませんが、そんな高価なもの頂けないですわ、さくちゃん」
「いやいやいや、全然食べて!
てか、ミカンにもクッキーとかチョコとか売ってるくらい私の世界ではお手軽なものだし、高価なものじゃないんだよ(まあ、実際は高いものもあるし、今2人に出したのはミカンの商品じゃなくて、私やパートさんたちが持ってきたものだけど。言っても伝わらないだろうしその辺は省略する)」
凄い…声を合わせて2人は言いながらも、中々食べないので、遠慮せす食べてと何度か促してやっと口にする。
「美味しい…なにこれ…こんなの家が裕福だった時でさえ食べたことないよ…王子とのティーパーティーで食べたお菓子より美味しいよ」
「ナターシャこちらの紅茶もとても美味しいわ。冷えているのに、こんなにも香りがするなんて…」
「王子とのティーパーティーより!?!?ってか、王子とのティーパーティーなんて行ったことあるの?」
飲んでいた紅茶を吹き出しそうになりながら聞くと、なんでも第3王子のシルベスター様のためのティーパーティーに6歳〜13歳までの間8回行ったことがあるらしい。
なんでも、第1王子、第2王子のお妃候補は勿論上流貴族たちから選ばれるらしいが第3王子以降は貴族外の裕福な領地の領主一族から娶る事が多いらしい。
貴族ばかりから取ると血が濃くなってしまったり、スキルの低迷や、政治的観念など色々加味しているらしくそうなっているだとか。
そして、そのため行われるのが、王子様と歳近く栄えてる都市の領主一族の娘たちを集めたティーパーティーだそう。
年に一度、王子が6歳アカデミー(所謂小学校に上がる時から)成人になる18歳まで行われて、成人の日に婚約者が3人発表されて、その5年後にその中の誰かと結婚という事が多いらしい。
「へぇ、そんなパーティーがあるんだね、面白いね」
「中でも面白いのが、そのパーティーは身分を明かしたらいけないの。栄えてる都市から選ばれてるからある程度の裕福さは保証されてるから王子様が性格や品位など色々と自分の目で見極めた令嬢を選ぶ事も目的の1つだからさ。
家もバッカルノのクソジジイ事がなければ、裕福だったからあのままいってれば、ねぇ?」
「ナターシャ、口が悪いわ。
ニヤニヤしないで!もう、過去の話よ」
シーシャはほんのり顔を赤らめて、ナターシャを咎める。
なになに、なに?
全然わからなく気になって話を聞くと、なんと、シーシャは第3王子のシルベスター様と1番気が合っていたとかで、バッカル件がなければナターシャ曰く2人は想いあってたはずだと言っていた。
「ひゃー、なにそれ、なにそれ、お菓子の話とかどうでもよくなっちゃったよ!
しかも、シーシャも赤い顔してるってことは、満更でもなかったんでしょ?初恋ってやつ?しかも身分を明かさないってのもいいね!シーシャ個人をちゃんと見てくれたってことだもんね!」
「そんな、前のこともう忘れてしまいましたわ」
ぷいっと、顔をそむけてしまうが、耳まで赤くなっていたので絶対未だに好きなんだろうと思ったが、その後のナターシャの言葉でなんとも言えない気持ちなる。
「まあでも、身分や名前を明かせない分、バッカルノに目をつけられた時も助けてって言えなかったんだけどね。
シルベスター様ならシーシャの事相当気に入ってたし、なんとかしてくれたと思うだけどね。
シルベスター様が探そうにも身分も名前も明かしてない相手だし、凄い人数が呼ばれてて毎年裕福な都市のご令嬢が呼ばれてるとはいえ顔ぶれもある程度は変わるしね」
「そっか…確かにそれは身分を明かしてない分第3王子も、どうにも出来なかった訳か…もしかしたら探してくれてるかもしれなけど、バッカルノが邪魔してそうだもんね…」
「むしろ、それだけじゃなくて、未だに私たちは婚約者1人いないのもアイツのせいだしね」
なにそれと聞くと、なんとバッカルノは情人に出来なかったことを根に持って町に圧力をかけるだけでなく、2人はいつか自分の情人になるからと未だに言いふらしていて、2人に縁談をこないようにしているらしい。
「まじで、覚えてろ、バッカルノ、お前だけは私が許さない」
っと拳をフルフルとさせて私がそう言い放つと、ナターシャもシーシャも声を上げて嬉しそうに笑ってくれた。2人は冗談だと思っているかもしれないが、私は割と本気で言っていたのだが。