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迷い人(まれびと) 始まりの章 3  作者: 曼殊沙華(リコリス)
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悲しくも楽しい生活

始めまして 読んで頂きありがとうございます リコリスと申します 何分老齢かつ目が非常に悪いので遅筆です 万が一楽しみにして下さった方に大変申し訳ございませんがご理解のほどを

老体に鞭打って頑張りますので応援していただけたらありがたいです」よろしくお願いいたします

 


 ノックされドアを開けると前回来た使者が恭しく挨拶をしていた 更に奥に目をやると前回来た馬車も中々では有ったが今回は更に威厳に満ち溢れていた

 白馬4頭だての白い馬車だった 所々に金の装飾がされ 何と言うか王族が乗っているんだろうなと思わせる作りだった

 旨いたとえが思いつかないが前回来たのがメルセデスで今回のはロールスって感じだろうか?

 馬車の扉が開くと中から女性が姿を見せた 使者らしき人が手を添えおずおずと降りて来る恐らく女性

 恐らくと言うのが スカート姿を想像していたがパンツルックなのだ と言うより男装なのだろうか?

 おまけに仮面も付けている 

 鼻から耳の下まですっぽり包まれた仮面 高貴な身分であろうと直ぐにわかる装飾のされた白い仮面と金髪そして白み掛かった碧い瞳だった

 そしてもう一つ特徴が有った 耳が長い エルフなのだろうか?年齢とかも恐らく俺と同じか下かも知れない

 服装も男装と思ったが 上下白のいかにも上質な服装であった そして一言でいえば所作が優雅なのだ 服装からの印象かも知れないが 落ち着き払っているというか 何処がどうとはうまくいえないんだが・・


 胸の膨らみで女性で有る事は一目でわかった

 相当な高貴な身分らしくポンス一家は使者の時よりも畏まっていた 使者からなにか口上が有ったが 何を言っているのかは判らなかった ポンス達が一段と頭を下げたので見習って俺も更に頭を下げた 女性がなにかポンス達に声を掛けた

 皆頭を上げたので慌てて俺も頭を上げた


 そこでまた驚愕の出来事が有った

「私はユリエール・アルメリア 一応公爵家の者よ 

 貴方は日本から来たのかしら?お名前伺っても良いかしら?」

 なんと流暢な日本語で話しかけられたのだ

「ええええ」口ごもって居ると「ユリエールなんでユリと呼んで」

「私は橘 真です 橘が苗字で真が名前です」

 頭が混乱したままだが精一杯落ち着き自己紹介をした

「じゃ私はシンと呼ぶわ 何か不都合は有るかしらシン?」「いいえ シンで不都合有りません」と答える するとクルリと体の向きを変えるとポンスに向かい何か話しかけた なにやら一礼をした ポンスが畏まる 更に話しかけた

 ポンス達に話を聞いているとユリエールは ふんふんと話を聞いている

 俺の事はほっぽりぱなしだが 色々と聞いている

 カノアが恐る恐るお茶を出し良かったら椅子にお掛け下さいと言う感じの動作で椅子を勧めた 

 ユリエールはそれもそうねっといった感じで 椅子に掛けお茶のカップを手にした 一口口に含むとニッコリ微笑みながらカノアに声を掛けている きっと「美味しいわ ありがとう」とでも言っているんだろう

 カノアが非常に恐縮している

 そのうちユリエールはアインにも声を掛けている

 全く何を話しているのか判らなくて不安そうな顔をしていると

「大丈夫よ 貴方が来た時の事を聞いているだけよ それにしてもここの人間は良い人達ね 貴方は本当に運が良いのよ」

 と説明してくれた

 それから暫くポンス一家に話を聞いた後に「貴方は聖都に来て欲しいの 生活は心配いらないわよ 暫くは私が此方の言葉習慣なんかを教えるわ その他色々な事もね なるべく早くこちらを立ちたいわ と言っても 今すぐって訳には行かないだろうから3日後には出発したい 皆に別れの挨拶なども有るだろうしね」と言った

「急にそんな事言われても困ります」と答えると

「考えて御覧なさい 言葉も習慣も判らない所に居るより私と来れば 言葉も習慣も教えて上げられる どっちが良いなんて誰が考えても私に付いて来る方でしょ?」

 確かにそうだ しかしポンス達に世話になったが まるで何も返せていない しかもアインと離れがたい気持ちもする

 こんな小さな子なんだが やることは今の俺よりずっと大人だ と言うよりこの村の子供は良く働く 恐らく7~8歳の子供たちが普通に働いている 勿論大人と同等とは言わないが 日本の子供じゃ考えられない位に自分に出来る事を一生懸命やっている 感動もしたが子供なのに・・と言う感情も芽生えるのは偽ざる気持ちだ 

アインは破壊力抜群の天使の笑顔を持っている 優しく俺に接してくれる そんな子に優しくされて嬉しくないはずは無いだろう ここ最近はまるで嫁さんの様に甲斐甲斐しく世話もしてくれているし情が湧かないはずも無く・・けして性的に見ているのではない と思いたい 元々姉はいたが憎らしく俺はずっと可愛い妹が欲しかったのだ いつしか良くできた妹の様に思っていた そしてこの村での生活に満足していた

 隠してもしようが無いのでユリエールに話した「ポンス達に恩返しも未だ出来ていないし アインとも離れがたい」と

 すると「まぁポンス達には私からお礼しておくわ 取り合えず金貨100枚程とこの村の村長の権限を公爵家として正式に任命するって所かしら 簡単な事よ ここの領主に明日にでも通達しとくわ 元々この村には正式な村長居なかったらしいし なんならポンスが望むならこの辺の村を3~4個纏めて郷領にしてポンスを領主にしてもいいわね 娘の事も一緒に来ればいいわ ポンスも娘が公爵家に奉公なんて名誉な事だもの断る筈もないわよ」と事も無げに言い放った

 ユリエールって何者なのだろう?そんなに権力あるのか?こんな小娘に?どう見ても俺と同じ位にしか見えないのに

 思い切って聞いてみた「ユリエールってそんな権力が有るの?」

「ははははは 当たり前だろう 公爵家はこの国を治めておる

 その公爵家の長女ぞ 言うなればこの国の姫なのだぞ なんならこの辺りの領主なんぞ総入れ替えでも可能だぞ これで満足か?」と言うと ふふふと不敵な笑みを浮かべた

 ご機嫌を損ねると大変な相手であることは良く分かった そりゃポンス達も畏まる訳だ 言うなれば領主の親玉って事だろう

 しかし 何と言うか威厳は有るがどこか親しみの様なものを彼女からは感じるのは何故なんだろうか?

 近寄りがたいと言う感じではないのだ 


 ポンスとアインに何か話しているユリエールだが アインが急に熱っぽく語り始めた ふむふむそうかと言った感じで話を聞いている 急に此方を向き何となくニヤ付きながら彼女は言った 「おい 随分慕われているじゃないか彼女は既に君と結婚の約束をしていると言って居るぞ 後3年で14歳に成るのでその時に結婚するつもりらしいぞ しかし言葉も良くわからないのによくも結婚の約束まで取り付けたものだ」とにやけている

「えええ 全くもって初耳です」と言うと

 アインと又話し始めた

「彼女はきちんと説明したと言って居る ポンス夫妻も同意している 彼らもアインと君が結婚するものと理解している 本当に何も知らないは 無いんじゃないか?」

 う~ん暫く考えると思い当たる節が有った

 何時だか夕飯後にアインがポンス達に真剣に話している事が有った 暫く話していたが急に此方に向き直り 指で数を示し色々と俺に言ってきた 良く分からなかったが余りに真剣に話してくるので聞いていた なんだか返答を迫られ思わず

「ヤー」と答えてしまった その瞬間彼女は喜び抱き着いてきた 何だか良く分からないが喜んでくれたのは嬉しかったし どうせ次の休みにどっか連れて行けとかだと思っていた 思えばあの指折り説明されたのは後3年で結婚できると説明していたのだろう

 思えばあの時から彼女は甲斐甲斐しく俺の世話をしてくれたのだった 「ああ あの事か・・・」と俺が漏らすと 「なんだやっぱり心当たりが有るんじゃないか」とユリエールが言った

「それじゃ村を離れる前に結婚式をしてやらんとな 丁度いいそれがポンス夫妻にも恩返しになるだろう」と嬉しそうに言った「ポンスには宮廷に行ったら立派な淑女に成れるように教育してやるから安心しろと言ってやったぞ あと仮には成るが結婚式は明後日にするぞ 3日後には出発だしな」と言いたい放題に言って来る

「そうそう結婚に際し指輪を彼女に送るのが 儀礼だがどうせ指輪など持っていないであろう 私のお古だが後で好きなのを選ぶが良い 私からの結婚祝いとしよう」とユリエールは言った

「本来男であるお前がこの村に残るのが筋だが今回は特殊なので明日持ってこさせる指輪を好きなだけ持って行け 何ならカノア婦人の分もよいぞ」と続けた

 戸惑っていると「なんだ公爵家御用達の宝石商からの指輪では不満か?」と聞かれた

「いえいえそんな滅相もない ただそのような高価そうな物を頂いて宜しいのかと戸惑っております」と正直に答えた

「さすがは日本人だな 本当に遠慮深い こういう時は有難く頂きますで良い」と言ってくれた

「それでは遠慮なく好意に甘えさせて頂きます」と言ったあとにニコリと笑った

 ユリエールはふーんといった顔をして「そんな顔で笑えるんだな」とポツリと漏らした

 後々聞いたのだが何も知らない世界に来てもっと不安で一杯で死にそうな顔してると思ってたらしい


「それでは 今日はこの辺りでお暇しようか 明日使者に指輪を持たせるのでアインと相談して好きな物を選ぶと良い」

 と言って彼女は去って行った

 その後からが本当に大変で ポンスの家に村人が沢山訪れ各々に説明しているのだろう アインにも沢山のプレゼントが渡され祝福されているのだろう どうやらアインとの結婚は既成事実に成ったみたいだった まぁどうせこちらに身寄りは無いし元々ポンスはこっちの世界の兄貴って思っていたから 兄貴から義父さんになっただけだしと自分を納得させた

 更に言えば身寄りのない自分に親族ができた事に少し安心した

 そうして笑い声の絶えない宴は深夜まで続いた


 翌日使者が来た 小さな綺麗な箱と共にやって来た

 昨日も少し気成っていたが 従者を伴っていた 従者は獣人なのか耳が頭部に有り 髪色は黒で体毛って言って良いのか判らないがそれも黒だった 体格もこの世界の女性は皆逞しいのだが一段と逞しく剣を携えていた 一言で言えば強そうなのである 宝石箱が貴重品なのだ その護衛として来たのであろう 昨日は扉の前で眼光鋭くユリエールを見守っていたが今日はこの箱が護衛対象なのだろう 鋭い視線で箱を見ている

 可笑しいのは護衛がなにかする度に使者がビクッとする所だ この護衛が余程恐ろしいのだろうか?確かに眼光は鋭いのだが・・


 そして使者が箱を開けると その輝かしい数々の指輪に目が眩みそうだった アインも目を輝かせ 一つ一つを見比べている

 そうして一つ気に入った物が決まった 宝石の種類は知らないのだがアインの瞳の様な碧い宝石の乗った指輪だった 中々決まらなかったが覚悟をして 「これ」と言ったものを箱から取り出し指に嵌めていた 残念ながらサイズは合っていなかったが後々直せばいいだろうしと思った すると使者は小さな箱を取り出し一度その箱に指輪を収めた アインも大きく頷きその箱を見守った

 するとその箱は俺に手渡された そうか指輪は俺がアインに送るものだから俺が持っているのだろう 明日の結婚式に渡せばいいのだろうなと思った 更にカノンにもどれが良いですか?と言った感じで箱をカノンに進める びっくりして最初は断っていたぽいが従者も加わり進めて来たので カノンも観念したのか指輪を選び始めた 散々迷った挙句選らんだのは中央にダイヤ左右に赤いルビーだろうか?がはめ込まれた指輪にした 早速指に嵌めていたがうまい具合にサイズもピッタリであった 見ているこっちまでわかる位にルンルンていう感じに成った

 使者も従者も何か言ってくれているが意味は解らないが祝福の言葉であろうと十分想像できる 黙って居ると怖い顔の従者も笑うとなんだか可愛らしい

 それからアインとカノアは二人で出掛けて行った 結婚に必要な物の買いだしだろう 金貨も100枚程を使者が持ってきたがポンスはそのままカノアに渡していた その際ポンスは勲章の様なものも受け取っていた きっと村長の証とかなんだろう


 そしてまた沢山の村人が祝福にやってくる カノアのいないポンス家は何も機能しないのが良く分かる

 これじゃカノアもおちおち家を空けられない 客が来てもお茶も出さずに話し込むポンス見かねた客の中の女性が色々さがしてお茶を出す いつの間にかポンスの奴酒出してやがるw後で怒られても俺はしらんぞw酒飲んで盛り上がる男共をしり目に俺に祝福の言葉だろう色々声を掛けてくれる女性たちとお茶を飲み何を話しているがよく判らないが「ヤーヤー」と言って相槌を打っているとカノアとアインが買い物から帰って来た

 案の定怒られるポンス ふふ ざまあ無いなポンスよ

 やはりこの家はカノアで持って居るな 素晴らしい奥様だ ただカノアの向こうにアインの未来の姿が見える気がするのがちと恐ろしいのだが考えたら家もそうだったなぁとお母さんの事を不意に思い出したら涙が頬を伝わっていた 急に日本に居るであろう家族を思い出し涙が出た 悲しいのではない 恐らく戻れないのが苦しいのではない なんだか遠い昔の事の様で懐かしくなった きっと普通に日本に居ても 結婚して家を出たら中々家にも帰らないだろう きっとそれと同じだと自分に言い聞かせて此処で生きて行こうと何故だか強く思った

 家族を思い出して 家族との訣別を覚悟をやっと出来た気がした ここの義父や義母が出来た事で覚悟ができたのだろう 勿論アインを守ると言う覚悟も出来た ありがとうポンスよ いやお義父さん 

 心配してアインがやってくる 周りの女性に対し何かおこっているようだ 早口で何か言っている きっと俺が何か言われて涙を流しているとでも思ったんだろう 心配するな周りで何言ってるか判らんのだからw

 思わず「ふふふふ」と笑ってしまった 周りはキョトンとしている泣いていたのが急に声を出して笑ったのだから 

 アインは安心したように此方に向かって破壊力満点の天使の笑顔だ 何度見ても良い この子を守って行くことだけを考えて行こうと心に誓った


 結局怒られたポンスだが何だかんだカノアもポンスに弱いw

 酒の肴に成る物を手際よく次々と出して行き 宴の続きが又始まったのだった

 村の男も酔いが回ったのか俺にも酒を進めて来る いやいや明日結婚式だろう 酒何て飲んで二日酔いなんて失態はしたくない だいたいこの国で飲酒の最低年齢って幾つなんだろう?良く見たら10歳くらいの男の子もがぶ飲みではないがワインらしき物を呑んでいる 流石にアインは飲んでいないが・・

 そして昨日と同じようにどんちゃん騒ぎが続いた 

 夜そろそろ眠いなぁと思ってポンスを見たら笑いながら酒を呑んでいるが何故か涙を流しているのを見た いくらめでたいとはいえ明日が過ぎると暫くは 娘に会えなくなるのだからしょうがないか それにポンスよカノンもまだ若いのだから出来たら義妹を頼むよwくそ生意気そうな義弟なら勘弁して欲しいが まだまだ子供を期待しているよ

 それにしてもこいつらは遠慮と言うものが無いのか?全く帰る雰囲気が出ない ポンスが引き止めているのだろうか?カノンは台所で食べ切った皿を片付け洗っている なんだかニコニコしている 娘が嫁ぐ親の気持ちはまだ分からないが 男親と女親ってこんなにも違うのだろうか?

 いつ果てるとも知らない宴は続く 流石に付き合いきれないなぁと思いつつアインを見ると ポンスの横に座りポンスに寄り掛かる そうだな今夜はポンスに甘えられる最後の夜か・・・

 いやポンスがアインに甘えられる最後なのかもしれないなと思ったらにやけてしまった

 笑顔で横に座って居るのは良い事だ 存分に甘えたらいいなと思った がしかし欠伸はでる 欠伸を連発しているとアインが寄って来た 見られたのかと思い大丈夫だよと手振りで伝えたがアインは俺の手を引き ポンスとカノンに「お休み」と言って宴から離れた 俺をベットルームに送ると「お休み」と言って離れて行こうとしたが急に手を強く引っ張り俺を屈ませた 為すが儘に成って居ると不意にチュッと頬にキスされた 急に赤らむ顔 やっぱり可愛いなと思う 俺ってロリコンだったのかな?と思う だがこの世界でそれが異常な事では無いらしい

 明日ユリエールが来たら聞いてみよう この世界の結婚についてと思いつつベットに入ったがそこで記憶が途切れた

最後まで読んで頂きありがとうございます まだまだ書くことに不慣れですが精進していきます

よろしくお願いいたします

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